催事の価格表示で気をつけること|総額表示と二重価格

催事の値札やPOPで守る基本は2つです。1つは、お客様が実際に払う税込みの金額をはっきり書くこと(総額表示)です。もう1つは、「通常価格」などの比べる価格を事実どおりに書くこと(二重価格表示の決まり)です。総額表示は消費税法で、比べる価格や割引の書き方は景品表示法で決まっています。過去の価格と比べるときは、消費者庁の考え方で「セール開始前の8週間のうち、半分を超える期間その価格で売っていたか」が目安になります。この記事では、催事の販売担当の方に向けて、値札を作る前に知っておきたい決まり、よくある失敗、出す前に確かめる項目をまとめます。

布の上に置いた白い値札

催事の価格表示には、どんな決まりがある?

催事の売場にも、ふだんの店と同じく、一般の消費者に向けた価格表示の決まりが当てはまります。開いている期間が短い売場でも、扱いは変わりません。主な決まりは次の2つです。

決まり 根拠 主な中身 確かめる資料
総額表示 消費税法第63条 消費者に前もって価格を示すときは、消費税を含めた価格を表示する 国税庁のタックスアンサー「総額表示の義務付け」
不当な価格表示の禁止(有利誤認表示) 景品表示法第5条第2号 価格や取引の条件を、実際や他社より著しく得だと誤解させる表示をしない 消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」

消費者庁の「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(以下、価格表示ガイドライン)は、値札、店頭の表示、チラシ、新聞やテレビの広告、インターネットの広告など、表示する媒体を問わず当てはまるとしています。催事では、値札、POP、のぼり旗、館内のチラシ、SNSでの告知のすべてが対象になると考えておくと安心です。

また、価格表示ガイドラインでは、問題になるかどうかは表示の内容全体を見て判断し、事業者の故意や過失は問わないとしています。うっかり書き間違えた場合でも、問題になりうるということです。値札を作る担当と、確かめる担当を分けておくと、間違いに気づきやすくなります。

ひもの付いた無地のタグ

総額表示とは? 値札とPOPの書き方

総額表示は、消費者に前もって価格を示すときに、消費税を含めた価格(税込価格)を表示する決まりです。国税庁の案内では、値札、店頭の表示、チラシ、新聞やテレビの広告など、媒体を問わず対象になります。一方、事業者どうしの取引や、口頭で伝える価格は対象外です。

税込価格がはっきり分かれば、税抜価格や消費税額を一緒に書いてもかまいません。国税庁の表示例にならい、税抜1,000円の商品(税率10%)で書き方を比べると、次のようになります。

書き方の例 総額表示として
1,100円 認められる
1,100円(税込) 認められる
1,100円(税抜価格1,000円) 認められる
1,100円(うち消費税額等100円) 認められる
1,000円(税込価格1,100円) 認められる
1,000円(税抜) 税込価格が書かれていないため、総額表示にならない
1,000円+税 同じく、総額表示にならない

2021年3月31日までは、特別措置法により、税込価格と誤解させない措置をとれば、税抜価格だけの表示も認められていました。この特例はすでに終わっています。以前の催事で作ったPOPや値札を使い回すときは、税込価格が書かれているかを見直します。

食品を売るときは、税率の違いに気をつける

国税庁の資料では、軽減税率(8%)の対象は、酒類と外食を除く飲食料品です。持ち帰りは軽減税率、飲食の設備がある場所で食べてもらう店内飲食は標準税率(10%)になります。催事でイートインの席がある売場では、同じ商品でも税込価格が2通りになることがあります。国税庁のQ&Aでは、関係省庁の資料をもとに、次のような書き方が示されています。

  • 持ち帰りと店内飲食の両方の税込価格を書く。
  • どちらか一方の税込価格だけを書く。この場合は、もう一方では税率が違い、別の価格になることを、売場の目立つ所に掲示するのが望ましいとされています。
  • 税抜価格を調整して、持ち帰りと店内飲食の税込価格を同じにする。

一方だけを書くときに、それが持ち帰りの価格であることを示さないと、店内飲食の価格を実際より安いと誤解させ、有利誤認表示に当たるおそれがあるとされています。また、器や雑貨と食品を組み合わせた詰め合わせは「一体資産」と呼ばれ、税抜価格が1万円以下で、食品の価格の割合が3分の2以上の場合に限り、全体が軽減税率の対象になります。

価格ラベルを付けたパンの売場

二重価格表示とは? 比べる価格ごとの考え方

二重価格表示は、売る価格と一緒に、それより高い別の価格(比較対照価格)を並べて書く表示です。「通常価格3,000円のところ催事価格2,400円」のような書き方がこれに当たります。内容が正しければ、お客様が選ぶ手がかりになります。一方、比べる価格が事実と違ったり、あいまいだったりすると、不当表示に当たるおそれがあります。価格表示ガイドラインでは、比べる価格の種類ごとに考え方が示されています。

比べる価格 問題になりにくい場合 不当表示に当たるおそれがある例
自分の店の過去の価格(「当店通常価格」など) 同じ商品を、最近相当期間にわたって実際にその価格で売っていた 売った実績がない価格や、ごく短い期間だけの価格を「通常価格」とする
将来の価格(「来月から○円」など) 表示した価格で売ることが確かな場合 実際には売る予定のない価格や、ごく短い期間だけ売る価格と比べる
メーカー希望小売価格 メーカーなどが設定し、カタログや商品への印字などで前もって公表している 希望小売価格が設定されていない、または撤廃されているのに、任意の価格を希望小売価格と書く
市価・他店の価格 同じ商品について、近くで競争している店の最近の価格を正確に調べている。特定の店と比べるときは店名を示す 調べずに「市価」と書く。商圏が違い、お客様が買う機会のない店の価格と比べる
タイムサービスの前の価格 一定の時間に限って値下げし、当初の表示価格と比べる ガイドラインでは、通常は不当表示に当たるおそれはないとされている

「最近相当期間」の目安は8週間

催事でよく使う「当店通常価格」は、過去の販売価格と比べる表示です。価格表示ガイドラインでは、次の目安が示されています。

  • セール開始の時点からさかのぼる8週間(その商品を売っていた期間が8週間未満なら、その期間)のうち、比べる価格で売っていた期間が半分を超えていれば、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいとされています。
  • ただし、その価格で売っていた期間が通算して2週間未満の場合や、その価格で売った最後の日から2週間以上たっている場合は、当たらないとされています。

ふだんはお店やネットで売っている商品を、催事で値下げして売るときは、セール開始前の8週間の販売価格と販売期間を記録で確かめます。催事のために新しく作った商品や、催事の直前に売り始めた商品に「通常価格」を付けて比べることは、ガイドラインの事例でも不当表示に当たるおそれがあるとされています。また、汚れや傷のある品、旧型の品は、新品と同じ商品とは考えられないため、新品の価格と比べる表示は避けます。

値札が並ぶ市場の売場

割引率・「全品」・「数量限定」の書き方で気をつけることは?

「3割引」「最大50%オフ」のような割引率や割引額の表示も、二重価格表示と同じ考え方で判断されます。価格表示ガイドラインでは、次のような表示が不当表示に当たるおそれがあるとしています。

  • 一部の商品だけが対象なのに、そのことを示さずに「全品5割引」のように強調する。
  • セールの直前に表示価格を引き上げてから、割引率を表示する。
  • セールを決めた後に売り始めた商品を、割引の対象に含めて表示する。
  • 一部の商品だけに当てはまる最大の割引率を大きく書き、多くの商品がその割引になるように見せる。
  • 根拠のない、自分で決めた価格をもとに割引率を計算する。

一括で割引率を示すときは、何の価格から割り引くのか、どの商品が対象か、どんな条件で当てはまるかを書いておくと、誤解を防げます。たとえば「表示価格から2割引(○○の棚の商品に限ります)」のように、元の価格と対象を一緒に示します。

数量や期間の限定は、中身をはっきり書く

チラシやSNSで告知した商品が、実際にはほとんど用意されていない場合は、「おとり広告」に当たるおそれがあります。消費者庁が示す「おとり広告に関する表示」では、次のような表示が対象とされています。

  • 取引の準備ができていない商品の表示
  • 用意できる量が著しく限られているのに、その限定の中身をはっきり書いていない表示
  • 販売期間、対象のお客様、1人あたりの数量が限られているのに、その中身をはっきり書いていない表示
  • 合理的な理由なく販売を断るなど、実際には売る気がない商品の表示

催事では「各日10個限り」「お一人様2点まで」「○日の午前のみ」のように、数と条件を具体的に書くのが基本です。売り切れたら、POPや館内の案内、SNSの告知を早めに直します。

ひもで吊るした無地の札

よくある失敗と、値札を出す前のチェックリスト

催事の価格表示で起こりやすい失敗を、原因と防ぎ方に分けて整理します。

よくある失敗 起こる理由 防ぎ方
税抜価格だけのPOPを出してしまう 以前の販促物を使い回した 出す前に、税込価格が書かれているかを見直す
「通常価格」の根拠を説明できない 過去の販売記録を確かめていない セール開始前8週間の価格と販売期間を記録で確かめ、控えを残す
「全品○%引き」なのに対象外の商品がある 対象を決める前に告知を作った 対象外の商品を書き添えるか、対象の棚を分ける
値札とレジの金額が違う 途中で価格を変えたのに、一方だけを直した 価格を変えるときは、値札・POP・レジの登録・告知をまとめて直す
限定品が売り切れた後も告知が残る 売り切れたときの手順を決めていない 売り切れの表示を用意し、告知を直す担当を決める
イートインの価格が分かりにくい 持ち帰りの価格だけを書いた 持ち帰りの価格であることを示し、店内飲食は別の価格になる旨を掲示する

値札を出す前のチェックリスト

  • 値札・POP・チラシ・SNSの価格は、税込価格になっているか
  • 比べる価格は、いつ、どれくらいの期間売っていた価格か説明できるか
  • 「通常価格」の根拠となる販売記録を残しているか
  • メーカー希望小売価格は、メーカーが公表しているものか
  • 割引率の元になる価格、対象の商品、条件を書いているか
  • 数量・期間・1人あたりの点数の限定を、はっきり書いているか
  • 値札、POP、レジの登録、告知の価格がそろっているか
  • 食品は、持ち帰りと店内飲食の区別が分かるか
  • 館やモールの価格表示の決まりを確かめたか

販促物の作り方はのぼり旗・POP・ノベルティの選び方と置き方、事前の告知は催事の事前告知の方法、当日の確認は催事ブースの当日運営チェックリストもあわせてご覧ください。法令の細かい当てはめについては、詳しくは所管の窓口や専門家にご確認ください。

よくある質問

催事の初日から「通常価格」と並べて表示してもよいですか?

その商品を催事の前からお店やネットで売っていて、セール開始前の8週間のうち半分を超える期間その価格で売っていたなら、価格表示ガイドラインの目安に当てはまります。ただし、その価格で売った期間が通算2週間未満の場合や、最後にその価格で売った日から2週間以上たっている場合は当てはまりません。催事で初めて売る商品は、その価格で売った実績がないため、「通常価格」と比べる表示は避けます。

「メーカー希望小売価格」と「参考価格」は同じ扱いですか?

同じではありません。希望小売価格は、メーカーなどが設定し、前もって公表している価格です。メーカーが小売店向けにだけ示している参考小売価格などは、カタログなどで小売店に広く示されている場合に比べることができますが、希望小売価格とは別の名前で、誤解のないように表示する必要があるとされています。

閉店前の値下げで「○円→○円」と書いてもよいですか?

一定の時間に限って値下げするタイムサービスや、売れ残りを避けるための時間帯の値下げで、当初の表示価格と比べる表示は、価格表示ガイドラインでは通常は不当表示に当たるおそれはないとされています。値下げの時間と対象の商品をはっきり示しておくと、誤解を防げます。

口頭で伝える価格にも、総額表示は必要ですか?

国税庁の案内では、口頭で伝える価格は総額表示の対象外です。ただし、値札やPOPなど前もって示す価格は、税込価格にする必要があります。売場でのやりとりも税込の金額で伝えると、値札と食い違わず、お客様に分かりやすくなります。

価格表示を含めた催事の売場づくりのご相談は、株式会社スカイウォークスの催事・イベントの企画・運営のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお寄せください。

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