ショッピングモール催事の出店から撤収までの流れ

ショッピングモールの催事への出店は、5つの段階で進めます。「目的と条件を決める」「モールに申し込む」「ブースと人と物を準備する」「当日を運営する」「撤収して振り返る」です。どの段階も、開催日から逆算して予定を組むことが大切です。モールとの調整には時間がかかることがあるため、日程の候補が決まったら早めに相談を始めると、準備に余裕が生まれます。この記事では、企業の販促担当の方に向けて、出店から撤収までの流れと、段階ごとに確かめたいこと、よくある失敗をまとめます。

広い吹き抜けのあるショッピングモールの館内

ショッピングモールの催事とは?

ショッピングモールの催事は、通路や広場などの共用スペースを期間を区切って借り、商品の販売やサービスの案内を行う出店の形です。常設の店舗を構えなくても、買い物に来た多くの人が行き交う場所で、自社の商品に触れてもらえます。

催事に向いている目的には、次のようなものがあります。

  • まだ自社を知らない人に、商品を知ってもらう
  • 実際に試してもらい、購入や契約につなげる
  • 地域のお客様の反応を確かめる
  • 新商品やキャンペーンを知らせる

一方で、常設の店舗とは違い、ブースの設営と撤収を毎回行います。モールごとに決まりがあり、それに合わせた準備も欠かせません。常設の店舗との主な違いを、表にまとめました。

項目 モールの催事 常設の店舗
期間 区切った期間だけ開く 続けて営業する
場所 通路や広場などの共用スペースの区画 入居した店舗の区画
設営 出店のたびに設営と撤収をする 内装は開店のときに整える
来る人 買い物の途中で通りかかる人が多い 店を目当てに来る人もいる
決まり 催事ごとにモールの決まりを確かめる 入居の契約で決まる

通りかかる人は、自社の商品を探しているとは限りません。短い時間で「何のブースか」を伝える工夫が要ります。催事と物産展、ポップアップストア、マルシェの違いは、コラム「催事・物産展・ポップアップストア・マルシェの違い」で紹介しています。

付せんに予定を書き出している手元

出店から撤収までの流れは?

全体の流れと、販促担当の方が決めることを表にまとめました。

段階 主な作業 販促担当が決めること
1. 目的と条件を決める 目的、目標、予算、期間、候補のモールを整理する 何をもって成功とするか
2. モールに申し込む 空き状況の確認、申込み、審査、条件のすり合わせ 出店の内容と販売の方法
3. ブースと人と物を準備する ブースの設計と造作、スタッフの確保と研修、販促物と在庫の用意 伝えたい内容と、その優先順位
4. 当日を運営する 搬入と設営、接客と販売、記録、日々の締め 当日の連絡の体制
5. 撤収して振り返る 搬出、原状回復、モールへの報告、結果の分析 次回に生かす点

段階ごとにかかる期間は、モールの審査の進み方、ブースの造作の大きさ、スタッフの研修の量によって変わります。一般に、時間がかかりやすいのは、段階2のモールとの調整と、段階3の造作の準備です。開催日を決めたら、この2つの締め切りから先に置くと、予定を組みやすくなります。

開催日から逆にたどり、締め切りを次の順に並べると、抜けが見つけやすくなります。

  1. モールへの申込みの締め切り
  2. 審査の結果と、条件が決まる日
  3. 造作や什器の発注の締め切り
  4. 販促物の入稿と、在庫の納品の締め切り
  5. スタッフの研修の日
  6. 搬入と設営の日
明るく広いショッピングモールの通路

段階1:目的と条件を決める

最初に決めるのは、催事の目的です。目的によって、選ぶモール、ブースの形、必要な人数が変わります。

目的が決まったら、目標を数字で置きます。たとえば、声をかけた数、立ち止まって話を聞いた人の数、試した人の数、購入や契約の数です。どの数字を追うかを先に決めておくと、当日の記録の取り方も決まります。目標の立て方は、コラム「催事の売上目標の立て方と振り返り方」で詳しく紹介しています。

あわせて、予算、期間、曜日、候補の地域とモールを整理します。平日と週末、昼と夕方では、来場する人の層が変わることがあります。商品の対象に合う日程を選びます。

予算を考えるときは、モールに払う出店料だけでなく、次のような費用も一覧にしておくと、あとで足りなくなることを防げます。

  • ブースの造作と、什器の購入や借用
  • スタッフの人件費と、研修の時間
  • のぼり旗、POP、チラシ、ノベルティなどの販促物
  • 在庫の運搬、移動、遠方の場合の宿泊
  • モールに求められた場合の保険

決めた目的、目標、予算は、社内で共有できるように企画書にまとめておきます。書き方は、コラム「販促イベントの企画書の書き方」を参考にしてください。

書類を確かめている手元

段階2:モールに申し込む

出店の申込みは、一般にモールの運営や管理を行う会社の窓口が受け付けます。空き状況を確かめたうえで、出店の内容を伝え、審査を受けます。申込みでは、次のような項目を伝えることが多くあります。

  • 会社の情報と、出店の目的
  • 販売する商品やサービスと、販売の方法
  • ブースの広さ、レイアウト、使う什器
  • 電源が要るかどうかと、使う機器
  • スタッフの人数と、声かけやチラシ配りの予定
  • 期間と、搬入・撤収の希望の日時

モールによっては、ほかのテナントと取り扱いが重なるかを見て、出店の可否や販売の範囲が決まることがあります。出店料の形も、期間で決まった額、売上に応じた額、その組み合わせなど、モールによって異なります。条件は書面で確かめておきます。

候補のモールを比べるときは、来場する人の層、区画の位置と人の流れ、周りの店の取り扱い、開催の時期を見ます。同じモールでも、入口の近くか奥の広場かで、通る人の数が変わります。下見ができる場合は、出店を考えている曜日と時間帯に歩いてみます。

出店が決まったら、モールの決まりを細かく確かめます。声かけをしてよい範囲、音の大きさ、チラシを配る場所、写真の撮影、搬入口と搬入の時間、駐車場、ごみの出し方などです。賠償責任保険への加入を求められる場合もあります。

食品を売る場合や、試食を出す場合は、売り方によって保健所への許可や届出が要ることがあります。扱いは地域によって違うため、モールの担当者と、会場のある地域の保健所に早めに確かめます。試食の進め方は、コラム「試食・試飲の進め方と衛生の注意点」で紹介しています。

条件のすり合わせでは、一般に次の点も書面に残しておくと、あとで食い違いが起きにくくなります。

  • 出店料の額と、支払いの時期
  • 区画の位置と広さ、隣の区画との間隔
  • 電源の容量と、貸し出しの什器の有無
  • 中止や延期になったときの扱い
  • モールの担当者と、当日の連絡の窓口
閉じた段ボール箱

段階3:ブースと人と物を準備する

ブースを設計して造作する

ブースは、通りかかった人がひと目で「何のブースか」をわかる見た目にします。看板の言葉は短くし、商品は手に取りやすい位置に置きます。通路をふさがないこと、避難の妨げにならないことも確かめます。装飾に使う素材には、燃えにくい性能を求められるなど、防火の面で決まりがある場合があります。モールの担当者に事前に確かめ、詳しくは所管の消防署などにご確認ください。

設計では、お客様が立ち止まる場所、話を聞く場所、申込みや会計をする場所を分けて考えると、混んだときにも通路にはみ出しにくくなります。造作の寸法は、区画の広さだけでなく、搬入口やエレベーターを通る大きさかどうかも確かめます。詳しくは「催事ブースのレイアウトの基本」「催事で使う什器の種類と選び方」「催事ブースの電源と照明の基本」で紹介しています。

スタッフをそろえて研修する

当日の人数は、ブースの広さ、営業時間、休憩の交代を考えて決めます。現場の責任者を決め、モールや社内との連絡をその人にまとめます。人数とシフトの考え方は、コラム「催事スタッフの人数の考え方とシフトの組み方」で紹介しています。

研修では、商品の知識、お客様への説明の流れ、よくある質問への答え方、モールの決まりを伝えます。説明の内容は運営マニュアルにまとめ、全員が同じ説明をできるようにします。お客様役と説明役に分かれて試すと、言葉に詰まる所が見つかります。

運営マニュアルには、一般に次のような項目を入れます。

  • 催事の目的と、その日の目標
  • 日程と、開店から閉店までの時間割
  • ブースの図と、物の置き場所
  • 役割の分け方と、連絡の経路
  • 商品の説明の流れと、よくある質問への答え
  • モールの決まりと、守るべき法令の要点
  • トラブルが起きたときの最初の動き
  • 記録と日報の書き方

販促物と在庫を用意する

チラシ、のぼり、パネル、ノベルティ、申込書、在庫、決済の端末などを一覧にし、誰がいつまでに用意するかを決めます。関係するコラムは「のぼり旗・POP・ノベルティの選び方と置き方」「催事の事前告知の方法」「催事でキャッシュレス決済を使う準備」です。

販売する商品や配る物によっては、法令の決まりがあります。購入や契約、来店などに合わせて景品やノベルティを付ける場合は、景品表示法の決まりがあります。通信サービスの契約を勧める場合は、電気通信事業法の決まり(契約前の説明など)があります。アンケートや申込書でお客様の情報を受け取る場合は、使う目的をあらかじめ示し、保管と廃棄の方法を事前に決めておきます。期間を区切った催事での販売は、条件によって特定商取引法の対象になる場合があります。詳しくは所管の行政機関や専門家にご確認ください。

特定商取引法の訪問販売に当たる場合は、勧誘の初めに事業者の名前や勧誘の目的を伝えることや、クーリング・オフに関する事項など、決められた事項を書いた書面を渡すことが求められます(消費者庁)。価格の表示は「催事の価格表示で気をつけること」、アンケートの扱いは「催事のアンケートの取り方と個人情報の扱い」で紹介しています。

催事の会場で人が集まっている様子

段階4:当日を運営する

当日は、モールが指定する時間と経路で搬入し、開店までに設営を終えます。入館の手続き、電源や機器の動作、販促物の配置を確かめ、開店前の朝礼で目標と役割を共有します。

営業中は、決められた範囲で声をかけ、話を聞いてくださる方に商品を説明します。声かけの数や契約の数は、時間ごとに記録しておくと、あとで振り返りやすくなります。休憩の交代、在庫の補充、ブースの整理も、時間を決めて行います。在庫の持ち方は、コラム「催事の在庫の持ち方と補充のコツ」で紹介しています。

苦情や迷子など、予定にないことへの対応は現場の責任者に集めます。備え方は「催事での苦情の初期対応」「子ども連れ向けイベントの工夫と安全の配慮」で紹介しています。

閉店後は、売上や記録を締め、日報にまとめます。複数日にわたる催事では、ブースに残す物の管理の方法を、モールの決まりに沿って決めておきます。

当日に確かめる項目は、別のコラム「催事ブースの当日運営チェックリスト」に表でまとめています。

開けた段ボール箱

段階5:撤収して振り返る

最終日は、モールが指定する時間に撤収を始めます。造作の解体、搬出、床や壁の原状回復、ごみの処理、借りた物の返却を行い、最後にモールの担当者へ終了を伝えます。

原状回復では、テープの跡、床の傷、什器の脚の跡が残っていないかを確かめます。設営のときに床を養生しておくと、撤収の手間が減ります。解体の順番と担当も、前もって決めておきます。

撤収のあとは、結果を振り返ります。目標の数字と実績を比べ、来場が多かった時間帯、よく聞かれた質問、説明でつまずいた点を整理します。次に出店するときの改善点を報告書にまとめ、社内で共有します。振り返りは、記憶が新しいうちに行う方が、細かな気づきを残せます。効果の測り方は「販促イベントの効果の測り方」で紹介しています。

運営を外部に任せた場合は、一般に、日ごとの日報と、期間の終わりの報告書で結果を受け取ります。報告書には、次のような項目があると、次回の計画に使いやすくなります。

  • 目標の数字と実績
  • 時間帯ごとの声かけの数と、契約や購入の数
  • よく聞かれた質問と、お客様の反応
  • モールとのやり取りで気づいたこと
  • 次回に向けた改善点

報告の項目と頻度は、依頼の前に決めておきます。

打ち合わせのあとに握手をする様子

どこまでを外部に任せられる?

催事の準備と運営は作業が多く、販促担当の方だけで進めると負担が重くなりがちです。外部に任せる場合は、自社で決めることと、任せられることを分けておくと、話が早く進みます。

項目 自社で決めること 一般に任せられることの例
目的と目標 何をもって成功とするか 目標の数字の立て方の提案
企画 伝えたい内容と予算 企画書、実施計画書、運営マニュアルの作成
ブース 扱う商品と、表示の内容 ブースの設計、造作と施工
運営 中止や内容の変更など、催事そのものの判断 現場の運営とスタッフへの指示(受託側の責任者が行う)
振り返り 次回の方針 記録の集計と報告

どこまでを任せるかは、社内の人手、催事の経験、期間の長さで考えます。初めての出店で進め方がわからないときは企画から、社内に経験があり人手が足りないときは当日の運営だけ、というように分け方はさまざまです。

外部に任せる場合は、現場での判断を誰が行うかも決めておきます。請負や準委任の契約では、一般に、現場のスタッフへの指示は受託側の責任者が行います。発注側からの要望は、受託側の責任者を通して伝えます。

スカイウォークスがお引き受けするのは、企画書、実施計画書、運営マニュアルなどの提案から、造作、運営までです。上の表のうち、どこまでをお任せいただくかは、ご要望に合わせてご提案します。ご依頼の内容に合わせて、契約の形もご相談します。

付箋とノートが散らかった机

出店でよくある失敗は?

初めての出店で起きやすい失敗と、防ぎ方をまとめました。多くは、段階1から段階3の準備で防げます。

よくある失敗 防ぎ方
当日になってモールの決まりを知る 決まりを書面でもらい、運営マニュアルに写す
造作が区画や搬入口に収まらない 搬入の経路と、エレベーターの大きさも確かめる
終わったあとに振り返れない 段階1で目標の数字と記録の取り方を決める
スタッフごとに説明が違う 説明の流れと答えを運営マニュアルにまとめ、研修で試す
忙しい時間に在庫や販促物が切れる 補充の時刻と担当を決め、予備の置き場所をモールに確かめる
撤収が時間内に終わらない 撤収の手順と担当を前もって決める

起きた失敗は報告書の「次回に向けた改善点」に書き、運営マニュアルへ反映します。

チェックリストを書き込む手元

出店の準備で確かめる要点のまとめ

ここまでの内容を、出店の前に確かめる要点として短くまとめます。

  • 催事の目的と、追う数字を決めた
  • 予算を一覧にし、締め切りと担当を決めた
  • モールとの条件と決まりを書面で確かめた
  • 食品や試食があれば、保健所への許可や届出の要否を確かめた
  • ブースが区画と搬入の経路に収まり、通路と避難の妨げにならない
  • 現場の責任者を決め、運営マニュアルと研修を用意した
  • 景品、表示、個人情報など、関わる法令の要点を確かめた
  • 撤収の手順と、振り返りの日を決めた

よくある質問

準備は、いつごろから始めればよいですか?

モールの空き状況や審査、造作の準備によって変わります。日程の候補が決まった段階で、早めに相談を始めることをおすすめします。スカイウォークスにご相談いただく場合は、内容に合わせて準備の進め方をご提案します。

出店にかかる費用は、どのように決まりますか?

モールに払う出店料のほか、ブースの造作、スタッフ、販促物、移動などの費用がかかります。出店料の形はモールによって異なります。スカイウォークスにご依頼いただく場合は、内容に合わせてお見積りを提出します。

出店の申込みは、どこにすればよいですか?

一般に、モールの運営や管理を行う会社の窓口が受け付けます。まず空き状況を確かめ、出店の内容を伝えてから、審査を受ける流れです。

初めての出店では、まず何を決めればよいですか?

催事の目的、追う数字、予算、期間の候補の4つです。これが決まると、選ぶモールやブースの形、必要な人数を考えやすくなります。

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