催事で使う什器の種類と選び方|テーブル・棚・ケースの比較

催事で使う什器は、商品を並べる台や棚、服を掛けるラック、ガラスのケース、仕切りのパネル、会計のカウンターなど、売場をつくるための道具をまとめた呼び方です。選ぶときは、「商品の大きさと重さ」「どう見せたいか」「区画の広さと会場の決まり」「運びやすさと組み立てやすさ」の4つで考えると決めやすくなります。用意する方法は、会場の備品を借りる、専門の業者から借りる、買う、自分で作る、の4つが代表的です。この記事では、什器の種類と役割、種類と用意の方法の比較、選び方の手順、安全と会場の決まり、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

木の棚に雑貨が並ぶ店内

什器とは?催事で使う什器の全体像

什器(じゅうき)は、辞書では「日常使用する器具・家具類」(デジタル大辞泉)と説明される言葉です。店や催事の現場では、商品を並べたり見せたりするための台、棚、ラック、ケースなどをまとめて「什器」や「店舗什器」と呼ぶことが多くあります。

催事の什器は、役割で分けると整理しやすくなります。

  • 並べる:テーブル、平台、ワゴン、棚
  • 掛ける:ハンガーラック、フックを付けられるパネル
  • 見せる・守る:ガラスのショーケース、ひな壇、ディスプレイ台
  • 仕切る・飾る:パネル、パーテーション、バックボード
  • 会計・受付:カウンター、レジ台
  • 表示する:POP スタンド、プライスカードの立て、イーゼル
  • しまう:在庫を入れる箱や棚、什器の下の収納

ふだんの店と違い、催事の什器は運び込んで組み立て、終わったら片付けるものです。そのため、見た目や使いやすさに加えて、運びやすさと組み立ての手間も選ぶ基準になります。

棚や台を組み合わせた売場

催事で使う什器には、どんな種類がある?

テーブル・平台

もっとも基本になる什器です。天板の上に商品を並べ、布をかけて足元を隠すと、下を在庫の置き場に使えます。中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する J-Net21 では、平台に商品を並べる陳列や山積みの陳列は、商品の量の多さを伝えやすい方法として紹介されています。食品や雑貨、まとめ買いを勧めたい商品に向いています。

ワゴン・カゴ

キャスター付きのワゴンや大きなカゴに、商品を入れて見せる什器です。J-Net21 では、カゴやワゴンに商品を入れる「ジャンブル陳列」は、価格の安さを伝えやすいと紹介されています。手に取って探す楽しさがある一方、高級感は出しにくいため、セール品や小物に向いています。

棚(ゴンドラなど)

段のある棚で、限られた床の面積に多くの商品を並べられます。「ゴンドラ」と呼ばれる陳列棚は、J-Net21 では定番の商品を並べるときに使われる什器として紹介されています。催事では、組み立て式の棚や木製の棚も使われます。高さがあるため、置く場所と倒れないための工夫が必要です。

ハンガーラック

衣料品や小物を掛けて見せる什器です。キャスター付きは動かしやすく、開店前や閉店後の出し入れも楽になります。サイズや色ごとに分けて掛けると、お客様が選びやすくなります。掛ける量が多いと重くなるため、耐えられる重さを確かめて使います。

ショーケース

ガラスで囲まれたケースで、宝飾品、時計、精密機器など、手に取る前に説明したい商品や、盗難を防ぎたい商品に向いています。照明付きのケースは商品を明るく見せられますが、電源が必要です。重く、ガラスが割れるおそれもあるため、運ぶときと置く場所に注意します。

ひな壇・ディスプレイ台

段差をつけて商品を並べる台です。奥の商品を高くすると、通路から全体が見渡せます。テーブルの上に置く小さな台でも、高さに変化をつけられます。見本品を一つずつ見せたいときにも使います。

パネル・パーテーション・バックボード

区画を仕切ったり、ブースの背面に看板や写真を出したりする什器です。商品の説明やブランドの雰囲気を伝える面にもなります。会場によっては、使う材料に防炎の決まりがかかります(後で説明します)。

カウンター・レジ台

会計、受付、説明に使う台です。対面で説明する売り方では、カウンターがブースの中心になります。会計の道具や包装材を置く場所も考えて、大きさを選びます。

POP スタンド・プライスカード立て

価格や説明を表示するための小さな什器です。商品の近くに置く物は読みやすい高さと角度に、遠くから見せる物は高い位置に置きます。詳しくはコラム「のぼり旗・POP・ノベルティの選び方と置き方」で紹介しています。

白い棚と台が置かれた店内

什器の種類と用意の方法を比べると?

まず、種類ごとの特徴を表にまとめます。

種類 向いている商品 よいところ 気をつける点
テーブル・平台 食品、雑貨、まとめ買いの商品 量を見せやすい。下を在庫の置き場にできる 高さが低いため、奥の商品が見えにくい
ワゴン・カゴ セール品、小物 安さが伝わりやすい。動かしやすい 高級感は出しにくい。中が乱れやすい
棚(ゴンドラなど) 品数の多い商品 床の面積あたりに多く並べられる 倒れないための工夫がいる。運搬と組み立てに手間がかかる
ハンガーラック 衣料品、ストールなど サイズや色を比べやすい 掛けすぎると重くなり、選びにくい
ショーケース 宝飾品、時計、精密機器 商品を守りながら見せられる 重い。ガラスの破損に注意。照明付きは電源がいる
ひな壇・ディスプレイ台 小さな商品、見本品 高さの変化で全体を見渡せる 段の上の商品が落ちないように置く
パネル・バックボード 説明やブランドの表示 ブースの印象をつくれる 会場によって防炎の決まりがある
カウンター 説明が必要な商品、受付 会計と説明の場所がはっきりする 通路側に置くと、前に人がたまりやすい

次に、什器を用意する方法を比べます。

方法 よいところ 気をつける点 向いている場面
会場の備品を借りる 運ぶ手間が少ない。会場の決まりに合っている 種類や数が限られる。貸し出しの条件や料金は会場ごとに違う 初めての出店、短い期間の催事
専門の業者から借りる 種類が多く、必要な期間だけ使える。配送や組み立てを頼める場合がある 早めの予約が必要。傷や破損があったときの扱いを確かめる 大きな区画、決まった見せ方をしたい催事
買う くり返し使える。ブースの見た目をそろえられる 保管の場所と運ぶ手段が必要 同じ形の催事に何度も出る場合
自分で作る 区画や商品に合わせた形にできる 強さと安定を自分で確かめる必要がある。材料に防炎の決まりがかかることがある 小さな台やディスプレイの小物
青い棚に瓶を並べた陳列

什器は、どんな手順で選ぶ?

手順1:商品を分けて、見せ方を決める

まず、並べる商品を大きさ、重さ、価格帯、売り方で分けます。手に取って選ぶ商品か、説明してから見せる商品か、量で見せたい商品か、一つずつ丁寧に見せたい商品かによって、合う什器が変わります。

手順2:高さの組み合わせを決める

売れ筋や見てほしい商品は、手に取りやすい高さに置きます。低いテーブル、中くらいの台、高い棚やパネルを組み合わせ、手前を低く奥を高くすると、通路から全体が見えます。J-Net21 では、サイズの大きな商品や重い商品は下に、小さな商品は上に並べる方法が紹介されています。重い物が下にあると、棚も倒れにくくなります。手に取りやすい高さの目安と、ブースの中での高さの使い分けは、コラム「催事ブースのレイアウトの基本」で紹介しています。

手順3:区画に置けるかを図面で確かめる

什器の幅と奥行きを区画の図面に書き込み、通路やお客様の立つ場所が残るかを確かめます。ショーケースの扉やカウンターの内側など、開け閉めや人の出入りに必要な場所も書き入れます。通路の幅や避難の場所の考え方も、同じコラムで紹介しています。

手順4:運べるか、組み立てられるかを確かめる

搬入口、エレベーター、通路の大きさと、台車で運べるかを確かめます。搬入と組み立ての時間が決まっている会場では、工具が要るか、何人でどのくらいの時間がかかるかを、事前に一度組み立てて確かめておくと安心です。

手順5:会場の決まりと照らし合わせる

什器の高さ、区画からのはみ出し、床の保護、電源の使い方、持ち込める材料など、会場の決まりを確かめます。会場の備品を使う場合は、数と貸し出しの条件を早めに確かめます。

木の棚に瓶詰めを並べた売場

安全と会場の決まりで、気をつけることは?

展示用の合板やじゅうたんには防炎の決まりがある

消防法第8条の3では、高層の建物や地下街、劇場、旅館、病院など政令で定める建物で使うカーテンや展示用の合板などは、決められた基準以上の防炎性能を持つものでなければならないとしています。消防庁によると、百貨店、飲食店、地下街など不特定多数の人が出入りする施設が対象に含まれ、対象の物品として、カーテン、布製のブラインド、暗幕、じゅうたん等、展示用の合板、舞台で使う幕や大道具用の合板、工事用シートが挙げられています。

札幌市消防局の資料では、展示用の合板の例として、展示用の台のパネル、掲示板、バックボード、仕切り用のパネルなどが挙げられています。自分で作ったパネルやバックボード、床に敷くじゅうたんを持ち込むときは、会場の決まりと、防炎の性能を示す表示があるかを確かめます。対象になるかどうかの判断は会場や建物によって違うため、詳しくは会場の担当者や所管の消防署にご確認ください。

倒れない・落ちない置き方

東京消防庁は、職場の家具の地震への備えとして、背の高い家具を人のいる場所の近くに置かないこと、なるべく背の低い家具を選ぶこと、家具を固定したり連結したりすることなどを紹介しています。会場では什器を床や壁に固定できない場合もあるため、次のような工夫で倒れにくくします。

  • 背の高い棚やパネルは、壁側や区画の奥に置き、通路側に倒れない向きにする
  • 重い商品は下の段に、軽い商品は上の段に置く
  • 棚どうしを連結できる場合は連結する
  • キャスター付きの什器は、営業中はロックをかける
  • メーカーが示す耐えられる重さ(耐荷重)を超えて載せない

けがと床の傷を防ぐ

  • ガラスの什器は、角や縁に欠けやひびがないかを毎日確かめる
  • テーブルの角や棚の金具など、お客様の体や服が当たる所を確かめる
  • 床を傷つけないよう、什器の脚の保護など、会場の決まりに従う
  • 照明付きの什器や電源を使う什器は、コードを人の通る所に出さない。電源の考え方はコラム「催事ブースの電源と照明の基本」で紹介しています
黒い陳列台を置いた明るい店内

よくある失敗と、什器選びのチェックリスト

よくある失敗

  • 什器が区画に入らない:外側の寸法だけで決め、扉の開け閉めや人の立つ場所を考えていなかった。
  • 搬入口やエレベーターを通らない:組み立て済みの大きな什器を持ち込もうとして、運び込めない。
  • 高さがそろいすぎている:同じ高さのテーブルだけで並べ、奥の商品が見えない。
  • 足元を隠す布がない:テーブルの下の段ボールが見え、売場が雑然と見える。
  • 組み立てに時間がかかる:搬入の時間内に組み立てが終わらない。
  • 持ち込んだパネルが会場の決まりに合わない:防炎の表示がなく、使えない。

チェックリスト

  • 商品を大きさ、重さ、見せ方で分け、合う什器を決めた
  • 手前を低く、奥を高くする高さの組み合わせを決めた
  • 什器の寸法を区画の図面に書き込み、通路とお客様の立つ場所を確かめた
  • 搬入口、エレベーター、台車での運び方を確かめた
  • 組み立ての手順と時間、必要な工具を確かめた
  • 会場の決まり(高さ、はみ出し、床の保護、電源、持ち込む材料)を確かめた
  • パネルや敷物に防炎の表示があるかを確かめた
  • 背の高い什器の置き場所と、重い物を下にする並べ方を決めた
  • 耐荷重と、キャスターのロックを確かめた
  • 足元を隠す布と、在庫を見えない所に置く場所を用意した
  • 借りた什器の返し方と、傷や破損があったときの扱いを確かめた

よくある質問

初めての催事では、什器を買ったほうがよいですか、借りたほうがよいですか?

初めての場合は、会場の備品や借りる方法から始めると、どの什器が合うかを確かめながら費用を抑えやすくなります。何度か出店して必要な什器が決まってきたら、くり返し使う物から買う、という順に考えると無駄が少なくなります。

テーブルクロスは使ったほうがよいですか?

テーブルの下を在庫の置き場にする場合は、足元まで隠れる布を使うと売場がすっきり見えます。布の色は、商品が引き立つ色を選びます。会場によって持ち込む物の決まりがあるため、使う前に確かめます。

食品を並べるときに、什器で気をつけることはありますか?

食品を置く台は、拭きやすく清潔に保てるものを選びます。包装していない食品を扱う場合は、保健所の指導や会場の決まりに従います。試食を出すときの衛生の注意は、コラム「試食・試飲の進め方と衛生の注意点」で紹介しています。

什器は、いくつ用意すればよいですか?

決まった数はありません。区画の図面に什器の寸法を書き込み、通路とお客様の立つ場所が残る範囲で決めます。並べたい商品の量から考えると多くなりやすいため、置く商品を先に絞ってから什器を選ぶと、ブースに入りやすくなります。当日に見せ方を変えたくなったときのために、小さな台を一つ多めに持っていくと調整しやすくなります。

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