催事の事前告知の方法|SNS・チラシ・館内の案内の使い分け
催事の事前告知は、「いつ・どこで・何があり・来るとどんな良いことがあるか」を、伝える相手に合った方法で、段階を分けて届けると効果を確かめやすくなります。主な方法は、会場の館内の案内、SNS、チラシ、会員向けのメールやメッセージの4つで、組み合わせて使うと届く範囲が広がります。告知にも守る決まりがあり、会場の承認、広告であることの表示、価格の表示、メールを送るときの同意などを確かめておく必要があります。この記事では、告知の全体像、進め方の手順、方法ごとの使い分け、気をつける決まり、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

催事の事前告知とは?誰に、何を伝える?
事前告知は、催事が始まる前に、来てほしい人に開催を知らせ、来る理由をつくることです。ショッピングモールなどの催事では、買い物に来た人がその場で気づいて立ち寄ることもあります。一方で、事前に知っている人は目的を持って来てくれるため、立ち寄りや購入につながりやすくなります。期間の短い催事では、開催を知らないまま終わってしまう人を減らすことが大切です。
伝える相手は3つに分けて考える
- すでに商品やお店を知っている人:会員、SNS のフォロワー、過去に買ってくれたお客様です。開催を知らせれば来てくれる見込みが高い人です。
- 会場の近くに住む人・働く人:ふだんから会場に来る人です。チラシや地域の情報で知らせます。
- 当日、会場に来ている人:館内の案内やのぼり旗、声かけで知らせます。開催の直前と期間中の告知が中心になります。
告知に入れる項目
- 催事の名前と、何の催事か(扱う商品やサービス)
- 期間と時間(最終日の終わりが早い場合はその旨)
- 場所(会場名、階、近くの目印)
- 来る理由(期間限定の商品、試食や体験、特典など)
- 特典がある場合は、その条件(対象、期間、数量)
- 問い合わせ先
どの媒体でも、この項目を同じ表記で使うと、情報の食い違いを防げます。

告知は、どんな手順で進める?
手順1:目的と相手を決める
催事の目的が新しいお客様を増やすことなのか、会員に来てもらうことなのかによって、力を入れる方法が変わります。売上目標から必要な客数を出し、そのうち何人に事前の告知で来てもらいたいかを考えると、告知の量を決めやすくなります。売上目標の立て方はコラム「催事の売上目標の立て方と振り返り方」で紹介しています。
手順2:会場の決まりを確かめる
モールや百貨店の催事では、館内の掲示や放送ができるか、会場のウェブサイトや SNS で紹介してもらえるか、出店者が自分で作るチラシに会場の名前やロゴを使ってよいかなどが、会場ごとに決まっています。告知物の原稿を会場に確かめてもらう決まりがある場合もあるため、締め切りから逆算して準備を始めます。
手順3:告知の素材をそろえる
写真、商品の説明、価格、特典の条件、地図など、告知に使う素材を一か所にまとめます。同じ情報を SNS、チラシ、館内の掲示で使い回すため、日時や価格の書き方をそろえておくと、媒体ごとの食い違いを防げます。写真は、商品だけでなく、売場の雰囲気がわかるものも用意しておくと使い道が広がります。
手順4:段階を分けて発信する
- 予告:開催が決まったら、日程と場所を短く知らせます。会員や SNS のフォロワーなど、すでに知っている人が中心です。
- 詳しいお知らせ:商品、特典、体験の内容がそろったら、チラシや館内の掲示、SNS で詳しく伝えます。
- 直前のお知らせ:前日や当日の朝に、「明日から」「本日から」と知らせます。準備の様子や並んだ商品の写真は、行く理由になります。
- 期間中のお知らせ:その日の様子、追加した商品、残りの日数などを知らせます。
- 終わったあとのお礼:来てくれた人へのお礼を伝え、次の予定がわかれば添えます。
どの段階でどの方法を使うかを一枚の表にしておくと、担当者が変わっても進めやすくなります。
手順5:効果を確かめる仕組みを入れておく
告知の効果は、あとから確かめにくいものです。チラシを持ってきた人への特典や、媒体ごとに違う合言葉を用意しておくと、どの方法で知った人が多かったかを数えられます。当日に「何で知りましたか」と聞いて記録する方法もあります。効果の測り方は、コラム「販促イベントの効果の測り方」で詳しく紹介しています。

SNS・チラシ・館内の案内は、どう使い分ける?
告知の方法ごとに、届く相手と得意なことが違います。主な方法を表で比べます。
| 方法 | 届く相手 | よいところ | 気をつける点 |
|---|---|---|---|
| 館内の掲示・デジタルサイネージ | 会場に来ている人 | 来館者に直接届く。催事の場所への案内にもなる | 掲示の場所、大きさ、期間は会場が決める。申込みの締め切りを確かめる |
| 館内放送 | 会場に来ている人 | 開催中に、今いる人へ知らせられる | 実施できるか、回数、原稿の決まりは会場ごとに違う |
| 会場のウェブサイトや SNS | 会場をよく利用する人 | 会場の利用者にまとめて届く | 掲載できるか、締め切り、使える文章と写真は会場の判断による |
| 自社の SNS | フォロワー、近くに住む人 | 写真や動画で雰囲気を伝えられる。準備の様子も発信できる | フォロワーが少ないと届く範囲が限られる。人に頼んで投稿してもらうときは、広告の表示がいることがある |
| チラシ(店頭・ポスティング・街頭) | 会場の近くに住む人、通る人 | 手元に残る。地図や特典の条件を載せやすい | 印刷と配布に時間と費用がかかる。配る場所によっては許可がいる |
| メールやメッセージの配信 | 会員、過去のお客様 | 来てくれる見込みの高い人に直接届く | 事前の同意と、送信者の表示などの決まりがある |
| 地域の情報誌やプレスリリース | 地域の読者 | 話題性があれば、広く知ってもらえる | 掲載するかどうかは媒体が決める。締め切りが早い |
方法は一つに絞らず、「知っている人には直接」「近くの人にはチラシと SNS」「当日来ている人には館内の案内」と組み合わせると、もれが少なくなります。
SNS で告知するときのコツ
- 日時と場所は、画像の中だけでなく本文にも書きます。画像だけだと見落とされることがあります。
- 催事の名前と地名を入れた言葉(ハッシュタグなど)をそろえておくと、探す人が見つけやすくなります。
- 会場のアカウントで紹介してもらえるか、投稿で会場の名前を出してよいかを会場に確かめます。
- 来場者や通行する人が写る写真を載せるときは、写る人への配慮が必要です。注意点はコラム「イベントの写真と SNS 発信で気をつけること」で紹介しています。
チラシで告知するときのコツ
- 表面には「何の催事か・いつ・どこで」を大きく、裏面には地図、商品、特典の条件を載せます。
- 価格を載せるときは、消費税を含めた総額で表示します(後で説明します)。
- 配る場所ごとに決まりを確かめます。会場の中で配る場合は会場の決まり、道路で配る場合は警察署の許可が関係することがあります。
- ポスティングでは、郵便受けに「チラシお断り」などの表示がある家には入れないようにします。
館内の案内で告知するときのコツ
- 掲示物の大きさ、場所、期間は会場が決めます。用意する前に、使える大きさと締め切りを確かめます。
- 館内の案内には、催事の場所への道順(何階のどのあたりか)を入れます。
- 期間中は、ブースの前ののぼり旗や POP も告知の一部になります。置き方はコラム「のぼり旗・POP・ノベルティの選び方と置き方」で紹介しています。

告知で気をつける決まりは?
広告であることを隠さない(ステルスマーケティング)
令和5年10月1日から、広告であるのに広告であることを隠す、いわゆるステルスマーケティングは、景品表示法の違反になりました。対象は SNS の投稿や口コミの投稿などのインターネット上の表示に限らず、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌などの表示も含みます。規制の対象は商品やサービスを提供する事業者(広告主)で、依頼を受けて投稿するインフルエンサーなどの第三者は対象ではありません。ただし、事業者が第三者に依頼して投稿してもらう場合は、事業者の表示として扱われることがあります。
消費者庁の Q&A では、街頭で試供品を配るときに「よろしければ感想を SNS に投稿してください」と声をかけるだけで、投稿の内容を指示しない場合は、通常は事業者の表示に当たらないとされています。口コミの投稿を条件に割引をする場合も、内容を指示していなければ、通常は当たらないとされています。一方で、最も高い評価(星5)を付けることを条件にする場合は、事業者が投稿の内容を決めているとして事業者の表示に当たり、広告であることをはっきり示さないと違反になるとされています。表示の言葉は「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」のほか、表示全体から広告だとわかる文章でもよいとされています。
内容と価格を正しく伝える(景品表示法・総額表示)
景品表示法では、商品の品質や内容を実際よりも著しくよく見せる表示(優良誤認表示)や、価格や取引の条件を実際よりも著しく有利に見せる表示(有利誤認表示)が禁じられています。消費者庁は、有利誤認表示の例として、「100人だけ割安」と表示しながら実際には全員が同じ料金だった場合を挙げています。「数量限定」「先着」「期間限定」などの言葉は、実際の条件と合っているかを確かめてから使います。
また、消費税法の総額表示の義務により、消費者に向けてあらかじめ価格を表示するときは、消費税を含めた価格を表示します。国税庁によると、店頭の表示やチラシ広告など、どの媒体での表示も対象になります。価格表示の注意点は、コラム「催事の価格表示で気をつけること」でも紹介しています。
メールやメッセージは、同意を得た人に送る(特定電子メール法)
広告や宣伝のためのメールは、特定電子メール法により、原則としてあらかじめ同意した人にだけ送ることができます。総務省の資料では、携帯電話の番号で送るショートメッセージ(SMS)も対象とされています。送るときは、送信者の氏名または名称、受信を拒否できること、その連絡先となるメールアドレスや URL などを表示します。同意を得たことの記録を残すことや、受信を拒否した人には以後送らないことも定められています。会員登録やアンケートで連絡先を集めるときの注意は、コラム「催事のアンケートの取り方と個人情報の扱い」で紹介しています。
道路での配布や屋外の掲示は、許可がいることがある
道路の使い方によっては、道路交通法第77条第1項に基づく警察署の道路使用許可が必要です。許可の対象は、道路での工事や作業、広告塔などの工作物の設置、露店などの出店、そのほか公安委員会が定める行為の4つに分かれます。石川県警察は、4つ目の例として祭礼行事やロケーションを挙げています。4つ目の中身は都道府県の公安委員会が定めるため、扱いは都道府県によって違い、島根県警察のように宣伝物を配る行為を例に挙げている県もあります。道路でチラシを配る、看板を出すといった予定があるときは、道路を使う場所を管轄する警察署に確かめます。
店の外に看板やポスター、のぼり旗を出す場合は、自治体の屋外広告物の決まりも関係します。金沢市では、屋外広告物を新しく出すときは事前の協議が必要で、掲出の前に原則として許可または届出が必要とされています。のぼり旗についても、道路へはみ出さないことなどを求める掲出の基準を設けています(2026年11月時点)。詳しくは所管の窓口にご確認ください。
写真やイラスト、音楽の権利
告知物に他人が作った写真やイラスト、音楽などを使うときは、文化庁によると、原則として権利者の許諾が必要です。素材を使うときは、商用で使えるか、加工してよいかなど、利用の条件を確かめます。自社で撮った写真でも、写っている物や人によっては別の配慮が必要になることがあります。

よくある失敗と、告知前のチェックリスト
よくある失敗
- 告知が開催の直前だけになる:予定を空けてもらう時間がなく、来てほしい人に届きません。
- 媒体ごとに日時や価格が違う:途中で情報を直したとき、一部の媒体だけ古いまま残りがちです。
- 場所がわかりにくい:会場名だけで、階や近くの目印がないと、館内で迷う人が出ます。
- 特典の条件を書いていない:対象や数量の条件がないと、当日の説明でもめる原因になります。
- 会場に確かめずに名前やロゴを使う:会場の決まりに合わず、作り直しになることがあります。
- 効果を確かめる仕組みがない:どの方法が効いたかわからず、次の催事に生かせません。
- 終わったあとも告知が残っている:終わった催事の案内を見て来た人を、がっかりさせてしまいます。
告知前のチェックリスト
- 目的と、届けたい相手を決めた
- 会場の決まり(掲示、放送、会場の SNS、名前やロゴの使用、原稿の確認)を確かめた
- 日時・場所・価格・特典の条件を一か所にまとめ、媒体ごとの表記をそろえた
- 価格は消費税を含めた総額で表示した
- 「限定」「先着」などの言葉が、実際の条件と合っている
- 人に頼んだ投稿に広告の表示が要るかを確かめ、要る場合は表示してもらうようにした
- メールやメッセージは同意を得た人にだけ送り、送信者と受信拒否の連絡先を表示した
- 道路での配布や屋外の掲示について、許可や届出が必要かを確かめた
- 写真やイラスト、音楽の利用の条件を確かめた
- 効果を数える仕組み(特典、合言葉、聞き取り)を用意した
- 終わったあとに告知を更新・取り下げる担当を決めた
よくある質問
告知は、いつごろから始めればよいですか?
決まった時期はありません。会場の掲示や会場の SNS には申込みの締め切りがあり、チラシは印刷と配布に時間がかかるため、こうした締め切りから逆算して決めます。予告、詳しいお知らせ、直前のお知らせのように段階を分けると、早めに知らせても忘れられにくくなります。
SNS のフォロワーが少なくても、告知する意味はありますか?
あります。フォロワーが少なくても、来てくれる見込みの高い人に直接届きます。また、チラシや館内の掲示を見てアカウントを訪れた人に、詳しい情報や写真を見てもらう場所にもなります。チラシや館内の掲示にアカウントを載せておくと、つながりを作りやすくなります。
チラシは、会場のモールの中で配ってもよいですか?
館内でチラシを配れるかどうかは、会場の決まりによります。区画の中でだけ配れる、通路では配れない、といった決まりがある場合もあるため、事前に会場の担当者に確かめます。
来場者に SNS への投稿をお願いしてもよいですか?
お願いすること自体はできます。ただし、投稿の内容を指定したり、高い評価を条件に特典を出したりすると、事業者の広告として扱われ、広告であることの表示が必要になる場合があります。消費者庁の Q&A で扱いを確かめ、内容を指定しない形でお願いすると安心です。
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