催事・イベントのアンケートの取り方と個人情報の扱い

催事やイベントのアンケートは、目的を1つか2つに絞り、短い設問で、答える前に「何に使うか」を見せて取るのが基本です。名前や連絡先を書いてもらう場合は、個人情報保護法の決まりが当てはまります。用紙や入力フォームで本人から直接書いてもらうときは、前もって利用目的をはっきり示す必要があります(個人情報保護法第21条第2項)。メールで案内を送るなら特定電子メール法、お礼の品を渡すなら景品表示法も関係します。この記事では、催事の販売担当の方に向けて、アンケートの作り方と取り方、個人情報の扱い方、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

クリップボードで書類に記入する手元

催事のアンケートは何のために取る?

催事のアンケートは、売場の改善と次の企画のための材料です。目的によって、聞く項目と、個人情報が要るかどうかが変わります。最初に目的を決めておくと、設問を絞り込めます。

目的 聞く項目の例 名前や連絡先
商品や売場の感想を知る 満足度、よかった点、直してほしい点 なくてもよい
告知の効果を知る 何で催事を知ったか(館内の案内、チラシ、SNSなど) なくてもよい
お客様の層を知る 年代、住まいの地域(市町村まで)、来場の目的 なくてもよい
次の催事を案内する 名前、メールアドレス、案内を受け取る方法 要る
プレゼントを送る 名前、住所、電話番号 要る

名前や連絡先を聞かない無記名のアンケートにすると、お客様も答えやすく、店側の管理の手間も減ります。連絡先が要る目的のときだけ、その欄を設けるのが分かりやすい形です。集めた結果の使い方は、販促イベントの効果の測り方や催事の売上目標の立て方と振り返り方でも紹介しています。

アイコン入りの用紙に記入する手元

アンケートの作り方と取り方の手順は?

次の順で準備すると、当日に慌てずにすみます。

  1. 目的を決める:何を知りたいのか、結果を何に使うのかを1文で書きます。
  2. 設問を作る:選んで答える形を中心にし、自由に書く欄は1つ程度にします。1問で聞くことは1つにします。
  3. 個人情報を取るかどうかを決める:取るなら、利用目的、問い合わせ先、保管する期間を文にします。
  4. 答え方を決める:紙、タブレット、お客様のスマホから入力するフォームなどから選びます。
  5. 試しに答えてもらう:スタッフ以外の人に答えてもらい、かかる時間と分かりにくい設問を確かめます。
  6. 当日の声かけと回収の方法を決める:誰が、どの場面で声をかけるか、用紙をどこに集めるかを決めます。
  7. 集計して振り返る:催事が終わったら早めに集計し、次の売場づくりに生かします。
  8. 保管して、期間が来たら捨てる:決めた期間が過ぎたら、紙は細かく裁断し、データは消去します。

設問づくりのコツ

  • 答えを誘う聞き方をしない(「おいしかったですよね?」ではなく「味はいかがでしたか?」と聞く)
  • 選択肢には「その他」や「当てはまらない」を入れる
  • 満足度は、段階の数をそろえて聞く
  • 答えにくい質問(収入、家族の事情、健康のことなど)は入れない
  • 立ったまま短い時間で答えられる量にする

答え方の比べ方

答え方 よい点 気をつける点
紙の用紙 年齢を問わず答えやすい。機器がなくても始められる 集計に手間がかかる。用紙の保管と持ち運びに気を配る
売場のタブレット 集計が早い。設問の順番を切り替えられる 前の人の回答が画面に残らないようにする。端末の盗難に気をつける
お客様のスマホから入力(QRコードを掲示) 混雑していても答えてもらえる。持ち帰って答えてもらえる 入力フォームのサービスの管理と、通信の安全を確かめる
スタッフが聞き取る くわしい理由まで聞ける 聞き手によって答えが変わることがある。メモの扱いに気をつける

当日の声のかけ方と回収

声をかけるのは、会計が終わった後や、試食の後など、お客様の手が空いた場面が向いています。混み合う時間は、その場で書いてもらうより、QRコードを印刷した小さなカードを渡し、後で答えてもらう方が流れを止めずにすみます。書いてもらう場所には、台と筆記具を用意します。回収箱はスタッフの目が届く場所に置き、営業の途中でもこまめに中身を回収します。答えてもらえなかったときも、お礼を伝えて見送ります。

ペンで用紙に記入する手元

個人情報保護法で守ることは?

個人情報保護法でいう「個人情報」は、生きている個人に関する情報のうち、名前や生年月日などで特定の人が分かるものです。ほかの情報と簡単に照らし合わせて特定の人が分かるものも含まれます。また、個人情報を整理して検索できる形にした名簿やデータを事業に使う人は「個人情報取扱事業者」に当たり、法律の定義には、扱う人数や会社の規模による条件はありません。催事のアンケートで集めた名簿も、この決まりの中で扱います。

場面 法律の決まり 催事でのやり方の例
集める前 利用目的をできる限り特定する(第17条) 「次回の催事のご案内をお送りするために使います」のように具体的に書く
用紙やフォームで集める 本人から直接書面で取るときは、前もって利用目的を明示する(第21条第2項) 回答欄より先に、用紙の上部や入力画面の最初に利用目的を書く
集め方 偽りその他不正の手段で取らない(第20条第1項) 目的を隠したり、別の目的を装ったりしない
健康などの情報 病歴などの要配慮個人情報は、原則として前もって本人の同意を得る(第20条第2項) 必要がなければ聞かない
使うとき 利用目的を超えて扱うには、前もって本人の同意を得る(第18条) 案内に使うと書いた名簿を、ほかの営業に使わない
保管するとき 安全管理のための措置をとる(第23条)。従業者を監督する(第24条) 回収箱にふたをする。鍵のかかる場所に保管する。持ち出す人を決める
集計を外に頼むとき 委託先を監督する(第25条) 扱い方を契約で決め、終わったら返してもらうか消してもらう
ほかの会社に渡すとき 原則として前もって本人の同意を得る(第27条) 共催の会社やメーカーに渡すなら、渡す相手と目的を示して同意を得る
要らなくなったとき 遅滞なく消去するよう努める(第22条) 保管する期間を決め、過ぎたら裁断や消去をする
本人から求められたとき 利用目的などを本人が知りうる状態にする(第32条)。開示の請求に応じる(第33条)など 問い合わせ先を用紙に書き、窓口の担当を決める

なお、取得の状況から利用目的が明らかな場合など、利用目的の通知に例外もあります。ただ、催事のアンケートでは、目的を書いておくのがお客様にとっても分かりやすい方法です。

用紙に書く利用目的の文例

用紙の上部には、たとえば次のような文を、回答欄より目立つ大きさで書きます。内容は、実際の使い方に合わせて直してください。

  • ご記入いただいた個人情報は、次回の催事のご案内をお送りするために使います。
  • ご本人の同意なく、ほかの目的に使ったり、ほかの会社に渡したりすることはありません。
  • 保管は○年○月までとし、その後は裁断して廃棄します。
  • お問い合わせ先:○○株式会社 ○○係(電話番号・受付時間)

なくしたり、漏れたりしたときは

個人情報保護法では、個人データの漏えいなどのうち、個人の権利利益を害するおそれが大きいものが起きたときは、個人情報保護委員会への報告と、本人への通知が必要です(第26条)。施行規則では、次の場合が挙げられています。

  • 病歴などの要配慮個人情報が含まれるとき
  • 不正に使われると、お金の被害が出るおそれがあるとき
  • 不正の目的で行われたおそれがあるとき
  • 本人の数が1,000人を超えるとき

報告は、起きたことを知った後、速やかに行い、原則として30日以内(不正の目的によるおそれがある場合は60日以内)にくわしい内容を報告するとされています。報告に当たらない場合でも、用紙の束をなくしたときなどに慌てないよう、連絡の順番を決めておきます。くわしくは、所管の個人情報保護委員会の案内や専門家にご確認ください。

クリップボードの用紙に書き込む手元

メールの案内やお礼の品で気をつけることは?

案内のメールは、送ってよいと答えた人にだけ送る

広告や宣伝のメールは、特定電子メール法の対象です。総務省によると、携帯電話番号で送るSMSも対象になります。法律では、主に次のことが決められています。

  • 原則として、前もって送ることに同意した人などにだけ送る(第3条第1項)
  • 同意を得たことを示す記録を保存する(第3条第2項)
  • 送らないでほしいと連絡があったら、送らない(第3条第3項)
  • 送り手の氏名や名称、送るのをやめる連絡の受け先などを表示する(第4条)

アンケートでは「メールでの案内を希望する」という欄を設け、お客様が自分で選べるようにします。チェックを最初から入れておかない方が、本人の意思がはっきりします。同意の記録として、回答の用紙やデータは、決めた期間きちんと保管します。

お礼の品は、景品の決まりを確かめる

アンケートのお礼に品物を渡す場合、景品表示法の景品の決まりが関係することがあります。消費者庁によると、商品やサービスの利用者や来店者にもれなく渡す品は「総付景品」に当たり、抽選で渡す品は「懸賞」に当たります。

渡し方 区分 品物の価額の上限
答えた人全員に渡す 総付景品 取引価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2
答えた人の中から抽選で渡す 一般懸賞 最高額は、取引価額が5,000円未満なら取引価額の20倍、5,000円以上なら10万円。総額は売上予定総額の2%

消費者庁の運用基準では、購入を条件とせず、店に来た人に渡す場合の取引価額は、原則として100円とされています(店でふだん売っている品の最も安い価格が100円を超えるときは、その価格を取引価額にできるとされています)。つまり、買い物をしなくてももらえるお礼の品は、原則として200円までが目安になります。一方、社名入りのカレンダーやメモ帳のように、事業者名を広告するための品で適当な限度のものは、原則として景品の制限の対象外とされています。販促物の選び方はのぼり旗・POP・ノベルティの選び方と置き方もご覧ください。

クリップボードの書類を確かめる手元

よくある失敗と、取る前のチェックリスト

よくある失敗 起こる理由 防ぎ方
設問が多く、途中でやめてしまう人が多い 聞きたいことをすべて入れた 目的に関係のない設問を外し、試しに答えて時間を測る
利用目的を書き忘れた 前回の用紙を手直しして使った 用紙の上部に利用目的の欄を固定して作る
回収箱から用紙が見える ふたのない箱を使った 投入口だけが開いた箱にし、こまめに回収する
名簿をスタッフのスマホで撮った 集計を急いだ 持ち出しと撮影の決まりを、開始前に伝える
共催の会社に名簿を渡せない 渡すことへの同意を取っていなかった 渡す予定があるなら、相手と目的を用紙に書いて同意を得る
いつまで保管するか分からない 保管する期間を決めていなかった 期間を決めて用紙に書き、過ぎたら裁断や消去をする

アンケートを取る前のチェックリスト

  • アンケートの目的を1文で言えるか
  • 名前や連絡先は、本当に必要なときだけ聞いているか
  • 利用目的、問い合わせ先、保管する期間を、回答欄より先に書いたか
  • 病歴など、要配慮個人情報に当たることを聞いていないか
  • ほかの会社に渡す予定があるなら、相手と目的を示して同意を得る形にしたか
  • メールの案内は、希望する人が自分で選べる欄にしたか
  • お礼の品の価額は、景品の上限の中に収まっているか
  • 回収箱、保管の場所、持ち出しの決まりを決めたか
  • なくしたときの連絡の順番を決めたか

よくある質問

無記名のアンケートなら、個人情報保護法は関係ありませんか?

名前や連絡先がなく、特定の人が分からない回答であれば、個人情報には当たりません。ただし、自由に書く欄に名前や電話番号を書かれた場合や、細かい情報の組み合わせで人が分かる場合は、個人情報として扱います。年代や地域は、幅をもたせた選択肢にすると安心です。

アンケートの感想を「お客様の声」として販促に使ってもよいですか?

使う予定があるなら、利用目的に「いただいた感想を、個人が分からない形で売場や当社のウェブサイトで紹介することがあります」のように書いておきます。名前を出す場合は、本人の了解を得ます。写真やSNSでの発信は、イベントの写真とSNS発信で気をつけることもご覧ください。

集めた名簿は、いつまで保管すればよいですか?

個人情報保護法では、利用する必要がなくなった個人データは、遅滞なく消去するよう努めることとされています。保管する期間は、目的に合わせて自分たちで決め、アンケートの用紙にも書いておきます。メールの案内に使う名簿は、同意の記録として残す期間も考えて決めます。

子どもにもアンケートに答えてもらってよいですか?

子どもに答えてもらうときは、名前や連絡先を聞かない無記名の形にするのが分かりやすい方法です。連絡先が必要な場合は、保護者の方に答えてもらうようにします。

アンケートを含めた催事の企画や運営のご相談は、株式会社スカイウォークスの催事・イベントの企画・運営のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお寄せください。

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