物産展に出店するときの準備|条件・表示・許可・在庫の確認

物産展に出店するときは、主催者の募集の要項と出店の条件を確かめることから始めます。そのうえで、商品選び、食品表示と許可・免許の確認、輸送と在庫、売場とスタッフ、会期中の運営を順に準備します。食品やお酒を扱う場合は、開催地の保健所や税務署への確認に日数がかかることがあるため、出店が決まった段階で相談しておくのが基本です。この記事では、初めて物産展に出る事業者の方に向けて、準備の流れ、出店の条件で確かめる項目、商品と売り方の比べ方、法令の注意点、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

屋内の市場で買い物をする人たち

物産展とは? 出店までの全体像

物産展は、特定の地域や国の名産品を集めて、百貨店の催事場やショッピングモールなどで、期間を区切って売る催しです。主催の形はさまざまで、百貨店や商業施設が企画するもの、自治体や地域の団体がかかわるものなどがあります。催事やポップアップストアとの違いは、催事・物産展・ポップアップストア・マルシェの違いで紹介しています。

出店する側から見ると、準備はおおむね次の段階で進みます。

段階 主にすること
応募・打診 募集の要項を読み、出したい商品と売り方を伝える
条件の確認と契約 会期、売場の広さ、精算の方法、費用の決まり方を確かめる
商品と売場の準備 商品と価格を決め、表示、什器、販促物をそろえる
許可・届出・免許の確認 実演販売、試食、お酒の販売があれば、保健所や税務署に確かめる
輸送と搬入 送り方と到着の日時を決め、館の荷受けの決まりに合わせる
会期中 接客、補充、売上の記録、毎日の振り返りをする
撤収と振り返り 残った商品を戻し、売上と在庫を照らし合わせ、次回に生かす

ショッピングモールでの催事の流れは、ショッピングモール催事の出店から撤収までの流れもあわせてご覧ください。

傘の下に商品を並べた屋外の売場

出店の条件で何を確かめる?

物産展の条件は、主催者や会場によって違います。募集の要項や事前の説明で、次の項目を確かめておくと、後で困りにくくなります。

  • 会期、営業時間、設営と撤収の日時
  • 売場の広さと位置、隣の売場との境目
  • 什器や看板の貸し出しの有無と、持ち込みの決まり
  • 電源、水道、火を使う調理、換気の可否(実演販売をする場合)
  • 会計の方法(館のレジを使うか、自分で決済端末を用意するか)と、売上の精算の時期
  • 出店にかかる費用の決まり方(売上に対する割合、定額など)
  • 搬入と搬出の日時、搬入口、台車やエレベーターの使い方
  • 冷蔵・冷凍の商品を保管する場所
  • スタッフの入館の手続き、名札、服装の決まり
  • 試食、実演、呼び込みの可否と、その範囲
  • のぼり旗やPOPなど、販促物の大きさと置き方の決まり
  • 事故やけがに備える保険の扱い

会計の方法は、キャッシュレス決済の準備にも関係します。くわしくは催事でキャッシュレス決済を使う準備をご覧ください。

瓶詰めのジャムが並ぶ市場の売場

商品はどう選ぶ? 売り方ごとに比べる

物産展のお客様は、その土地らしさや、ふだん手に入りにくいものを期待して来場します。商品を選ぶときは、次の点で考えると絞り込みやすくなります。

  • その土地らしさ:産地や作り方を、短い言葉で説明できるか
  • 持ち帰りやすさ:重さ、大きさ、日持ち、温度の管理が要るか
  • 価格の幅:試しやすい少量の品から、贈り物向けの品までそろっているか
  • 試せるか:試食や実演で、味や使い心地を伝えられるか
  • 補充のしやすさ:会期中に追加で送れるか、作り置きができるか
  • 配送の受付:重い品や冷蔵の品は、自宅へ送る受付ができるか

売り方によって、準備することと相談先が変わります。

売り方 準備で確かめること 主な相談先
包装済みの加工食品を売る 容器包装の表示(名称、原材料名、アレルゲン、期限、保存の方法など)がそろっているか 製造元、表示の担当
その場で作って売る(実演販売) 営業許可や届出、設備の条件、火気と換気の決まり 開催地の保健所、館の担当
試食を出す 衛生の管理、館の決まり、アレルギーの案内 館の担当、開催地の保健所
お酒を売る 販売場の酒類販売業免許、臨時の販売場の扱い、20歳未満への販売の防止 販売場の所在地を管轄する税務署
工芸品や雑貨を売る 素材、手入れの方法、使い方の説明書き 作り手、製造元

試食の進め方は試食・試飲の進め方と衛生の注意点、売場の組み立ては催事ブースのレイアウトの基本で紹介しています。

袋詰めの豆や穀物が並ぶ売場

食品表示・営業許可・お酒の手続きで気をつけることは?

包装した食品は、食品表示基準に沿って表示する

食品表示基準では、容器包装に入れた一般向けの加工食品を売るときに、名称、保存の方法、消費期限または賞味期限、原材料名、添加物、内容量、栄養成分の量と熱量、食品関連事業者の氏名や名称と住所、製造所の所在地、アレルゲンなどの表示を求めています。表示できる面積が小さい商品などには、省略できる項目もあります。ふだんお店で売っている商品でも、物産展用に詰め合わせを作るときは、表示を新しく作る必要がないかを確かめます。

アレルギーの表示が義務となる「特定原材料」は、えび、カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目です(2026年11月時点)。カシューナッツは2026年4月1日に加わり、2年間の経過措置期間が設けられています。このほか、アーモンドやごま、大豆など20品目は「特定原材料に準ずるもの」として、表示が勧められています。売場では、お客様に聞かれたときに答えられるよう、商品ごとの原材料の一覧を手元に置いておくと安心です。

詰め合わせは、税率の扱いも確かめる

国税庁の資料では、器や雑貨と食品をあらかじめ組み合わせ、全体の価格だけを示して売る商品を「一体資産」と呼びます。税抜価格が1万円以下で、食品の価格の割合が3分の2以上の場合に限り、全体が軽減税率(8%)の対象になり、それ以外は標準税率(10%)の対象です。贈り物向けの詰め合わせを作るときは、値札の税込価格を決める前に確かめます。

その場で作る場合は、保健所に確かめる

厚生労働省によると、2021年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理が求められています。あわせて、営業許可が必要な業種の見直しと、営業届出の制度の創設が行われました。一方、常温で長い期間保存しても傷むおそれのない包装食品の販売などは、HACCPに沿った衛生管理の対象外とされています。

物産展の会場で調理や加工をする、冷蔵や冷凍が必要な食品を売るといった場合は、営業許可や届出が関係することがあります。会場での営業の扱いは、会場の所在地を管轄する保健所に、売る品目と作り方を伝えて確かめます。館の担当者が、手続きの流れを案内してくれることもあります。

お酒を売るときは、税務署に確かめる

酒税法では、酒類を売るには販売場ごとに販売業免許が必要で、申請は販売場の所在地を管轄する税務署長に行うとされています。免許を受けずに酒類の販売業を行うと、酒税法の罰則の対象になります。催事の会場のような臨時の売場で、期間を区切ってお酒を売る場合の扱いもあります。蔵元が自社のお酒を売る場合も含め、物産展の会場で売るときの手続きは、早めに税務署(酒類指導官)に確かめてください。20歳未満の方への販売を防ぐため、年齢の確認の方法と掲示も決めておきます。

産地や作り方の表示は、事実どおりに書く

景品表示法では、商品の品質や中身を、実際より著しくよいと誤解させる表示(優良誤認表示)が禁止されています。「地元産の原料」「手作り」「無添加」のような言葉は、根拠を説明できるものだけを使います。価格の書き方は催事の価格表示で気をつけることをご覧ください。法令の細かい当てはめについては、詳しくは所管の窓口や専門家にご確認ください。

袋や箱の乾物を並べた売場

輸送・在庫・売場とスタッフの準備は?

輸送と搬入

商品は、常温、冷蔵、冷凍の区分ごとに送り方を決めます。館に荷物を受け取る時間や場所の決まりがある場合は、それに合わせて到着の日時を決めます。段ボールの置き場所、空き箱の処分の方法、会期後に残った商品を送り返す方法も、前もって決めておきます。

在庫と補充

初日に持ち込む量と、会期中に追加で送る量を分けて考えます。日ごとの売れ方を記録し、追加を送るまでの日数を見込んで、早めに補充を頼みます。期限の近い商品は、売場の手前に置くなど、先に売れるよう並べ方を工夫します。考え方は催事の在庫の持ち方と補充のコツで紹介しています。

配送の受付

重い商品や冷蔵の商品は、自宅へ送る受付をすると買ってもらいやすくなります。受け付ける場合は、送料、届くまでの日数の目安、冷蔵や冷凍で送れるかを売場に掲示します。伝票に書いてもらう名前や住所は個人情報なので、控えの保管と廃棄の方法も決めておきます。扱い方は催事のアンケートの取り方と個人情報の扱いも参考になります。

会期中の記録と振り返り

会期が何日も続く場合は、途中で売場を直せます。毎日、品目ごとの売れた数、品切れになった時刻、お客様からよく聞かれた質問を記録し、翌日の並べ方や補充、POPの言葉に生かします。会期が終わったら、売上と在庫を照らし合わせ、次回に持ち込む量と品ぞろえを考える材料にします。

売場とスタッフ

物産展の会場では、多くの売場が並びます。地域名と商品が遠くから分かる看板やのぼり旗を用意し、商品の前には、産地や食べ方を短く書いたPOPを置きます。スタッフは、商品の作り方や食べ方を説明できる人を中心に組み、休憩の交代も含めてシフトを決めます。遠方から出店する場合は、移動と宿泊の予定も早めに決めておきます。販促物はのぼり旗・POP・ノベルティの選び方と置き方、人数の考え方は催事スタッフの人数の考え方とシフトの組み方をご覧ください。

容器に盛った色とりどりの菓子

よくある失敗と、出店前のチェックリスト

よくある失敗 起こる理由 防ぎ方
実演販売の準備をしたが、会場で調理できなかった 館の設備の条件と、保健所への確認が後回しになった 出店が決まった段階で、館と保健所に作り方を伝えて確かめる
詰め合わせの表示が足りない 物産展用に新しく作った商品の表示を見直していなかった 新しい商品は、表示の項目を一つずつ確かめる
会期の途中で品切れになる 追加を送るまでの日数を見込んでいなかった 毎日の売れ方を記録し、早めに補充を頼む
荷物が搬入の時間に届かない 館の荷受けの決まりを伝えていなかった 配送の伝票に、到着の日時と売場の名前をはっきり書く
商品の説明ができない 商品を知らないスタッフだけで売場を回した 作り方と食べ方を書いた手引きを用意し、開始前に共有する
お酒を売るつもりが手続きが間に合わない 免許の確認を後回しにした 応募の段階で税務署に相談する

出店前のチェックリスト

  • 募集の要項と出店の条件(会期、費用、精算、搬入出)を確かめたか
  • 売る商品と価格を決め、税込価格の値札を用意したか
  • 包装した食品の表示(アレルゲンを含む)を確かめたか
  • 実演販売や試食をする場合、館と保健所に確かめたか
  • お酒を売る場合、税務署に手続きを確かめたか
  • 常温・冷蔵・冷凍ごとの送り方と、到着の日時を決めたか
  • 追加の商品を送る方法と、頼む目安を決めたか
  • 看板、のぼり旗、POP、什器をそろえたか
  • スタッフのシフト、移動、宿泊を決めたか
  • 残った商品を送り返す方法を決めたか

当日の確認項目は催事ブースの当日運営チェックリストもあわせてご覧ください。

よくある質問

初めて物産展に出るとき、何から始めればよいですか?

まず、募集の要項と出店の条件を読み、売りたい商品が条件に合うかを確かめます。次に、実演販売や試食、お酒の販売をするかどうかを決め、するなら保健所や税務署への確認から始めます。手続きに日数がかかる項目を先に進めると、ほかの準備も進めやすくなります。

試食を出すとき、景品の決まりは関係しますか?

消費者庁の運用基準では、食品売場の試食品のように、商品の風味や品質を知ってもらうための見本で、適当な限度のものは、原則として景品の制限の対象外とされています。衛生の管理や館の決まりは別に確かめます。

会期の終わりに残った商品は、値下げして売ってもよいですか?

値下げして売ること自体は、事業者の判断です。値下げの表示では、元の価格と値下げ後の価格を正しく書き、対象の商品をはっきり示します。期限の近い食品は、期限の表示を見やすくしておきます。

物産展に出るには、どこに問い合わせればよいですか?

物産展は、百貨店や商業施設の催事の担当、自治体や地域の団体などが出店者を募ることがあります。地元の自治体や商工の団体の案内、各会場の出店の募集の案内を確かめてみてください。

物産展を含めた催事の出店のご相談は、株式会社スカイウォークスの催事・イベントの企画・運営のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお寄せください。

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