催事スタッフの人数の考え方とシフトの組み方|休憩と法令の基本

催事スタッフの人数は、「同時に立つ人数×営業時間」に、準備と片付けの時間、休憩の交代分を足して考えると決めやすくなります。シフトは、人が多く通る時間帯に人を厚くし、休憩を交代で回せる形にします。あわせて、労働時間と休憩の決まり、シフトの決め方と変え方のルールを先にそろえておくと、当日の混乱や後のもめごとを防げます。この記事では、催事を担当する方に向けて、人数の出し方、シフトの型の選び方、法令で押さえたい点、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

テーブルで打ち合わせをするスタッフ

催事スタッフの人数は、何から考える?

人数を決める前に、ブースでどんな仕事が発生するかを書き出します。仕事の種類が分かると、同時に何人が立つ必要があるか(持ち場の数)が見えてきます。

持ち場 主な仕事 人数を考えるときに見る点
声かけ・案内 通路を歩く方への声かけ、ブースの案内 施設の決まりで、声かけできる範囲
説明・接客 商品やサービスの説明、質問への対応 お客様1人あたりにかかる時間
会計・受付 支払い、申込書の受付 支払い方法の数、列ができやすい時間
品出し・補充 在庫の補充、陳列の手直し 売れる速さ、在庫の置き場までの距離
試食・体験 試食の提供、体験の案内 衛生管理の手間、体験1回にかかる時間
責任者 全体の判断、施設との連絡、トラブルの対応 現場を離れずにいられるか

小さなブースでは、1人が複数の持ち場を兼ねることもあります。兼ねやすい組み合わせ(声かけと案内など)と、兼ねにくい組み合わせ(会計と試食など。お金と食品を同じ手で扱うことになるため)を分けておくと、人数を減らすときの判断がしやすくなります。

人数は「延べ時間」で数える

人数は、まず「延べ何時間分の人手が要るか」で数えます。考え方は次のとおりです。

  • 営業中に要る時間:同時に立つ人数×営業時間
  • 準備と片付けの時間:開店前の設営や品出し、閉店後の片付けや売上の集計
  • 休憩の交代分:休憩に入った人の代わりに立つ時間

たとえば仮の数字で、営業時間が10時間、同時に2人が立つ必要があるブースなら、営業中だけで延べ20時間です。ここに準備と片付け、休憩の交代分を足し、1人あたりの勤務時間で割ると、その日に要る人数のおおよそが出ます。混む時間帯だけ同時に立つ人数を増やす場合は、時間帯ごとに分けて計算します。

人の流れは、施設への確認と前回の記録で読む

時間帯ごとの人の流れは、施設や季節、曜日で変わります。施設の担当者に混みやすい時間帯や館内の催しの予定を聞く、前回の催事の日報で時間帯ごとの接客数や売上を見る、といった方法で見込みを立てます。記録がない初回は、少し多めの体制で始め、1日目の様子を見て2日目以降を調整する方法もあります。記録の付け方は販売の日報と報告書の書き方で紹介しています。

卓上の予定表に書き込む手元

シフトはどう組む?手順と型の選び方

シフトは、次の順で組むと抜けが出にくくなります。

  1. 営業時間と、設営・撤収の時間を確かめる(施設の搬入の時間、閉店後に作業できる時間)
  2. 時間帯ごとに、同時に立つ人数を出す
  3. 休憩の時間と、交代の順番を決める
  4. スタッフの希望を聞いて割り当てる
  5. 責任者と、責任者が休むときの代わりの人を決める
  6. 確定したシフトを、決めておいた期限と方法で知らせる
  7. 当日の朝礼と、交代のときの申し送りの時間を入れる

設営と撤収の時間は施設ごとに決まりがあるため、ショッピングモール催事の出店から撤収までの流れもあわせて確かめておきます。

シフトの型を比べる

シフトの組み方には、いくつかの型があります。営業時間の長さや、商品の説明にどれくらい慣れが要るかで選びます。

型 内容 向く場面 気をつけること
通し 同じ人が開店から閉店まで入る 営業時間が短い催事、説明に慣れが要る商品 勤務が長くなりやすい。休憩の交代要員が要る
前半・後半の2交代 午前から入る組と、午後から入る組に分ける 営業時間が長い催事 交代の時間を少し重ね、申し送りの時間を取る
重ね(混む時間に増員) 基本の人数に、混む時間帯だけ人を足す 混む時間帯が前回の記録などで分かっている催事 短い時間だけ入る人にも、持ち場と仕事を事前に伝える
日替わり 日ごとに入る人を変える 期間が長い催事 日をまたぐ申し送り(在庫、お客様との約束)を書いて残す

交代の時間は少し重ねる

前半と後半の組が入れ替わるときは、勤務の時間を少し重ねて、申し送りの時間を取ります。申し送るのは、在庫の残り、お客様と約束したこと(取り置き、折り返しの連絡など)、施設からの連絡、トラブルの有無です。口頭だけでなく、メモや共有の連絡手段に残すと、聞きもらしを防げます。

シフト表に書いておくこと

シフト表には、勤務の時間だけでなく、当日に迷わないための情報も載せます。

  • 日付、勤務の開始と終了の時刻、休憩の時間
  • 時間帯ごとの持ち場(声かけ、会計、補充など)
  • 責任者と、責任者が休む間の代わりの人
  • 集合場所、施設への入館のしかた、着替えや荷物の置き場
  • 服装と持ち物、身だしなみの決まり
  • 遅れるときや休むときの連絡先と、連絡の期限

当日の朝礼で伝えること

開店前の短い時間で、その日の運営をそろえます。伝えるのは、その日の目標、重点的にすすめる商品、休憩の順番、施設からの連絡(館内の催し、避難経路など)、前日の申し送りです。後半から入る人には、交代の重なりの時間に同じ内容を伝えます。

新しいスタッフには説明の時間を入れる

当日初めて商品を知る人は、お客様に説明ができません。事前に商品の説明と接客の練習をする時間をシフトに入れておきます。練習の方法は接客ロールプレイングのやり方で紹介しています。

卓上カレンダーと赤いピン

労働時間と休憩、法令で押さえたい点は?

スタッフを雇って働いてもらう場合は、労働基準法などの決まりを守ってシフトを組みます。ここでは、催事のシフトで関わりやすい点を挙げます(2026年11月時点)。

労働時間と休日

  • 法定労働時間は、原則として1日8時間、1週40時間です(労働基準法第32条)。常時10人未満の商業などの事業場には、1週44時間とする特例があります(同法第40条)。
  • 法定労働時間を超えて働いてもらう場合や、法定の休日に働いてもらう場合は、労使協定(いわゆる36協定)を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります(同法第36条)。
  • 休日は、原則として毎週少なくとも1回、または4週間を通じて4日以上です(同法第35条)。
  • 厚生労働省の労働局の資料では、始業前や終業後であっても、業務に欠かせない準備や後片付けは労働時間に当たるとしています。開店前の設営や品出し、閉店後の片付けもシフトに含めて考えます。

休憩

  • 労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えます(労働基準法第34条)。
  • 休憩は原則として一斉に与えますが、商業や金融広告業などは、一斉に与えなくてもよい業種とされています(労働基準法施行規則第31条)。それ以外の業種でも、労使協定を結べば交代で取れます。
  • 休憩中にブースの近くで待機してお客様の対応をすると、その時間は休憩になりません。厚生労働省の留意事項は、いつ仕事を頼まれるか分からない状態で待つ時間(手待時間)や、実際に来客の対応をした時間は、休憩として扱えないとしています。休憩はブースを離れて取れるようにします。
  • 休憩は、続けて取らずに分けて与えることも認められています。

立ち仕事といす

労働安全衛生規則第615条は、立ったまま続けて働く人が、仕事の途中でたびたび座れる機会があるときは、その人が使えるいすを備えるよう事業者に求めています。ブースの裏や休憩場所に座れる場所を用意しておくと、長い時間の立ち仕事の負担を減らせます。

18歳未満のスタッフ

満18歳未満の人には、原則として午後10時から午前5時までの間に働いてもらうことはできません(労働基準法第61条)。閉店後の撤収が夜遅くまで続く日は、シフトを組む段階で年齢を確かめておきます。

シフトで働く人について決めておくこと

厚生労働省は、働く日や時間がシフトで決まる働き方について、雇う側が気をつけたい点を「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」にまとめています(2026年6月改正)。主な点は次のとおりです。

  • 雇う時点ですでに始業と終業の時刻が決まっている日については、書面で示す労働条件に「シフトによる」とだけ書くのでは足りません。日ごとの時刻を書くか、原則の時刻を書いたうえで、決まっている分のシフト表を一緒に渡すなどの対応が要るとしています。
  • シフトを作る前にスタッフの意見を聞くことや、確定したシフトを知らせる期限と方法を、あらかじめ話し合って決めておくことが考えられるとしています。
  • 確定したシフトの変更は、雇う側とスタッフの双方が合意したうえで行うようにとしています。
  • 雇う側の事情でスタッフを休ませた場合は、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります(労働基準法第26条)。不可抗力による場合は当たらないとされています。

実際の扱いは、雇用の形や就業規則によって変わります。詳しくは労働基準監督署などの所管の窓口や、社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

ノートパソコンと予定表で計画を練る様子

シフトづくりでよくある失敗は?

  • 休憩の交代要員を数えていない:営業中に要る人数ちょうどで組むと、誰かが休憩に入った時間に持ち場が空きます。休憩の時間帯ごとに、交代で入る人を先に決めておきます。
  • 責任者が休む間の判断役がいない:責任者も休憩を取ります。その間に判断を任せる人と、任せる範囲(施設への連絡はする、値引きの判断はしないなど)を決めておきます。
  • 設営と撤収をシフトに入れていない:準備と片付けも労働時間です。営業時間だけでシフトを組むと、実際の勤務が長くなり、休憩や時間外の扱いが崩れます。
  • 急な欠勤への備えがない:体調不良などで急に人が欠けることがあります。代わりに入れる人の候補と連絡の順番、人が足りないときに閉める持ち場(試食を止めるなど)を決めておきます。
  • 確定したシフトを直前に変える:確定後の変更は合意が前提です。直前の変更が続くと、スタッフの予定が立たず、次の催事で人が集まりにくくなります。
  • 申し送りが口頭だけ:取り置きや折り返しの約束が伝わらず、お客様に迷惑をかけることがあります。
  • 同じ人に長い勤務が続く:慣れた人に頼りすぎると、その人が休めなくなります。説明できる人を複数育て、勤務を分けられるようにしておきます。
予定表とメモを確かめる手元

シフトを確定する前のチェックリスト

  • 持ち場と仕事を書き出し、時間帯ごとに同時に立つ人数を出した
  • 設営、品出し、片付け、集計の時間を勤務に含めた
  • 6時間を超える勤務には45分以上、8時間を超える勤務には1時間以上の休憩を入れた
  • 休憩中の交代要員と、ブースを離れて休める場所を決めた
  • 1日8時間、1週40時間を超える組み方になっていないか、36協定の範囲を確かめた
  • 18歳未満のスタッフが午後10時以降に残らないようにした
  • 責任者と、責任者の休憩中の代わりの人を決めた
  • 急な欠勤のときの連絡の順番と、閉める持ち場を決めた
  • シフトを知らせる期限と方法、変更の手続きを伝えた
  • 交代のときの申し送りの時間と、記録の方法を決めた
  • 座れる場所と、水分をとれる場所を確かめた

当日の運営全体の確認は、催事ブースの当日運営チェックリストも参考にしてください。

よくある質問

小さなブースなら、1人で運営できますか?

仕事の量によってはできますが、1人だと休憩の間はブースが空きます。休憩中に待機して接客すると、その時間は休憩になりません。休憩の間だけ入る人を用意するか、休憩中はブースを閉めてよいかを、施設の決まりで確かめておきます。

休憩を何回かに分けて取ってもよいですか?

分けて与えることも認められています。ただし、合計が必要な長さ(6時間を超える勤務で45分以上、8時間を超える勤務で1時間以上)に足りている必要があります。細かく分けすぎると食事がとりにくくなるため、食事をとれるまとまった時間を1回は入れると、スタッフが休みやすくなります。

シフト表は、いつまでに渡せばよいですか?

厚生労働省の留意事項は、確定したシフトを知らせる期限や方法を、あらかじめ雇う側とスタッフで話し合って決めておくことが考えられるとしています。催事は施設との打ち合わせで時間が変わることもあるため、決まった部分から早めに伝えると、スタッフが予定を立てやすくなります。

催事が中止になったら、スタッフの勤務はどうなりますか?

雇う側の事情で休ませる場合は、平均賃金の6割以上の休業手当が必要です(労働基準法第26条)。不可抗力による場合は当たらないとされていますが、当てはまるかどうかは事情によって判断されます。中止の可能性がある催事は、判断する時刻と連絡の方法を前もって決めておきます。詳しくは所管の窓口や専門家にご確認ください。

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