試食・試飲の進め方と衛生の注意点|準備からアレルギー対応まで

試食・試飲は、「出店先の保健所と施設に事前に相談する」「手洗いと温度の管理の手順を決める」「アレルギーと酒類の確認をする」の3つを押さえて進めます。提供のしかたによって、必要な設備や手続きが変わります。包装された食品を配るだけなのか、その場で取り分けるのか、切ったり加熱したりするのかを最初に決めると、準備するものがはっきりします。この記事では、催事で試食・試飲を担当する方に向けて、進め方の手順、衛生の基本、アレルギー表示と酒類の決まり、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

皿のチーズに手を伸ばす様子

試食・試飲で気をつけることは何?

試食・試飲は、お客様に商品を口にしてもらい、味や使い方を知ってもらう販促の方法です。食べ物を扱うため、普段の販売よりも気をつける点が増えます。大きく分けると次の4つです。

  • 衛生:手や器具、食品から菌やウイルスをうつさない。食品の温度を保つ。
  • 手続き:出店先の自治体の保健所と、施設の決まりを確かめる。
  • アレルギー:原材料を、お客様が自分で確かめられるようにする。
  • 酒類:20歳未満の方や、車などを運転する方に出さない。

東京都江東区保健所の資料「展示会等で食品の試飲・試食を行う場合の取扱い」は、提供する飲食物の衛生管理は、営業者や展示会の主催者の自主的な取り組みで安全を確保する必要があるとしています。決まりを守ることに加えて、出店する側が衛生の手順を決めて守ることが求められます。

食中毒予防の基本は「つけない・増やさない・やっつける」

厚生労働省は、細菌による食中毒を防ぐ3原則として、菌を食べ物に「つけない」、付いた菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付いた菌を「やっつける」ことを挙げています。ノロウイルスなどのウイルスについては、調理場に「持ち込まない」、食べ物や器具に「ひろげない」、食べ物に「つけない」、加熱して「やっつける」の4原則を示しています。試食・試飲の場面に当てはめると、次のようになります。

原則 試食・試飲の場面ですること
持ち込まない 体調の悪いスタッフは、食品を扱う持ち場に入らない
つけない 作業の前、トイレのあと、お金や私物に触ったあとに手を洗う。食品には素手で触れず、トングなどの器具を使う
増やさない 冷やす食品は冷蔵しておき、出す分だけを少しずつ取り出す。厚生労働省は、冷蔵庫を10℃以下に保つことを目安としている
ひろげない 使い終わった器具と、きれいな器具の置き場所を分ける
やっつける 加熱する食品は、厚生労働省が示す「中心部の温度が75℃で1分間以上」を目安に十分に加熱する
木の板に並べた一口サイズの料理

試食・試飲はどう進める?準備から片付けまでの手順

試食・試飲は、次の順で準備すると抜けが出にくくなります。

  1. 何をどう出すかを決める(包装されたものを配る、取り分ける、切る、加熱する)
  2. 施設に、試食・試飲ができるか、場所や火気・水・電気の使用の決まりを確かめる
  3. 出店先の自治体の保健所に相談し、必要な手続きと設備を確かめる
  4. 原材料とアレルギーの情報をまとめた一覧を作る
  5. 手洗いの設備、器具、小分けの容器、ごみ袋、冷蔵の方法など、持ち物をそろえる
  6. スタッフに手順を説明し、役割(試食の担当と会計の担当など)を分ける
  7. 当日は、開始前の確認、提供中の温度と時間の管理、終了後の片付けと記録を行う

目的と量を先に決める

試食・試飲は、何を知ってもらいたいかで出し方が変わります。新商品の味を知ってもらうのか、使い方(温め方、合わせる料理など)を見せたいのかを決め、それに合う量と形を選びます。1日に出す数の見込みを立てておくと、用意する食品や容器の量、ごみの量の見当がつきます。決まった時間だけ出す、在庫がなくなったら終える、といった区切りも決めておくと、売場の管理がしやすくなります。

保健所への相談は早めに

試食・試飲の内容によっては、食品衛生法の営業許可が必要になることがあります。江東区保健所の資料は、別の事業者に委託して試飲・試食を行う場合は事前に営業許可が必要としています。また、金沢市保健所は、簡易な施設で簡単な調理をして飲食物を提供する場合の「露店営業」「臨時営業」の許可について手引きを出しており、営業開始予定日の10日前までに申請するよう案内しています。扱いは自治体や提供のしかたで変わるため、出店先の保健所に早めに相談します。

提供のしかたで、必要な設備が変わる

江東区保健所の資料では、試飲・試食の内容ごとに、作業場所に必要な設備の目安を次のように示しています。自治体によって考え方が違うことがあるため、ひとつの例として参考にしてください。

試飲・試食の内容 作業場所に必要な設備の目安
あらかじめ容器包装された食品を配る。缶やペットボトルの飲み物を、紙コップなど使い捨ての容器に注ぎ分ける 必要に応じて冷蔵(冷凍)庫
食品を器具でひとり分ずつ小皿などに取り分けて出す 手洗い設備(消毒液、石けん付き)、必要に応じて冷蔵(冷凍)庫
包丁やまな板で切る。ソフトクリームマシンを置く。器具の洗浄が出る 手洗い設備、シンク、必要に応じて冷蔵(冷凍)庫
加熱調理して出す。油汚れが出る調理をする 手洗い設備、シンク、必要に応じて冷蔵(冷凍)庫と給湯設備

同じ資料は、使い捨て手袋やアルコール消毒のスプレーは手洗い設備の代わりにならないこと、容器包装された食品を配る場合は食品表示のあるものを配ることも挙げています。手袋をする場合でも、手洗いの設備は別に用意します。

当日の提供で気をつけること

  • ひとり分ずつ小分けにして出し、お客様が大皿から直接取る形にしない
  • つまようじや小さなスプーンなど使い捨ての道具を使い、使ったものを捨てる箱を、提供する場所の近くに置く
  • 出した食品に、ほこりや飛沫がかからないよう、ふたやカバーを使う
  • 冷やす食品は、出す分だけを冷蔵から出す。長く置いたものは下げる
  • 試食の担当は、会計など現金を扱う仕事を兼ねない。兼ねる場合は、そのたびに手を洗う
  • 試食のそばに商品と価格を並べ、どこで買えるかが分かるようにする

終了後の片付けと記録

試食・試飲を終えたら、次の順で片付けます。

  • 台に出していた食品は、お客様に出さずに処分する。開けた包装の残りも、扱いを決めておく
  • 使った器具を洗うか、使い捨てのものはまとめて捨てる。ごみは施設の決まりに沿って分別する
  • 台や容器を拭き、手洗いの設備の消耗品(石けん、消毒液、ペーパータオル)を補充する
  • その日に出した数、冷蔵の温度を確かめた時刻、気づいたこと(お客様からの質問など)を記録する

記録を残しておくと、翌日の準備の量を決めやすくなり、体調不良などの問い合わせがあったときにも、何をいつ出したかを確かめられます。

トレーに並んだ試飲用のビール

アレルギーと酒類の試飲、決まりはどうなっている?

アレルギーの情報は、聞かれる前に用意する

食品表示基準では、容器包装された加工食品について、特定原材料を含む旨の表示が義務になっています。消費者庁の資料では、特定原材料はえび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目、表示が推奨される「特定原材料に準ずるもの」はアーモンド、いくら、大豆、ゼラチンなど20品目です(2026年11月時点)。カシューナッツは2026年4月に特定原材料に加わり、同じ時期に、特定原材料に準ずるものにはピスタチオが加わりました。カシューナッツの表示の義務には2年間の経過措置期間が設けられているため、その間は、表示がまだ切り替わっていない商品もありえます。

その場で取り分ける試食には、パッケージのような表示が付いていません。お客様が自分で判断できるよう、商品のパッケージや原材料の一覧をブースに置き、どのスタッフでもすぐに見せられるようにしておきます。分からないことを聞かれたときは、推測で答えず、「確認します」と伝えて資料を確かめます。消費者庁は、外食・中食での食物アレルギーの情報提供を進めるため、事業者向けのパンフレットも出しています。

酒類の試飲は、年齢と運転を確かめる

  • 二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律は、酒類を販売・提供する営業者に対し、20歳未満の人が飲むと知りながら酒類を販売・提供することを禁じ、年齢の確認など必要な措置をとるよう定めています(第1条第3項・第4項)。年齢が分からない方には、確認をお願いします。
  • 道路交通法第65条第3項は、酒気を帯びて車などを運転するおそれがある人に、酒類を提供したり、飲酒をすすめたりすることを禁じています。車で来店する方もいるため、試飲の前に「お車の運転はありますか」と確かめます。
  • 催事の会場などで、臨時に販売場を設けて酒類を販売する場合は、期限付酒類小売業免許が必要です。国税庁は、原則として販売場を開設する日の2週間前までに申請が要るとしています。すでに酒類の製造者や販売業者である事業者が一定の要件を満たす場合は、10日前までに届け出ることで、免許を受けたものとして扱うとしています。販売の終了後には、販売数量などの報告も必要です(2026年11月時点)。

法令の細かな扱いは、内容によって変わります。詳しくは保健所、税務署などの所管の窓口や専門家にご確認ください。

手袋をして料理を取り分ける販売員

試食・試飲でよくある失敗は?

  • 手袋をしているから手を洗わない:手袋の表面にも汚れは付きます。江東区保健所の資料も、使い捨て手袋は手洗い設備の代わりにならないとしています。手袋を替える前にも手を洗います。
  • 大皿に盛って自由に取ってもらう:多くの人の手が同じ皿に近づくため、汚れが移りやすくなります。ひとり分ずつ小分けにします。
  • 冷やす食品を朝から台の上に置いたままにする:温度が上がり、菌が増えやすくなります。少しずつ出して、残りは冷蔵しておきます。
  • 原材料を聞かれて答えられない:担当者が休憩中で誰も分からない、という状態になりがちです。一覧を紙で置き、誰でも見せられるようにします。
  • スタッフが試食の台の近くで飲食する:衛生の面でも見た目の面でも、お客様の印象が下がります。スタッフの飲食は休憩場所でします。
  • ごみ箱が近くにない:つまようじや紙コップが通路や売場に置かれ、見た目も衛生も悪くなります。
  • 試食だけ配って、商品の場所が伝わらない:味を気に入っても、どこで買えるか分からないと購入につながりません。
  • 施設の決まりを確かめていない:火気や水の使用、試食を出せる場所、通路での声かけの範囲は、施設ごとに決まりがあります。当日になって止められないよう、事前に確かめます。
テーブルに並べた試食用の料理

試食・試飲の前に確かめるチェックリスト

  • 提供のしかた(配る、取り分ける、切る、加熱する)を決めた
  • 出店先の保健所に相談し、必要な手続きと設備を確かめた
  • 施設に、試食・試飲の場所と、火気・水・電気の使用の決まりを確かめた
  • 手洗いの設備(石けん、消毒液、ペーパータオル)を用意した
  • 冷蔵が必要な食品の保管方法と、温度を確かめる方法を決めた
  • 小分けの容器、つまようじなどの使い捨ての道具、ふたやカバーを用意した
  • 使い終わった器具とごみの置き場所を、提供する場所から分けた
  • 原材料とアレルギーの一覧を作り、ブースに置いた
  • 食品を扱う人と、現金を扱う人を分けた
  • 体調の悪いスタッフは食品に触れない決まりを伝えた
  • 酒類の試飲では、年齢と運転の確認のしかたを決めた
  • 酒類を販売する場合は、期限付酒類小売業免許の手続きを確かめた

ブースの当日の運営全体は催事ブースの当日運営チェックリスト、物産展での準備は物産展に出店するときの準備も参考にしてください。

よくある質問

試食を出すのに営業許可は必要ですか?

提供のしかたや自治体によって扱いが変わります。江東区保健所の資料では、別の事業者に委託して行う場合は事前に営業許可が必要としています。その場で調理する場合なども許可が必要になることがあるため、出店先の保健所に事前に相談してください。

使い捨て手袋をすれば、手洗いはしなくてよいですか?

手洗いは別に必要です。江東区保健所の資料は、使い捨て手袋やアルコール消毒のスプレーは手洗い設備の代わりにならないとしています。手を洗ってから手袋をつけ、汚れたときや別の作業をしたあとは替えます。

アレルギーについて聞かれたら、どう答えればよいですか?

原材料の一覧やパッケージを見せて、お客様自身に確かめてもらいます。分からないことは推測で答えず、確認してから伝えます。同じブースで別の食品を扱っている場合は、器具を共用していないかも答えられるようにしておきます。

試飲の紙コップは、使い回してもよいですか?

使い捨ての容器は、お客様1人に1つを使い、使い回しません。江東区保健所の資料でも、飲み物を注ぎ分ける場合の容器として、紙コップなど使い捨ての容器を例に挙げています。使い終わったコップを入れる箱を、試飲の台から少し離して置くと、使用前のコップと混ざりにくくなります。

子どもに試食を渡してもよいですか?

保護者の方が一緒にいる場合は、先に保護者の方に声をかけ、食べてよいかを確かめてもらいます。アレルギーや食べやすさの判断は、保護者の方にしていただくのが基本です。子ども連れの方に向けた工夫は子ども連れ向けイベントの工夫と安全の配慮で紹介しています。

試食・試飲を含む催事の運営のご相談は、株式会社スカイウォークスの催事・イベントの企画・運営のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお寄せください。

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