子ども連れ向けイベントの工夫と安全の配慮|準備と当日の確認

子ども連れのお客様に向けたイベントは、「年齢に合った楽しみ方」と「起こりやすい事故への備え」を、同じ計画の中で考えるのが基本です。対象の年齢を決めて内容と道具を選び、保護者が見守りやすい配置にし、誤飲・転倒・迷子・暑さ・食物アレルギーへの対策を事前に決めておきます。消費者庁の事故防止ハンドブックは、周りの大人が身の回りの環境を整えることで防げる事故があるとしています。この記事では、催事や店頭のイベントを担当する方に向けて、企画の選び方、安全のための準備、会場づくりと当日の注意点、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

商業施設を歩く親子

子ども連れ向けイベントで、最初に考えることは?

子ども連れ向けのイベントに来るのは、子どもだけではありません。保護者や祖父母、ベビーカーに乗った乳幼児、きょうだいなど、年齢も動き方も違う人が一緒に来ます。企画を考えるときは、次の2つを同時に決めます。

  • 楽しめる工夫:対象の年齢に合った内容、短い所要時間、待ち時間の少ない進め方、保護者も一緒に楽しめるしかけ
  • 安全の配慮:誤飲・窒息、転倒・転落、迷子、暑さや寒さ、食物アレルギー、けがや体調不良のときの対応

消費者庁の「子どもを事故から守る!事故防止ハンドブック」は、0歳から6歳まで(小学校入学前)の子どもに起こりやすい事故と、その予防法をまとめた資料です。家庭向けの資料ですが、イベントの会場で起こりうることを洗い出すときにも参考になります。こども家庭庁も「こどもの事故防止ハンドブック」として案内しています。

環境省の「夏季のイベントにおける熱中症対策ガイドライン2020」は、イベント会場には小さな子ども連れや車いすを使う人など、いろいろな人がいると述べています。そのうえで、非常時の案内は音声や文字だけでは伝わらない場合があるため、スタッフが手助けする体制を用意しておくことを挙げています。

テーブルで工作をする子どもたちの手元

楽しめる企画は、どう選ぶ?

選ぶときの手順

  1. 対象の年齢を決める:「未就学児と保護者」「小学生」のように、主な対象を決めます。年齢の幅が広いときは、難しさを2段階に分けるなどの工夫をします。
  2. 所要時間を決める:小さな子どもと一緒だと、長い待ち時間や長い説明は負担になりがちです。1回の時間を短めにし、途中で抜けても困らない内容にします。
  3. 道具と材料を確かめる:はさみ、のり、小さな部品、食べ物など、使う物ごとに危ない点がないかを確かめます。
  4. 待ち方を決める:整理券や予約の時間を示し、長い列をつくらない進め方にします。環境省のガイドラインでも、集合の時刻を示して長い時間待たせない工夫が挙げられています。
  5. 保護者の居場所をつくる:子どもが参加している間、保護者が近くで座って見守れる場所を用意します。
  6. 告知で条件を伝える:対象年齢、所要時間、保護者の付き添いが要るか、汚れてもよい服装がよいかを、事前の告知に書きます。

企画の種類と、確かめる点

企画の種類 楽しめる点 主に確かめること
工作・塗り絵 作った物を持ち帰れる はさみなどの刃物、のり、小さな部品、座る場所の数
スタンプラリー 会場を回る楽しさがある 回る順路、走り出しやすい場所、エスカレーターの近くを通らないか
エア遊具など体を動かす遊具 体を思い切り動かせる 対象年齢、人数の制限、見守るスタッフ、点検、天候
試食・お菓子の配布 味を知ってもらえる 原材料とアレルギーの情報、食べ物の形と大きさ、手洗い
写真スポット 家族の記念になる 混雑、背景に写る人、撮った写真の扱い
景品・ノベルティの配布 立ち寄るきっかけになる 小さな部品、ボタン電池や磁石、ひもの付いた物

消費者庁は、遊戯施設での事故についての注意喚起(令和5年4月)で、空気で膨らませた遊具で跳ねていた子どもが、すき間に足が入って転び、骨折した例を紹介しています。そのうえで、施設の対象年齢や人数制限、注意事項を確かめ、幼い子どもには場面に応じて保護者が付き添うよう呼びかけています。遊具を置く場合は、こうした条件を会場で掲示し、スタッフが見守れる配置にします。

季節の行事に合わせた企画の例は、コラム「季節ごとの販促イベントのアイデア」で紹介しています。

大人が見守る中で工作をする子ども

安全のために、何を準備する?

誤飲・窒息を防ぐ

消費者庁のハンドブックでは、小さな物による窒息や、ボタン電池・磁石・包装フィルムなどの誤飲が、子どもに起こりやすい事故として挙げられています。イベントで気をつけたい点は、次のとおりです。

  • 工作の部品や景品は、対象の年齢に合った物を選びます。年上の子ども向けの物には小さな部品が含まれることがあるため、小さな子どもの手が届かない所で扱います。
  • ボタン電池を使う光るおもちゃなどは、電池が取り出せないようにふたが固定されているかを確かめます。ハンドブックは、ボタン電池の誤飲が重い事故につながることがあるとしています。
  • 包装フィルムやシールも、口に入れると誤飲や窒息の原因になります。配る物の包み方も確かめます。
  • 食べ物を配る場合、ハンドブックは、プチトマトやブドウ、あめ、チーズなど丸い形の食品は吸い込みで窒息の原因になるとしています。豆やナッツ類は、5歳以下の子どもには食べさせないよう呼びかけています。

転倒・転落・挟まれを防ぐ

  • 床をはう電源のケーブルは、カバーで覆うか、人が通らない所を通します。電源の扱いは、コラム「催事ブースの電源と照明の基本」をご覧ください。
  • 什器の角や、倒れやすい看板、のぼり旗の土台を確かめます。子どもがつかまったり、よじ登ったりしても倒れないように固定します。什器の選び方は「催事で使う什器の種類と選び方」で紹介しています。
  • 会場がエスカレーターの近くにある場合は、子どもだけで近づかないよう、順路や待つ場所を離します。ハンドブックは、ベビーカーでエスカレーターを使わないこと、子どもがエスカレーターを使うときは大人が手をつなぐことを呼びかけています。
  • ショッピングカートの上に子どもを立たせたり、幼児用の座席以外に乗せたりしないことも、ハンドブックで呼びかけられています。カートを押したまま来る人が多い会場では、カートを置く場所を決めておきます。

迷子に備える

人が多い会場では、迷子が起きることを前提に決まりをつくります。

  • 迷子を見つけたスタッフが、その場を離れずに連絡する方法を決めます。
  • 施設のサービスカウンターや案内所への連絡方法と、館内放送を頼む手順を、施設の担当者と確かめます。
  • 子どもを保護者に引き渡すときは、保護者の名前や子どもの特徴を確かめてから引き渡します。
  • 受付で子どもの名前や連絡先を書いてもらう場合は、使い道を示し、終わった後の扱いも決めます。個人情報の扱いは、コラム「催事のアンケートの取り方と個人情報の扱い」をご覧ください。

暑さ・寒さに配慮する

環境省の熱中症環境保健マニュアルは、体温を調節する働きが未発達であることなどから、子どもは熱中症になりやすいとしています。また、環境省の講習会資料では、夏は地面に近いほど気温が高く、大人と幼児の高さでは2℃から3℃違うことがあると説明しています。乳幼児は自分で十分に意思を伝えられないため、周りの大人が様子に気を配ることが大切です。

屋外や暑い場所では、日陰で待てるようにし、飲み物をとれる場所や休める場所を案内します。同じ講習会資料は、短い時間でも乳幼児を車の中に残さないよう呼びかけています。駐車場から歩いて来る人が多い会場では、こうした呼びかけを掲示に入れることもできます。冬は屋外での待ち時間を短くし、出入口の近くで体が冷えないように配慮します。天候への備えは、コラム「催事の天候と季節の影響への備え」にまとめています。

食物アレルギーの情報を用意する

消費者庁の「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」によると、アレルギー表示の対象は容器包装に入った加工食品などで、容器包装に入れずに売る食品(ばら売りや量り売りなど)は表示の対象になっていません。試食や、その場で手渡すお菓子にも、表示が付いていないことがあります。

そのため、配る食品の原材料をまとめた一覧を手元に用意し、聞かれたときに答えられるようにします。同じハンドブックは、POPに「卵不使用」と書かれていた店頭販売のパンに、調理のときに卵が塗られていた例を紹介し、紛らわしい表現をしないよう呼びかけています。試食の進め方は、コラム「試食・試飲の進め方と衛生の注意点」をご覧ください。

けがや体調不良のときの流れを決める

けがや体調不良が起きたときに、だれが対応し、どこへ連絡し、どこで休ませるかを決めておきます。施設の救護室の場所、救急車を呼ぶときの手順、施設への報告のしかたを、事前に施設の担当者と確かめます。起きたことと対応を記録しておくと、後で保護者に説明するときや、次の改善に役立ちます。

大人と子どもが集まる工作の会場

会場づくりと当日の運営で気をつけることは?

  • 通路の幅と動線:ベビーカーや車いすが通れ、すれ違える幅をとります。受付、体験の場所、出口を一方向の流れにすると、混雑やぶつかり合いを減らせます。配置の考え方は、コラム「催事ブースのレイアウトの基本」をご覧ください。
  • 見守りの役割:説明をするスタッフとは別に、全体を見て回る担当を決めます。人数の考え方は「催事スタッフの人数の考え方とシフトの組み方」で紹介しています。
  • 話しかけ方:子どもに説明するときは、目の高さを合わせ、短い言葉で伝えます。保護者にも同じ内容を伝え、子どもだけに判断させないようにします。
  • 手洗いと消毒:工作や試食の前後に手をふける物を用意し、使う道具も清潔に保ちます。
  • 非常時の誘導:避難口の場所と誘導の担当を決めます。放送が聞き取りにくい場合や、文字が読めない小さな子どもがいることを考え、スタッフが声をかけて案内します。
  • 写真の扱い:子どもの写真をホームページやSNSに載せるときは、保護者の同意を得ます。総務省は、保護者に向けて、子どもの写真を投稿するときは子どもの意思や気持ちを尊重し、承諾を得るよう呼びかけています。詳しくは、コラム「イベントの写真とSNS発信で気をつけること」にまとめています。
  • 天候の急な変化:屋外で遊具やテントを使う場合は、強い風や雷のときに止める基準と、判断する人を先に決めます。
はさみと紙で工作をする手元

よくある失敗と、当日のチェックリスト

よくある失敗

  • 対象年齢があいまい:小さな子どもには難しい道具や部品が出てきて、保護者が付きっきりになります。
  • 待ち時間が長い:列で待つ間に子どもが疲れたり、通路で遊び始めたりします。
  • 景品に小さな部品が入っている:配った後で、きょうだいの小さな子どもの手に渡ることがあります。
  • 床のケーブルや什器の固定を見落とす:走る子どもがつまずいたり、什器が倒れたりする原因になります。
  • 迷子の決まりがない:スタッフが子どもを連れて会場を離れ、保護者と行き違いになります。
  • アレルギーの質問に答えられない:原材料の一覧がなく、その場で確かめられません。
  • 同意なく写真を載せる:後から保護者に削除を求められることがあります。

当日のチェックリスト

  • 対象年齢、所要時間、付き添いが要るかを掲示した
  • 工作の道具、部品、景品を、対象の年齢に合わせて確かめた
  • ボタン電池を使う物は、電池のふたが固定されている
  • 配る食品の原材料の一覧を、スタッフが取り出せる所に置いた
  • 床のケーブル、段差、什器の角、のぼり旗の土台を確かめた
  • ベビーカーや車いすが通れる通路の幅がある
  • 迷子のときの連絡先と、引き渡しの手順をスタッフ全員が知っている
  • 救護室の場所と、けがや体調不良のときの連絡の流れを確かめた
  • 日陰や休める場所、飲み物をとれる場所を案内できる
  • 写真を撮る場合、掲載の同意のとり方を決めた
  • 屋外の遊具やテントを止める天候の基準と、判断する人を決めた

よくある質問

子ども向けのワークショップは、何歳を対象にすればよいですか?

内容と使う道具で決めます。はさみや小さな部品を使うなら対象の年齢を上げ、小さな子どもも参加できる内容なら保護者の付き添いを条件にします。対象年齢は、告知と会場の掲示の両方に書きます。

迷子の子どもを見つけたら、まず何をしますか?

子どもを落ち着かせ、その場を大きく離れずに、スタッフ同士で連絡を取ります。施設のサービスカウンターなどに知らせ、施設の決まりに沿って館内放送などを頼みます。保護者が来たら、名前や特徴を確かめてから引き渡します。

お菓子や飲み物を配るときに、気をつけることは?

原材料とアレルギーの情報を答えられるようにします。丸い食品や豆・ナッツ類など、小さな子どもがのどに詰まらせやすい物は避けるか、対象の年齢を決めて配ります。施設によっては食品の配布に決まりがあるため、事前に確かめます。

屋外のエア遊具は、どんなときに止めればよいですか?

止める基準は、遊具の取扱説明書や、遊具を貸し出す事業者の決まり、施設のルールで確かめ、当日の判断者も決めておきます。雷や強い風の目安は、気象庁の資料をもとに決めておくと、その場で迷いにくくなります。

子ども連れのお客様に向けたイベントの企画・運営のご相談は、株式会社スカイウォークスの催事・イベントの企画・運営のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお寄せください。

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