販促イベントの効果測定の方法|指標の選び方と振り返り方

販促イベントの効果は、開く前に決めた目的に対して、何がどれだけ変わったかで測ります。測る数字は、「知る」「立ち寄る」「試す」「買う」「また来る」の段階に分けて選ぶと、どこがうまくいき、どこに課題があったかがわかります。数字の集め方はイベントの前に決めておき、目標や平常時の数字と比べ、お客様の声や運営の気づきも合わせて振り返ります。この記事では、指標の選び方、数字の集め方、比べ方、数字以外の振り返り方、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

印刷した棒グラフの資料

イベントの効果測定とは?何を測ればよい?

効果測定は、イベントが目的にどれだけ近づけたかを、数字と事実で確かめることです。「人が多かった」「盛り上がった」という印象だけでは、次に同じ企画をするべきか、どこを直すべきかが判断できません。

中小企業基盤整備機構が運営する J-Net21 では、販促企画を立てるときに数値の目標を決め、その達成率を効果測定の物差しにするとしています。また、企画の終了後は分析の基準をはっきりさせて分析し、検証の結果をもとに企画を改善していくことを勧めています。効果測定は、イベントが終わってから始めるものではなく、企画の段階で決めておくものです。

効果を5つの段階で考える

お客様がイベントを知ってから、買う、また来るまでを段階に分けると、段階ごとに測る数字を選べます。

段階 お客様の状態 主な指標の例
知る イベントがあることを知る 告知の閲覧数、チラシの配布数、SNS の反応
立ち寄る ブースの前で足を止める、中に入る 前を通った人数、立ち寄った人数、立ち寄り率
試す 説明を聞く、試食や体験をする 試食や体験の人数、説明した件数
買う・申し込む 購入、契約、会員登録をする 購入件数、購入率、客単価、売上
また来る 後日の来店、問い合わせ、もう一度の購入 クーポンの利用数、問い合わせの件数、後日の来店

たとえば売上が目標に届かなかったとき、立ち寄った人数は多かったのに購入率が低いなら、説明や商品の見せ方に課題があると考えられます。立ち寄った人数そのものが少ないなら、場所や告知、ブースの見え方を見直します。

グラフの資料と色鉛筆

目的に合う指標は、どう選ぶ?

指標は、イベントの目的から選びます。目的と指標が合っていないと、うまくいったイベントを失敗と判断したり、その逆になったりします。

目的 中心に見る指標 あわせて見る指標 測り方の例
名前を知ってもらう 立ち寄った人数、配布物を渡した数 SNS の反応、後日の問い合わせ 計数器、配布数の記録、SNS の数字
新商品を試してもらう 試食や体験の人数 試した人の購入率、感想 体験の記録表、アンケート
その場で売る 売上、購入件数 客単価、時間帯ごとの売上 レジや決済端末の記録
見込みのお客様を増やす 会員登録や問い合わせの件数 後日の来店や契約 登録の記録、専用のクーポンやコード
いまのお客様との関係を深める 招待した人の来場数 もう一度の購入、満足度 招待状の持参数、アンケート

指標を増やしすぎると、当日の記録と集計が負担になります。目的に直結する「中心の指標」を1つ決め、原因を探るための指標を少し添えるくらいにすると、少ない人数でも続けられます。

たとえば新商品の試食会なら、中心の指標を「試食した人数」、あわせて見る指標を「試食した人の購入率」にします。試食した人数が多いのに購入率が低いときは、味よりも、価格や量、説明のしかたに課題があるかもしれません。

よく使う計算式

指標 計算のしかた わかること
立ち寄り率 立ち寄った人数 ÷ 前を通った人数 場所や見せ方が人を引きつけたか
購入率 購入件数 ÷ 立ち寄った人数(または試した人数) 説明や商品が、買う理由になったか
客単価 売上 ÷ 購入件数 1回の買い物の大きさ
売上の分け方 立ち寄った人数 × 購入率 × 客単価 どの段階が売上に効いたか
1件あたりの費用 イベントの費用 ÷ 得られた件数(購入、登録など) 1件を得るのにいくらかかったか
費用対効果 (イベントで増えた利益 − 費用)÷ 費用 かけた費用に対して、どれだけの成果があったか

費用には、ブースの出店料だけでなく、告知物、景品、什器、運搬、人件費も含めます。費用の範囲を毎回そろえておくと、イベントどうしを比べやすくなります。

ノートパソコンとグラフで数字を見る手元

数字はどう集める?当日までに決めておくこと

主な集め方

  • 前を通った人数と立ち寄った人数:手で押して数える計数器を使い、時間を区切って数えます。一日中数えるのが難しい場合は、毎時、決まった長さの時間だけ数えて、全体の目安にする方法もあります。数える場所と「立ち寄った」とみなす基準(足を止めた、商品に触れた、など)を、先に決めておきます。
  • 試食や体験の人数:記録表を用意し、渡した数や体験した人数を時間帯ごとに書き込みます。
  • 売上と購入件数:レジや決済端末の記録を、時間帯ごと、商品ごとに出せるようにしておきます。
  • 後日の来店や購入:イベントで配るクーポンに専用の番号やコードを付けると、イベントから来たお客様を数えられます。チラシ用、SNS 用など、媒体ごとに別のコードにすると、どこで知ったかもわかります(QRコードは株式会社デンソーウェーブの登録商標です)。
  • ウェブサイトへの誘導:アクセス解析のツールでは、URL の末尾に UTM パラメータを付けて、どこから来た人かを見分けます。参照元(utm_source)、メディア(utm_medium)、キャンペーン名(utm_campaign)の3つを付けるのが基本です。
  • アンケート:質問を目的に関わるものに絞り、短い時間で答えられるようにします。
  • SNS:イベントに関する投稿の反応や、決めたハッシュタグの投稿の数を、期間を決めて記録します。
  • スタッフの記録:よく聞かれた質問、買わなかった理由として聞いたこと、売り切れた時刻などを、閉店後に短く書きます。書き方はコラム「販売の日報と報告書の書き方」を参考にしてください。

記録表の欄の例

当日の記録は、1枚の表にまとめると集計が楽になります。時間帯ごとに1行を使い、次のような欄を作ります。

欄 書くこと
時間帯 10時台、11時台など、決めた区切り
前を通った人数 決めた時間だけ数えた人数
立ち寄った人数 決めた基準に当てはまった人数
試食・体験の数 渡した数、体験した人数
購入件数と売上 レジや決済端末の記録から写す
登録・クーポン 会員登録の数、配ったクーポンの数
メモ 天気、混み具合、売り切れ、よく聞かれた質問

欄の名前と数え方は、期間中も、次のイベントでも変えないようにします。同じ形で記録を続けると、イベントどうしを並べて比べられるようになります。

前もって決めておくこと

  • 誰が、いつ、何を、どこに記録するか
  • 記録用紙やファイルの形式(集計しやすい形にそろえる)
  • 時間帯の区切り方(1時間ごと、など)
  • 後日の効果を、いつまで追うか
  • 集計の締め切りと、振り返りの日

アンケートなど、お客様が書いた書面から個人情報を受け取るときは、個人情報保護法第21条第2項により、あらかじめ利用目的を本人に示すことが求められています。集め方の注意点は、コラム「催事のアンケートの取り方と個人情報の扱い」にまとめています。

虫眼鏡で見るグラフの資料

何と比べる?比べ方の種類

数字は、何かと比べて初めて良し悪しがわかります。比べ方には次のような種類があります。

比べ方 やり方 良い点 気をつける点
目標と比べる 事前に決めた数字との達成率を見る わかりやすい 目標の根拠が弱いと、判断がぶれる
平常時と比べる イベントのない日や週の数字と比べる イベントで上乗せされた分がわかる 曜日、季節、天気をそろえる
前回と比べる 同じ会場、同じ企画の前回と比べる 直したところの効果がわかる 期間、場所、商品の違いを書き添える
会場どうしで比べる 同じ企画を、別の会場の結果と比べる 場所の向き不向きがわかる 客層の違いを考える
期間の中で比べる 日ごと、時間帯ごとの動きを見る 途中で直したことの効果がすぐわかる 1日だけの数字で決めない

数字には、イベントの外の要因も影響します。天気、近くで開かれた催し、連休、施設全体の来館者の増減などは、記録の欄を作って毎日書いておくと、振り返りのときに数字の理由を考えやすくなります。

グラフの資料を手に取って見る様子

数字以外は、どう振り返る?報告のまとめ方

J-Net21 では、数字以外の振り返りとして、接客した担当者からお客様の生の声を集めることと、運営してみて不都合だった点やうまくいった点を把握することを挙げています。そのうえで、実績と声をもとに、次の点を見直すとしています。

見直す点 確かめること
条件 参加や特典の条件(金額や回数)が、高すぎたり低すぎたりしなかったか
特典 景品や値引きに、お客様の行動を変えるだけの魅力があったか。出しすぎて費用対効果を下げていないか
期間 短すぎて機会を逃していないか。長すぎて効果が薄れていないか

このほか、販促イベントでは、お客様がどこでイベントを知ったか(告知)、待ち時間や人の配置、品切れの有無(運営)も見直すと、次の企画に生かしやすくなります。

報告書の組み立て

  1. 目的と目標(企画書に書いたもの)
  2. 結果の数字と、目標との比べ
  3. 段階ごとの数字(立ち寄り、試す、買う、また来る)
  4. 外の要因(天気、近くの催し、施設の状況など)
  5. お客様の声
  6. 運営で気づいたこと
  7. 次回に向けた提案

振り返りの会の進め方

報告書をまとめる前に、関わった人で短い振り返りの会を開くと、数字だけではわからない理由が出てきます。

  1. 集計した数字を、会の前に配っておく
  2. 目標と結果の差を、数字で確かめる
  3. お客様の声と、運営で気づいたことを出し合う
  4. 差が出た理由を、段階ごとに考える
  5. 次に変えることを絞って決め、担当と期限を決める

人の責任を問う場にせず、仕組みや段取りの改善を話す場にすると、気づいたことを話しやすくなります。

報告は、結果の良し悪しより、「次に何を変えるか」がわかることを優先します。企画書と同じ項目の順に書くと、企画と結果を並べて読めます。企画書の書き方はコラム「販促イベントの企画書の書き方」、売上の目標の振り返りはコラム「催事の売上目標の立て方と振り返り方」で説明しています。

電卓とグラフで数字を確かめる手元

注意点とよくある失敗は?測る前のチェックリスト

よくある失敗

失敗 起きやすい理由 防ぎ方
終わってから測り方を考え、当日の数字が残っていない 記録の担当と方法を決めていなかった 企画書に測り方を書き、記録用紙を当日の前に配る
売上だけで判断し、名前を知ってもらうためのイベントを低く評価した 目的と指標が合っていない 目的ごとに中心の指標を決める
「来場者数」に、前を通った人と立ち寄った人が混ざっている 数える基準を決めていなかった 言葉の意味と数え方を、スタッフでそろえる
雨の日の数字だけを見て、企画を失敗と判断した 外の要因を記録していなかった 天気などを毎日記録し、期間全体で判断する
後日の来店や問い合わせを追えない イベント専用のクーポンやコードを用意していなかった 媒体ごとに専用のコードを用意する
アンケートの回答が少なく、偏った声だけが集まった 質問が多く、答えにくかった 質問を絞り、答えやすい場所と時間を用意する

測る前のチェックリスト

  • イベントの目的と、中心に見る指標を決めた
  • 目標の数字と、その根拠を書いた
  • 「立ち寄った」「試した」などの数え方の基準をそろえた
  • 誰が、いつ、何を記録するかを決めた
  • レジや決済端末の記録を、時間帯ごと、商品ごとに出せるか確かめた
  • 媒体ごとのクーポンやコード、URL を用意した
  • アンケートの利用目的を示す文を用意した
  • 天気や近くの催しを書く欄を作った
  • 比べる相手(目標、平常時、前回)を決めた
  • 集計の締め切りと、振り返りの日を決めた

よくある質問

少ない人数のスタッフでも、効果測定はできますか?

できます。中心の指標を1つに絞り、レジや決済端末の記録と、簡単な記録表を組み合わせます。前を通った人数を数える余裕がなければ、立ち寄った人数と購入件数だけでも、購入率の変化はわかります。

効果がすぐに数字に出ないイベントは、どう評価しますか?

名前を知ってもらうためのイベントなどは、効果が後から出ることがあります。イベント専用のクーポンやコード、会員登録の数などで、後日の動きを追う期間を先に決めておきます。その期間が終わってから、まとめて評価します。

アンケートは、何問くらいがよいですか?

決まりはありませんが、立ったまま短い時間で答えられる量にします。目的に直結する質問を先に置き、年代などの属性は、分析に使うものだけを聞きます。答えてくれた人の声だけに偏りやすいことも、振り返りのときに考えに入れます。

SNS の反応は、どう評価すればよいですか?

投稿の数や反応の数は、告知がどれだけ届いたかの目安になります。ただし、反応が多くても、来場や購入につながったとは限りません。SNS 用の専用クーポンやコードを用意し、SNS の数字と、来場や購入の数字を並べて見ると、つながり方がわかります。

費用対効果が低かったら、そのイベントはやめるべきですか?

目的によります。名前を知ってもらうためのイベントは、その場の売上では費用を上回らないこともあります。段階ごとの数字を見て、どこを直せば良くなるかを考えてから判断します。J-Net21 も、販促企画は検証と改善を繰り返して育てるものとしています。

販促イベントの企画から振り返りまでのご相談は、株式会社スカイウォークスの催事・イベントの企画・運営のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお寄せください。

同じカテゴリの他の記事

催事・イベントの企画・運営、営業代行、店舗運営についてのご相談は、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ