催事ブースの電源と照明の基本|容量の計算と安全な配線

催事ブースの電源は、「使う機器の消費電力を合計し、施設から使える容量と、延長コードやテーブルタップの上限を超えないようにする」ことが基本です。照明は、明るさ(ルーメン)、光の色、熱の出方を見て選び、商品に光を当てつつ、通る人がまぶしくならない向きにします。コードを束ねたまま使う、たこ足配線にする、照明の近くに紙や布を置くといった使い方は、発熱や発火につながります。この記事では、催事を担当する方に向けて、電源の計画の立て方、照明の選び方、安全のための注意点、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

机の下に電源をまとめた作業台

催事ブースの電源と照明、まず何を確かめる?

催事ブースで電気を使うときは、最初に、施設の電源を借りられる区画か、電源のない区画かを確かめます。使える電気の量やコンセントの位置、使える時間は施設ごとに決まっているため、出店が決まったら次の点を施設に確かめます。

  • 電源を使えるか、使える場合の容量(何ワットまで、何アンペアまで)
  • コンセントの位置と数、ブースまでの距離
  • 電気を使える時間(設営中、営業中、閉店後)
  • 持ち込める機器の決まり(熱を出す器具、照明、延長コードの種類など)
  • 電気の使用に費用がかかるか、申し込みの期限

同時に、ブースで使う機器を書き出します。照明、レジや決済の端末、タブレット、映像を流す画面、スマートフォンの充電、試食の加熱器具、冷蔵ケース、扇風機やヒーターなどです。キャッシュレス決済の端末を使う場合は、催事でキャッシュレス決済を使う準備もあわせて確かめておきます。

照明は、ブースの見せ方と一緒に考えます。什器や商品の配置が決まると、どこに光を当てるか、どこにコンセントが要るかが決まります。配置の考え方は催事ブースのレイアウトの基本、什器の選び方は催事で使う什器の種類と選び方で紹介しています。

電源タップにつないだ充電器

電源の計画はどう立てる?消費電力の合計から考える

電源の計画は、次の順で立てます。

  1. 使う機器ごとに、本体や取扱説明書に書かれた消費電力(W)を書き出す
  2. 同時に使う機器の消費電力を合計する
  3. 合計が、施設から使える容量と、延長コードやテーブルタップの上限を超えないか確かめる
  4. 超える場合は、機器を減らす、使う時間をずらす、別のコンセントに分けられるかを施設に相談する
  5. コンセントから機器までの配線の道すじを決め、通路をまたがない配置にする
  6. 当日は、使い始めてしばらくしてから、プラグやコードが熱くなっていないかを確かめる

ワットとアンペアの関係

コンセントの電気(100V)では、消費電力(W)をおよそ100で割ると、流れる電流(A)の目安になります。NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)の資料でも、消費電力800Wの電気製品を8Aとして例に挙げています。延長コードやテーブルタップ、コードリールには「接続できる消費電力の上限」があり、NITEは、つないだ電気製品の消費電力の合計が上限を超えないよう呼びかけています。同じ資料では、コードリールの表示の例として、コードを巻いたままなら500W(5A)まで、全部引き出せば1500W(15A)までという例を挙げています。この例では、800Wの製品をコードを巻いたままつなぐと、上限を超えてしまいます。

熱を出す機器は別に考える

電気ケトルやホットプレート、ヒーターのように熱を出す機器は、消費電力の大きいものが多くあります。NITEは、消費電力の大きな機器には延長コードなどをできるだけ使わないよう呼びかけています。こうした機器は、壁のコンセントに直接つなげるか、専用の電源を用意できるかを施設に相談します。

配置図にコンセントと配線を書き込む

ブースの配置図に、コンセントの位置、テーブルタップを置く場所、コードの通り道を書き込みます。コードは什器の裏や壁ぎわを通し、お客様とスタッフが歩く場所を横切らないようにします。レジや決済の端末は、コンセントの近くに置くと配線が短く済みます。図にしておくと、設営を担当する人が変わっても同じ配線にでき、撤収のときの抜き忘れも防げます。

機器ごとの電源の考え方

機器の例 電源の考え方 気をつけること
LED照明 同じ明るさの従来の照明に比べて省エネになる(日本照明工業会) 台数が増えると合計も増えるため、台数分を合計に入れる
レジ、決済端末、タブレット 営業中ずっと使う 電源が落ちたときのために、充電した予備を用意する
スマートフォンなどの充電 USBの充電器をつなぐ 充電器の数が増えると、たこ足配線になりやすい
冷蔵ケース 営業中も閉店後も電気が要ることがある 閉店後に電源が切れないかを施設に確かめる
加熱器具、ヒーター 消費電力が大きいものが多い 延長コードをできるだけ使わない。持ち込めるかを施設に確かめる
天井に並ぶスポットライト

照明はどう選ぶ?明るさ・光の色・熱の出方

照明には、商品を見やすくする役割と、通路の先からブースを目に留まりやすくする役割があります。選ぶときは、明るさ、光の色、熱の出方の3つを見ます。

明るさは「ルーメン(lm)」で見る

日本照明工業会は、LED電球を選ぶときは、パッケージの「ルーメン(lm)」の表記で光の量を見るよう案内しています。ワット(W)は使う電気の量で、光の量を表すのはルーメンです。あわせて、光が全体に広がる型か、下や一方向を明るくする型かも確かめます。商品の一部を照らすならスポットライト、ブース全体を明るくするなら広がる型、というように使い分けます。

光の色で印象が変わる

日本照明工業会は、LED電球の光の色として「電球色」「温白色」「昼白色」「昼光色」の4種類を挙げています。光の色はパッケージに表示されています。

光の色 特長(日本照明工業会の説明) 使い方の例
電球色 電球に似た温かみのある光。落ち着いた雰囲気になる 温かく、落ち着いた印象にしたいとき
温白色 温かみがありながら明るさ感もある光 温かさと明るさを両方ほしいとき
昼白色 生き生きとした自然な光 商品の色を自然に見せたいとき
昼光色 すがすがしい爽やかな光 すっきりした、さわやかな印象にしたいとき

施設の天井の照明と色が大きく違うと、ブースだけが浮いて見えることがあります。設営のときに実際に点けて、通路から見え方を確かめます。

色の見え方には「演色性」も関わります。日本照明工業会は、太陽の光の下で見たときのように物の色が自然に見える、演色性の高いLED照明が登場していると紹介しています。食品や化粧品、衣料など、色が選ぶ決め手になる商品では、照明の演色性の表示も確かめます。

熱の出方を確かめる

日本照明工業会は、LEDの光はハロゲンなどの白熱電球や蛍光ランプに比べて赤外線が少なく、照らす物に大量の熱を与えないため、チョコレートやケーキ、口紅など熱で溶けやすい物を照らすのに向いていると説明しています。食品や化粧品を近くから照らす場合は、照明の種類を確かめます。

向きとまぶしさを確かめる

スポットライトは、商品に向けて上から当てると、通る人の目に光が入りにくくなります。通る人の目に光が直接入る向きにすると、まぶしくて商品が見えにくくなります。設営のあとに、通路の先、ブースの前、レジの位置から見て、まぶしくないかを確かめます。鏡や光沢のある商品は、光の反射も確かめます。

壁のコンセントに挿したプラグ

安全のために守りたいことは?

  • たこ足配線をしない:NITEは、テーブルタップを連結したり、マルチタップを取り付けたりして差し込み口を増やすと、消費電力が大きくなり、電源コードやプラグが異常に発熱するおそれがあるとしています。
  • コードを束ねたまま使わない:束ねた状態で大きな電流を流すと、発熱して発火することがあります。コードリールは、コードを収納したままだと、接続できる消費電力の上限が小さくなります。使うときはコードを全部引き出します。
  • コードに無理な力をかけない:NITEは、電源コードを踏みつける、折り曲げる、引っ張るなど、無理な力が加わる使い方をしないよう呼びかけています。通路をまたぐ場所にコードを通さない、什器の脚で挟まない配置にします。床にコードを通すときは、施設の決まりに沿って、つまずかないように保護します。
  • ほこりと水気を避ける:コンセントとプラグのすき間にほこりや湿気が付くと、刃の間に電流が流れて火花が出る「トラッキング現象」が起き、出火することがあります。試飲の飲み物や加湿器、水滴の付きやすい冷蔵ケースの近くにテーブルタップを置かないようにします。
  • 照明の近くに燃えやすい物を置かない:NITEは、照明器具の近くに燃えやすい物を置いたり、紙や布で覆ったりすると、熱で発煙・発火するおそれがあるとしています。POPや布の装飾を照明に近づけすぎないようにします。
  • 異変を感じたら使うのをやめる:プラグの変形や変色、焦げたようなにおい、異常に熱いといった変化があれば、すぐに使うのをやめます。
  • 携帯発電機は屋内やテントの中で使わない:屋外の催事で発電機を使う場合、排ガスには一酸化炭素が含まれます。NITEは、室内や、テント内など換気の悪い場所では使わないよう注意を呼びかけています。
  • 電気工事は資格のある人が行う:電気工事士法は、住宅や中小規模の施設などの電気設備を設置・変更する工事について、軽微なものを除き、電気工事士などの資格を持つ人でなければ作業してはならないと定めています(第2条・第3条)。より大きな施設では、施設側が電気設備の管理の決まりを設けています。どちらの場合も、出店者が建物の配線に手を加えることはせず、施設の電源から新しく配線が要る場合は施設の担当者に相談します。
  • 電気用品はPSEマークを確かめる:電気用品安全法では、決められた表示(PSEマーク)が付いていない電気用品は、事業として販売したり、販売のために並べたりできません(第27条)。ブースで使う延長コードやテーブルタップも、PSEマークの付いたものを選ぶと安心です。

法令の細かな扱いは、内容によって変わります。詳しくは所管の窓口や専門家にご確認ください。

絡まった黒い電源コード

電源と照明でよくある失敗は?

  • 当日になって容量が足りないと分かる:機器を持ち込んでから合計を計算すると、電気が止まって営業が中断することがあります。事前に一覧を作り、施設に伝えておきます。
  • コンセントが遠く、延長コードが長くなる:配置図にコンセントの位置を書き込まずにレイアウトを決めると、コードが通路をまたぎます。
  • 加熱器具と照明を同じテーブルタップにつなぐ:消費電力の大きな機器とほかの機器をまとめると、上限を超えやすくなります。
  • 照明がお客様の目に入る:設営のときに通路側から見ていないと、まぶしいライトに気づきません。
  • 閉店後の電源の扱いを確かめていない:冷蔵ケースに食品を入れたままにする場合、閉店後に電源が切れると、翌朝に温度が上がっていることがあります。
  • 予備がない:電球や延長コード、充電器の予備がないと、故障したときに代わりがありません。
  • 撤収のときにコードを引っ張って抜く:NITEは、コードを引っ張ったり、コードを持ってプラグを抜いたりすると、プラグの破損や変形、コードの断線が起き、異常発熱して発火するおそれがあるとしています。プラグを持って抜きます。
照明に照らされた棚の陳列

設営の前と当日のチェックリスト

  • 施設に、使える電源の容量、コンセントの位置、使える時間を確かめた
  • 使う機器と消費電力の一覧を作り、同時に使う分を合計した
  • 延長コードやテーブルタップの上限(W)を確かめ、合計が超えないようにした
  • 消費電力の大きな機器は、壁のコンセントに直接つなぐか、施設に相談した
  • コードリールはコードを全部引き出して使う
  • コードを束ねず、通路をまたがない配線にした
  • テーブルタップを、水気やほこりの多い場所に置いていない
  • PSEマークの付いた延長コードやテーブルタップを使っている
  • 照明の明るさ、光の色、熱の出方を確かめた
  • 照明の近くに紙や布の装飾がない
  • 通路側から見て、まぶしくないかを確かめた
  • 使い始めてしばらくしてから、プラグやコードが熱くないかを確かめた
  • 予備の電球、延長コード、充電器を用意した

当日の運営全体は、催事ブースの当日運営チェックリストも参考にしてください。

よくある質問

ブースに電源がない区画では、どうすればよいですか?

充電式の照明や決済端末など、コンセントにつながなくても使える機器で組み立てる方法があります。ポータブル電源などを使う場合も、施設に持ち込めるかを確かめます。燃料を使う携帯発電機は、排ガスに一酸化炭素が含まれるため、屋内やテントの中では使いません。

延長コードは何ワットまで使えますか?

製品によって違います。本体やパッケージに書かれた、接続できる消費電力の上限の表示を確かめます。コードリールは、コードを収納したままだと上限が小さくなります。NITEの資料では、コードを巻いたままなら500W(5A)まで、全部引き出せば1500W(15A)までという表示の例が挙げられています。取扱説明書もあわせて確かめます。

LED照明なら、熱の心配はありませんか?

日本照明工業会は、LEDの光は赤外線が少なく、照らす物に大量の熱を与えないと説明しています。一方で、NITEは照明器具の近くに燃えやすい物を置かないよう呼びかけています。LEDでも、紙や布を照明に近づけすぎないようにします。

照明の色は、どれを選べばよいですか?

扱う商品と、見せたい印象で選びます。温かく落ち着いた印象なら電球色、商品の色を自然に見せたいなら昼白色、というように考えます。施設の照明との差も見え方に関わるため、設営のときに実際に点けて確かめます。

催事ブースの設営や運営のご相談は、株式会社スカイウォークスの催事・イベントの企画・運営のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお寄せください。

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