販促イベントの企画書の書き方|入れる項目と書く手順

販促イベントの企画書は、「何のために、誰に向けて、何をして、どんな結果を目指すか」を、読む人が短い時間で判断できるように書く書類です。最初に目的と目標の数字を置き、内容、日時と場所、体制、予算、起こりうる問題への備え、効果の測り方を続けると、決裁する人にも会場の担当者にも伝わりやすくなります。この記事では、企画書に入れる項目、書く手順、読み手ごとの書き分け、法令と会場の決まりで確かめること、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

白い机に広げた資料

販促イベントの企画書とは?計画書やマニュアルとの違い

企画書は、イベントを「やるかどうか」を決めてもらうための書類です。イベントの準備では、企画書のほかに、段取りを細かく決める実施計画書や、当日の動きをそろえる運営マニュアルを作ることがあります。3つの書類は、目的と読み手が違います。

書類 目的 主な読み手 主な中身
企画書 実施を決めてもらう 決裁する人、会場、協賛先 目的、目標、内容の概要、予算、見込む効果
実施計画書 決まった企画を段取りに落とす 運営の担当者、会場 日程表、配置図、体制、備品、手続き
運営マニュアル 当日の動きをそろえる 当日のスタッフ 役割、時間割、接客の言葉、緊急時の連絡

企画書の段階では、細かい段取りよりも、なぜやるのか、何が得られるのかを伝えることを優先します。段取りは、企画が決まったあとに実施計画書で詰めます。

中小企業基盤整備機構が運営する J-Net21 では、販促企画を、業種の特徴を理解する、企画を立てる、実行する、効果を検証する、改善する、という段階を繰り返して育てるものと説明しています。企画書は「企画を立てる」段階をまとめたものですが、検証と改善に使う材料(目標の数字や測り方)も最初から書いておくと、次の企画につながります。

資料とタブレットを確かめる手元

企画書に入れる項目は?

J-Net21 は、販促企画を立てるときに決める要素として、課題、目的、目標、ターゲット、仕組み、予算の6つを挙げ、どれか1つでも欠けると企画があいまいになるとしています。この6つに、日時と場所、告知、体制、スケジュール、起こりうる問題への備え、効果の測り方を加えると、販促イベントの企画書の骨組みになります。

項目 書くこと 書き方の例
表紙と要約 題名、提出日、提出先、全体が1枚でわかる要約 「新商品の試食会を開き、購入する人を増やす」
背景と課題 いま困っていること、なぜ今やるのか 「新商品の名前が、まだ知られていない」
目的 課題を解くために、何を変えたいのか 「新商品を試す人を増やす」
目標 目的が達成できたかを測る数字 試食した人数、購入数、会員登録の数
ターゲット 誰に来てほしいか 「休日に家族で買い物に来る人」
内容(仕組み) 何をするか、お客様はどう参加するか 試食、くじ引き、体験、実演
日時と場所 開催日、時間、会場、区画の広さ 「週末2日間、館内の催事スペース」
告知 いつ、どこで、どう知らせるか SNS、チラシ、館内の案内、いまのお客様への案内
体制 責任者、役割、人数 責任者、説明、レジ、誘導の担当
予算 費用の内訳と、見込む効果 告知物、景品、什器、人件費、運搬費
スケジュール 準備の締め切り 承認、申し込み、制作、告知の開始、当日、振り返り
起こりうる問題と備え 当日に困りそうなことと、その対策 雨、混雑、品切れ、けが、苦情
効果の測り方 何を、いつ、どう数えるか 立ち寄った人数、購入率、アンケート

J-Net21 では、予算は目標と仕組みを中心に考えて出すとし、費用の例として、ポスターやチラシなどの告知物の制作費を挙げています。販促イベントでは、ほかに景品、什器や装飾、運搬、人件費、片付けの費用も入れておくと、あとで予算が足りなくなるのを防げます。

1枚目の要約に書くこと

要約は、読み手が最初に目を通す部分です。次の6つを、それぞれ1〜2行で書きます。

  • 何をするか(イベントの名前と内容を一文で)
  • なぜやるか(課題と目的)
  • 誰に向けてか(ターゲット)
  • いつ、どこでか(日時と会場)
  • 何を目指すか(目標の数字)
  • いくらかかるか(予算の合計と、主な内訳)

要約の最後に「決めていただきたいこと」(実施の可否、予算、日程など)を書いておくと、読み手が何を判断すればよいかがはっきりします。

木の机で書類を書く手元

企画書はどう書く?7つの手順

  1. 課題を書き出し、1つに絞る:J-Net21 は、まず課題を箇条書きでいくつも出し、その中から先に解決すべき課題を1つだけ決めることを勧めています。
  2. 目的を一文で書く:課題が解けた状態を、「誰が」「どうなる」の形で書きます。
  3. 目標を数字で決める:J-Net21 は、目標の数字の達成率を、効果測定の物差しにするとしています。前回の実績や売上の目標から、根拠のある数字にします。
  4. ターゲットを決める:目標を達成するには、どのお客様に来てもらうのがよいかを考えます。
  5. 内容を決め、目的と合っているか確かめる:J-Net21 は、新しいお客様を増やすのが目的なのに、来店の回数を増やすポイントカードを行っても、来たことのない人には響かない、という例を挙げています。目的・目標・ターゲット・内容が互いに食い違わないかを見直します。
  6. 日程・体制・予算を当てはめる:内容が決まったら、いつまでに何を準備するか、誰が担当するか、いくらかかるかを書きます。
  7. 要約を最後に書き、最初に置く:全体ができてから、1枚の要約を作って表紙のすぐあとに置きます。

読みやすくする書き方

  • 1ページに1つのことを書く
  • 「何をするか」より先に「何のためか」を書く
  • 数字には根拠と出どころを添える(前回の実績、社内の売上の記録など)
  • 配置図や写真を入れ、当日の様子を思い浮かべやすくする
  • 社内の略語や専門用語を使わない
  • 決まっていること、確認中のこと、これから決めることを分けて書く

アイデアに迷ったら、J-Net21 が挙げる販促の基本的な手法(値引き、クーポン、プレゼントキャンペーン、イベント、コンテスト)から、目的に合うものを選ぶ方法があります。年間の行事や記念日、地域の祭りと結びつけることも勧められています。季節ごとの考え方は、コラム「季節ごとの販促イベントのアイデア」にまとめています。

起こりうる問題と備えの書き方

決裁する人や会場の担当者は、うまくいかなかったときの備えも見ています。起こりうる問題ごとに、「誰が」「何を見て」「どうするか」を短く書きます。

フリップチャートを使った打ち合わせ

読み手によって、何を厚く書く?

同じ企画でも、読む人によって知りたいことが違います。表紙の要約と、厚く書く項目を読み手に合わせて入れ替えると伝わりやすくなります。

読み手 知りたいこと 厚く書く項目
社内の決裁者 費用に見合う効果があるか、問題が起きないか 目標、予算、効果の測り方、起こりうる問題と備え
会場(商業施設など)の担当者 施設の決まりを守れるか、ほかのお客様の迷惑にならないか 内容、区画の使い方、音や火気、混雑の対策、安全
協賛先や取引先 自社の商品や名前がどう扱われるか ターゲット、告知、商品や名前の見せ方、報告の方法
当日のスタッフ 自分が何をすればよいか 体制、時間割、役割(実施計画書や運営マニュアルに移す)

決裁者向けの企画書では、「やらなかった場合に何が困るか」や、ほかの案と比べてこの案を選んだ理由を添えると、判断の材料が増えます。会場向けの企画書では、施設の募集要項や出店の決まりに書かれた項目に、漏れなく答えることを優先します。

フォルダの書類を確かめる手元

法令と会場の決まりで、何を確かめる?

企画書には、実施に要る手続きと、その確認の状況も書きます。決裁のあとで「この内容は実施できない」とわかると、企画を作り直すことになるためです。

内容 確かめること 主な窓口や資料
くじ引き、プレゼント 景品表示法の景品の上限 消費者庁の資料、専門家
試食、試飲、調理 食品の営業許可や届出が要るか 会場を受け持つ保健所
火を使う、露店を出す 火災予防条例の届出、消火器の用意 会場を受け持つ消防署
道路で行う 道路交通法第77条の道路使用の許可、道路法第32条の道路の占用の許可 警察署、道路管理者
音楽を流す、演奏する 著作権の手続きが要るか 会場、権利者や著作権を管理する団体
アンケート、会員登録 個人情報の利用目的の示し方 個人情報保護法
写真を撮って発信する 写り込む人への配慮、撮影の知らせ方 会場

景品の上限

くじ引きやプレゼントは、景品表示法の「景品類」に当たることがあります。消費者庁の説明では、景品の最高額と総額の上限は、渡し方によって決まっています。渡し方は、くじ、じゃんけん、クイズの正解などで当たる人を決める「一般懸賞」、商店街など多くの事業者が共同で行う「共同懸賞」、買った人や来店した人にもれなく渡す「総付景品」(先着順も含む)に分かれます。企画書には、どの渡し方に当たるかと、景品の金額が上限の中に収まるかを書いておきます。上限の一覧は、コラム「季節ごとの販促イベントのアイデア」の表にまとめています。

景品に当たるかどうかや、取引価額の考え方には細かな基準があります。景品を使う企画は、内容と渡し方が決まった段階で、消費者庁の資料や専門家に確かめます。

音楽、個人情報、写真

著作権法第38条第1項は、営利を目的とせず、聞く人から料金を受けず、演奏する人に報酬を払わない場合に、公表された著作物の演奏などができるとしています。売上につなげるための販促イベントは、この条件に当たらないことが多いため、音楽を使う場合は手続きが要るかを確かめます。会場によって扱いが違うため、まず会場の担当者に尋ねます。

個人情報保護法第21条第2項では、アンケート用紙など本人が書いた書面から個人情報を受け取るときは、あらかじめ利用目的を本人に示すことが求められています。詳しくはコラム「催事のアンケートの取り方と個人情報の扱い」を、写真の扱いはコラム「イベントの写真と SNS 発信で気をつけること」をご覧ください。法令の扱いは内容によって違うため、詳しくは所管の窓口や専門家にご確認ください。

丸めた紙と書類が散らばる机

よくある失敗と、出す前のチェックリスト

よくある失敗

失敗 防ぎ方
目的が「にぎわいを作る」だけで、良し悪しを測れない 目的に合う数字を絞って決め、測り方も書く
内容が目的と合っていない 目的・目標・ターゲット・内容を並べて、食い違いがないか見直す
予算に人件費、運搬費、片付けの費用が入っていない 準備から撤収までの作業を書き出して、費用を拾う
手続きの確認が後回しになり、内容を変えることになった 景品、食品、火気、道路、音楽の確認を、企画の段階で済ませる
雨や混雑、品切れのときの備えがない 起こりうる問題ごとに、判断する人と対策を決めておく
枚数が多く、読まれない 要約を1枚にまとめ、詳しい資料は別添にする

出す前のチェックリスト

  • 要約だけを読んで、目的と内容がわかる
  • 課題、目的、目標、ターゲット、内容が食い違っていない
  • 目標の数字に、根拠と出どころを書いた
  • 予算に、準備から撤収までの費用が入っている
  • 日時、場所、区画の広さ、体制を書いた
  • 景品、食品、火気、道路、音楽、個人情報の確認の状況を書いた
  • 雨、混雑、品切れ、けが、苦情への備えを書いた
  • 効果の測り方と、振り返りの日を書いた
  • 読み手に合わせて、厚く書く項目を選んだ
  • 社内の略語や専門用語を言い換えた

よくある質問

企画書は、何ページくらいがよいですか?

決まりはありません。読み手が短い時間で判断できる量にします。要約を1枚にまとめて最初に置き、詳しい資料は別添にすると、忙しい人にも読んでもらいやすくなります。社内や会場に決まった書式がある場合は、その書式に合わせます。

目標の数字は、どう決めればよいですか?

前回の実績や、同じような企画の記録があれば、それを出発点にします。売上の目標から逆算して、立ち寄る人数や買う人の割合に分ける方法もあります。決め方はコラム「催事の売上目標の立て方と振り返り方」で、測り方はコラム「販促イベントの効果測定の方法」で説明しています。

企画書と一緒に出すとよい資料はありますか?

会場の配置図、準備の日程表、費用の見積り、前回の実績の記録、似た企画の写真などがあると、読み手が当日の様子を思い浮かべやすくなります。会場向けには、使う什器や装飾の一覧、火気や電源を使うかどうかの一覧も役に立ちます。

企画が通らなかったときは、どうすればよいですか?

通らなかった理由を、目的、費用、手続き、時期のどれに当たるかで分けて聞きます。費用が理由なら規模を小さくした案を、時期が理由なら別の時期の案を用意します。J-Net21 も、イベントは開催を重ねるごとに改善して育てるものとしています。

株式会社スカイウォークスでは、ご要望をうかがい、企画書や実施計画書、運営マニュアルのご提案から運営までお手伝いしています。販促イベントのご相談は、催事・イベントの企画・運営のページをご覧のうえ、お問い合わせフォームからお寄せください。

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