のぼり旗・POP・ノベルティの選び方と置き方|催事ブースで目に留まる工夫

催事ブースの販促物は、見る人との距離で役割を分けると選びやすくなります。遠くの人には、のぼり旗で「何のブースか」を知らせます。近づいた人には、POPで商品の特長や価格を伝えます。話を聞いてくれた人には、ノベルティを渡して、帰ったあとにも思い出してもらいます。どれも、文字を少なくし、文字と背景の明るさの差をはっきりさせ、通る人の目の高さと進む向きに合わせて置くのが基本です。この記事では、販促担当の方に向けて、選び方と置き方、モールの決まりと景品表示法の要点、よくある失敗をまとめます。

のぼりが並ぶ日本の通り

のぼり旗・POP・ノベルティは、それぞれ何をする?

3つの販促物は、お客様がブースに近づく順に働きます。

販促物 主な役割 見る距離 伝えること
のぼり旗 ブースの場所と中身を遠くから知らせる 通路の先から 何のブースか、何ができるか
POP 商品のそばで、選ぶ手がかりを伝える 商品の前で 特長、価格、試せること
ノベルティ 会社や商品を覚えてもらう 手元で 会社名、商品名、問い合わせ先

POPは「Point of Purchase advertising」の略で、「購買時点の広告」と訳されます。中小企業基盤整備機構が運営する J-Net21 では、POPを「もの言わぬ第2の販売員」と表しています。販促物ごとの役割が重ならないようにすると、それぞれに書く言葉を絞り込めます。

予算が限られるときは、まず「何のブースか」が伝わるのぼり旗や看板と、商品の前のPOPを先に用意します。ノベルティは、誰に、いつ渡すかが決まってから選ぶ方が、むだが出にくくなります。

店の看板が並ぶ通り

遠くから・近くから見たとき、何が見える?

人が読める文字の大きさは、見る距離で変わります。国土交通省の「バリアフリー整備ガイドライン 旅客施設編」(令和7年9月版)は、駅などの案内表示について、見る距離ごとに読める文字の大きさの目安を示しています。

見る距離 和文の文字の高さ
20m 80mm以上
10m 40mm以上
4~5m 20mm以上
1~2m 9mm以上

ガイドラインでは、これらは最低限の目安で、見えにくさのある方(ロービジョン者)のためには、より大きな文字が必要になるとしています。販促物のための数字ではありませんが、文字の大きさを決めるときの手がかりになります。

距離ごとの見え方は、次のように考えると整理できます。

  • 通路の先から:歩いている人は、ブースの前を短い時間で通り過ぎます。読めるのは、多くの場合、色のかたまりと短い言葉です。ここで働くのが、のぼり旗です。
  • ブースの近くから:足をゆるめた人は、看板やパネルで会社名や商品名を確かめます。
  • 商品の前で:立ち止まった人は、POPで特長や価格を読みます。
  • 手元で:話を聞いた人が持ち帰るチラシやノベルティに、詳しい情報を入れます。

印刷する前に原寸に近い大きさで試しに出し、通路の先、ブースの前、商品の前から見て確かめると安心です。照明の当たり方でも見え方は変わるため、会場に近い明るさで見ておくと、当日の差が小さくなります。ブースの明かりの考え方は、コラム「催事ブースの電源と照明の基本」で紹介しています。

木の台に置いた値札

文字の量と色は、どう考えればよい?

文字は「1枚に1つのこと」

のぼり旗に書くのは、何を扱うブースか、何ができるかを表す一言です。社名、商品の特長、価格、キャンペーンをすべて載せると、遠くからはどれも読めなくなります。

のぼり旗は細長い形のため、文字を縦長に詰めたくなります。国土交通省のガイドラインも、文字を縦長にしすぎると読みやすさが下がるとしています。文字数を減らして、一文字ずつを大きく見せる方が伝わりやすくなります。

POPは、見出し、短い説明、価格の3つを基本にします。J-Net21 では、価格だけを訴えるPOPにならないよう、その商品を選ぶ理由を自分の言葉で伝えることを勧めています。「何が」「誰に」「どう良いのか」を短く書くと、読んだ人が自分に関係があるかを判断しやすくなります。

色は「明るさの差」と「色だけに頼らない」

色を選ぶときは、文字の色と背景の色の明るさの差を大きくします。国土交通省のガイドラインでは、案内表示について、文字と背景の明度などの差を大きくすることのほか、次の点を挙げています。

  • 高齢の方に多い白内障に配慮して、青と黒、黄と白の組み合わせは使わない
  • 「赤と緑」「赤と黒」「緑と茶色」などは、色の見え方に特性のある方にとって見分けにくい組み合わせの例
  • 色で区別するときは、文字を添えるなど、色だけに頼らない表し方にする

販促物でも、たとえば「おすすめ」を赤い印だけで示さず、文字で「おすすめ」と書くと、多くの方に伝わりやすくなります。使う色の数は絞り、会社やブランドの色を1つ決めて、のぼり旗、看板、POP、ノベルティでそろえると、同じブースのものだとひと目でわかります。書体は、案内表示に望ましいとされる角ゴシック体のような、読みやすいものを選びます。

価格を書くときは、総額で

お客様に向けて価格を表示するときは、消費税を含めた総額を示すことが求められています。国税庁は、店頭の表示やチラシなど、表示の媒体を問わず対象になるとしています。POPに価格を書くときは「1,100円(税込)」のように、支払う総額がわかる書き方にします。値下げ前の価格と並べる書き方などの注意点は、コラム「催事の価格表示で気をつけること」で紹介しています。

服を飾ったショーウィンドウ

置く高さと向きは、どう決める?

高さ:遠くから見る物は高く、近くで読む物は目の高さに

同じガイドラインでは、遠くから見る案内表示は、見る位置から見上げる角度が10°より下の範囲で、なるべく高く掲げるのが適当としています。前を歩く人の頭に隠れず、それでいて見上げすぎない高さです。のぼり旗やブースの看板は、この考え方を参考に、通路の先から人の頭越しに見える高さに置きます。

一方で、近くで読む物は、目の高さに近い位置に置きます。ガイドラインの図では、歩く人の目の高さを床から1,560mm、車いすを使う方を1,175mmとしています。子ども連れの方や車いすを使う方も来るため、POPは高い位置だけでなく、低い位置からも読めるようにします。商品を置く台の上に立てるPOPは、少し上向きに傾けると、立ったままでも読みやすくなります。

向き:人が来る方向に正面を向ける

布の面が通路と平行になるように立てたのぼり旗は、正面から来る人には横向きになり、近づくまで文字が読めません。のぼり旗は、布の面が、向かってくる人の正面になるように向けます。

通路の両側から人が来る場所では、向きを分けて立てる方法もあります。片面だけに印刷したのぼり旗は、裏から見ると文字が左右反対に見えるため、どちらから来る人に読ませたいかを決めて向きを選びます。POPは、どの商品のものかが迷わずわかるよう、商品のすぐ前に、お客様の側へ正面を向けて置きます。

どの販促物も、通路や避難口、消火器の前をふさがない位置に置きます。のぼり旗の台やスタンドは、人が触れても倒れにくいように置き、脚が通路に出ないようにします。当日に確かめる項目は、コラム「催事ブースの当日運営チェックリスト」に、通路や動線の考え方は「催事ブースのレイアウトの基本」にまとめています。

リボンを掛けた黒いギフトボックス

ノベルティは、どう選べばよい?

ノベルティは、目的から選びます。会社名を覚えてもらいたいのか、話のきっかけにしたいのか、説明を聞いてくれたお礼にしたいのかで、向く物が変わります。選ぶときは、次の点を確かめます。

観点 確かめること
持ち帰りやすさ 軽く、かさばらず、買い物の荷物に入る大きさか
使う場面 日常で使い、使うたびに商品や会社を思い出せるか
名前の入れ方 会社名や問い合わせ先が読めるか。入れすぎて使いにくくなっていないか
安全 子どもが手に取っても危なくないか
数と予算 配る人数の見込みに合っているか。余ったときの扱いを決めたか

ノベルティを渡す相手とタイミングも、先に決めておきます。通りかかった人の多くに渡すのか、説明を聞いてくれた人にパンフレットと一緒に渡すのかで、選ぶ物も、用意する数も変わります。アンケートへの回答と引き換えに渡す場合は、受け取った個人情報を何に使うかをあらかじめ示します。アンケートの取り方は、コラム「催事のアンケートの取り方と個人情報の扱い」で紹介しています。

渡した数を日ごとに記録しておくと、声をかけた数や申込みの数と並べて、ノベルティが話のきっかけになったかを振り返れます。振り返り方は「販促イベントの効果の測り方」で紹介しています。

日の差すショッピングモールの通路

モールの決まりで、何を確かめる?

販促物の使い方は、モールごとに決まりがあります。区画を申し込むときに、次の点を書面で確かめておくと、当日に作り直す手間を防げます。

項目 確かめること
のぼり旗 使ってよいか、本数、置ける場所、高さの上限
看板やパネル 床置き、天井からの吊り下げ、柱や壁への貼り付け、区画の外へのはみ出しができるか
ノベルティとチラシ 通路で配ってよいか、区画の中だけか、配ってよい物の種類
燃えにくさ 布の装飾や、のぼり旗に防炎の性能を求められるか
音と映像 モニターで映像を流してよいか、音を出してよいか、画面の明るさに決まりがあるか

消防法では、百貨店のように不特定多数の人が出入りする建物で使うカーテンや展示用の合板などに、燃えにくい性能を持つ物(防炎物品)を使うことが決められています(総務省消防庁)。のぼり旗や布の装飾についても、モールによっては防炎の物を求めることがあります。詳しくはモールの担当者と、所管の消防署にご確認ください。

モールの駐車場など建物の外でのぼり旗を使う場合は、自治体の屋外広告物条例の対象になることがあります。許可が要るかどうかは、自治体や広告物の大きさなどによって違います。また、道路(歩道を含む)に、許可を得ずにのぼり旗や置き看板を出すことは、道路法などの法令で認められていません(大阪市などが案内しています)。屋外で使う予定があれば、会場のある自治体の窓口に確かめます。

セールの案内の札

景品表示法で、気をつけることは?

販促物には、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の決まりが関わります。ここでは、一般的な考え方だけをまとめます。

ノベルティと「景品類」

消費者庁の説明では、景品類は、お客様を誘う手段として、事業者が自分の商品やサービスの取引に付随して提供する物品や金銭などを指します。ノベルティも、購入や契約、来店などに合わせて配る場合は、景品類に当たることがあります。

景品の決まりには、くじなどで当たる人を決める「懸賞」と、商品を買った人や来店した人などにもれなく渡す「総付景品」などの種類があります。それぞれに、提供できる景品の上限の額などが決まっています。配り方によって当てはまる決まりが変わるため、ノベルティの内容と配り方を決めた段階で確かめておきます。

消費者庁が示す景品類の最高額は、次のとおりです(2026年11月時点)。

種類 取引の価額 景品類の最高額
一般懸賞 5,000円未満 取引の価額の20倍
一般懸賞 5,000円以上 10万円
総付景品 1,000円未満 200円
総付景品 1,000円以上 取引の価額の10分の2

一般懸賞では、景品類の総額も、懸賞に関わる売上の予定総額の2%までとされています。商店街などが共同で行う懸賞(共同懸賞)は、取引の価額にかかわらず最高額が30万円、総額が売上の予定総額の3%までです。懸賞と総付景品のどちらでも、購入を条件とせずに来店した人に景品類を渡す場合の取引の価額は、原則として100円とされています。このため、来店した人にもれなく渡す景品類は、原則として200円までになります。

一方で、社名入りのカレンダーやメモ帳のように、事業者名を広告するための物で適当な限度のものや、試食や試用のための見本は、原則として総付景品の制限の対象から外れるとされています(消費者庁の運用基準)。社名を入れたノベルティを配るときも、どの扱いになるかを確かめておくと安心です。

のぼり旗やPOPの言葉も「表示」

景品表示法の「表示」には、ポスターや看板、チラシ、口頭での説明なども含まれます(消費者庁)。のぼり旗やPOPに書く言葉も、こうした表示に当たると考えて、内容を確かめます。品質などを実際より著しく良く見せる表示(優良誤認表示)や、価格や取引の条件を実際より著しく得に見せる表示(有利誤認表示)は禁止されています。

たとえば、ほかと比べる言葉や、「期間限定」「先着」などの条件を書くときは、根拠と実際の条件が合っているかを確かめます。詳しくは消費者庁の資料や、所管の窓口、専門家にご確認ください。

円形に並べた赤い紙袋

のぼり旗・POP・ノベルティのほかに、使える販促物は?

ブースの広さや目的によっては、ほかの販促物を組み合わせると伝わりやすくなります。主なものを表にまとめました。

販促物 向く使い方 気をつけること
タペストリーやバナースタンド 区画の背面や入口で、会社名や商品名を大きく見せる 区画からはみ出さず、倒れにくく置く
プライスカード 商品の前で、価格と短い説明を伝える 価格は総額で書き、商品とずれないように置く
チラシやパンフレット 持ち帰って、詳しい内容を読んでもらう 配る場所と方法をモールの決まりに合わせる
モニター 動きで目を引き、使い方を見せる 電源、音、画面の明るさの決まりを確かめる
見本や試供品 試してもらい、良さを知ってもらう 食品は衛生の決まりを確かめる

台や棚の選び方は「催事で使う什器の種類と選び方」、試食の進め方は「試食・試飲の進め方と衛生の注意点」で紹介しています。

刷り上がった印刷物を確かめる手元

販促物づくりでよくある失敗は?

販促物で起きやすい失敗は、作る前の確かめで多くを防げます。

  • 伝えたいことを詰め込む:1枚に載せることを1つに絞り、詳しい内容はチラシに回します。
  • 会場で初めて大きさを見る:原寸に近い大きさで試しに出し、離れた所から見ておきます。
  • 日付や価格を入れて使い回せない:変わる情報は、差し替えられるカードやシールに分けます。
  • モールの決まりに合わず使えない:本数、高さ、防炎、配る場所を、作る前に書面で確かめます。
  • ノベルティが足りない、または大きく余る:配る相手とタイミングを決め、見込みの数を出してから用意します。

作る前には、次の点を確かめておくと安心です。

  • 販促物ごとに、目的と見る距離を決めた
  • 文字と背景の明るさの差があり、色だけに頼っていない
  • 価格は総額で書き、条件の表示は根拠と合っている
  • モールの決まり(本数、高さ、防炎、配る場所)を確かめた
  • ノベルティの配り方と、景品の決まりを確かめた

よくある質問

のぼり旗は、何本立てればよいですか?

本数は、モールの決まりと区画の広さで決まります。多く立てれば目に留まるとは限らず、通路の先から見える位置に、向きを考えて立てる方が伝わることもあります。

POPは、手書きと印刷のどちらがよいですか?

どちらにも良さがあります。手書きは書いた人の言葉が伝わりやすく、印刷は見た目や大きさをそろえやすくなります。J-Net21 では、色や書き方を店のコンセプトに合わせること、ふぞろいで統一感がない状態を避けることを挙げています。

のぼり旗やPOPは、次の催事でも使い回せますか?

何のブースかを伝える言葉だけを載せたものは、使い回しやすくなります。日付や価格、キャンペーンの内容は変わるため、差し替えられる部分に分けておきます。使い終わったら、汚れや破れを確かめてからしまいます。

販促物は、いつごろまでに用意すればよいですか?

印刷や加工にかかる日数と、原寸で確かめる時間を見込んで、開催日から逆算します。モールによっては、申込みのときに販促物の内容を確かめることもあるため、早めに案を作っておくと進めやすくなります。

販促物を含めた催事ブースづくりのご相談は、株式会社スカイウォークスの催事・イベントの企画・運営のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお寄せください。

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