営業・販売の現場でよく使う用語集|意味と使い方をやさしく解説

営業や販売の現場で使う用語は、「目標と数字」「営業・接客の流れ」「売場と販促」の3つに分けて覚えると整理しやすくなります。この記事では、販促担当の方や、新しく営業・販売の仕事に就いた方に向けて、現場でよく耳にする35項目を分類ごとの表にまとめ、意味と使い方の例、似た用語の見分け方を添えました。数字の用語は、会社によって計算の仕方が少しずつ違います。意味を覚えたら、職場での定義もあわせて確かめておくと、会議や報告での行き違いを防げます。

紙にメモを書いている手元

用語は、どう覚えるとよいですか?

用語は、仕事の中で使う場面と一緒に覚えると、頭に入りやすくなります。この記事では、次の3つの場面に分けて紹介します。

  • 目標と数字:計画を立てるとき、結果を振り返るときに使う用語
  • 営業・接客の流れ:お客様と話すとき、商談の進み具合を共有するときに使う用語
  • 売場と販促:店頭や催事の売場をつくるとき、販促物を用意するときに使う用語

表の「使い方の例」は、現場の会話や報告の場面を想定した例文です。言い回しは職場によって違うので、先輩や上司がどう使っているかも参考にしてください。店頭での接客の流れそのものは、コラム「店頭販売の声かけと接客の基本」で順を追って紹介しています。

棒グラフを描いたホワイトボード

目標と数字の用語

計画を立てるときと、結果を振り返るときに使う用語です。

用語 意味 使い方の例
KGI Key Goal Indicator の略です。最終的に達成したい目標を、数字で表した指標です。重要目標達成指標とも呼びます。 「今期のKGIは、売上高の目標額です」
KPI Key Performance Indicator の略で、重要業績評価指標と訳します。目標に向けた取り組みが進んでいるかを、数字で測るための指標です。 「KGIの達成に向けて、声かけの数と体験してもらった数をKPIに置きます」
CVR Conversion Rate の略で、コンバージョン率とも言います。訪れた人や接した人のうち、購入や申込みなど目的の行動まで進んだ人の割合です。 「広告を見て来た人は多いのに、CVRが低い。売場での説明を見直そう」
成約率 商談や提案をした件数のうち、契約や購入に至った件数の割合です。 「成約率は上がったけれど、商談の数が減っている」
客単価 お客様1人あたりの買上金額です。売上は「客数×客単価」に分けて考え、客単価はさらに「商品の単価×買上点数」に分けて見ます。 「客数は先月と同じなので、客単価を上げる工夫をしよう」
買上点数 お客様1人が、1回の買い物で買った商品の数です。客単価を分けて見るときに使います。 「一緒に使う商品を近くに並べて、買上点数を増やしたい」
歩留まり 営業では、ある段階から次の段階へ進んだ割合を指して使います。アポイントから商談へ、商談から成約へ進んだ割合などです。 「商談から成約への歩留まりが下がっている。どこで止まっているか調べよう」
予実 予算(計画)と実績のことです。計画と実績の差を定期的に確かめることを「予実管理」と言います。 「週の予実を見て、足りない分を週末の売場づくりで補おう」
粗利 売上総利益、粗利益とも言います。売上高から、仕入れなどの売上原価を引いた利益です。ここから経費を引くと営業利益になります。 「値引きが多かったので、売上は増えても粗利は先月より少ない」
PDCA Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)の頭文字をとった言葉です。計画して実行した結果を確かめ、次の行動に生かす流れを繰り返します。 「催事の結果をPDCAで振り返り、来週の声かけを変えよう」

数字の用語は、何に気をつけて使えばよいですか?

割合を表す用語は、分母に何を置くかで値が変わります。たとえば成約率の分母を「声をかけた人」にするか「商談まで進んだ人」にするかで、同じ結果でも数字が違って見えます。客単価も、税込みか税抜きか、返品を引くかどうかで変わります。報告や会議で数字を比べるときは、計算の仕方と集計の期間をそろえておきましょう。店頭販売でどの数字をKPIに置くかは、コラム「店頭販売の目標とKPIの決め方」で紹介します。

店頭で商品を説明する販売員

営業・接客の流れの用語

お客様と接する場面で使う用語です。店頭での接客は、多くの場合、アプローチ、ヒアリング、商品の説明、クロージングの順に進みます。

用語 意味 使い方の例
アポ アポイントメントの略で、面会や商談の約束のことです。「アポを取る」は、相手と会う日時を決めることです。 「来週の火曜に、新しい取引先候補とのアポが取れました」
見込み客 商品やサービスに関心を持ち、これからお客様になる可能性がある人や会社です。 「資料を受け取った見込み客に、後日あらためてご案内する」
アプローチ お客様に最初に声をかけ、接客を始めることです。営業では、見込み客に接触を始めることも指します。 「商品を手に取ったときが、アプローチのきっかけです」
ヒアリング 質問をしながら、お客様の困りごとや希望を聞き取ることです。 「説明の前に、使う場面とご予算をヒアリングしよう」
ニーズ お客様が求めていることです。本人がまだ言葉にしていない望みを「潜在ニーズ」と言います。 「『荷物が多い』という話から、大きめのかばんという潜在ニーズが見えた」
クロージング 購入や契約を決めてもらう、接客や商談の最後の段階です。 「クロージングでは、選んだ理由を一緒に確かめてから、手続きに進みます」
アップセル お客様が検討している商品より、上位の商品やプランを提案することです。 「容量が足りるか心配とのことなので、一つ上のプランもご案内した」
クロスセル 検討している商品と一緒に使う、別の商品やサービスを提案することです。小売の現場では「関連販売」とも言います。 「スマートフォンと一緒に、保護フィルムもご案内する」
ロープレ ロールプレイングの略です。お客様役と販売員役に分かれて、接客や商談を練習することです。 「開店前に、断られたときの受け答えをロープレしておこう」
フォロー 購入や契約のあとも、使い方の案内や問い合わせへの対応を続けることです。 「お届けのあとに、使い心地をうかがうフォローの連絡を入れる」
CRM Customer Relationship Management の略で、顧客関係管理と訳します。お客様の情報ややりとりを記録し、関係づくりと次の提案に生かす仕組みです。 「前回のご購入の内容をCRMで確かめてから、ご案内の電話をする」
SFA Sales Force Automation の略で、営業支援システムと訳します。商談の段階や、出した提案書、見積りなどを記録し、チームで共有します。 「商談の進み具合はSFAに入力して、週の会議で共有します」

進め方は、「商談のヒアリングシートの作り方」「クロスセルとアップセルの進め方」「接客ロールプレイングのやり方」「電話でアポイントを取るときの基本」「顧客管理の基本」で詳しく紹介します。

白い棚に商品を並べた売場

売場と販促の用語

店頭や催事の売場をつくるとき、販促物を用意するときに使う用語です。

用語 意味 使い方の例
POP Point of Purchase(購買時点)の略です。売場で、商品の特長や価格を伝える掲示物のことで、POP広告とも言います。 「新商品の横に、使い方を短く伝えるPOPを付けよう」
VMD Visual Merchandising(ビジュアル・マーチャンダイジング)の略です。品ぞろえや売場の考え方を、陳列や装飾を通して、お客様が目で見て分かる形にすることです。 「季節の切り替えに合わせて、VMDの計画を見直す」
VP・PP VMDの中で使う言葉です。VP(ビジュアル・プレゼンテーション)は、店や季節のテーマを伝える展示です。PPは、売場の要所でおすすめの商品や組み合わせを見せ、近くの棚へ目を向けてもらう展示です。棚やハンガーに色やサイズを選びやすく並べることは、IP(アイテム・プレゼンテーション)と言います。 「VPで秋のテーマを見せ、PPでおすすめの組み合わせを見せる」
インストアプロモーション 店の中で行う販売促進のことです。試食や実演、特売、POPなどが含まれます。 「週末のインストアプロモーションとして、試食の台を出す」
動線 売場の中を、お客様やスタッフが動く道筋です。お客様の動きを「顧客動線」とも言います。 「レジ前の動線をふさがないように、平台の位置をずらそう」
フェイス 棚の最前列で、お客様から見える商品の面のことです。「フェース」とも書きます。何列分を並べるかを決めることを「フェイス取り」と言います。 「売れ筋の商品は、フェイスを増やす」
棚割 どの棚の、どの高さに、どの商品をいくつ並べるかを決めることです。決めた内容を書いた表を「棚割表」と言います。 「新商品の入荷に合わせて、棚割を組み直す」
エンド 陳列棚の列の端にある売場です。通路から目に入りやすいため、特売や季節の商品を置くことが多い場所です。 「今月のエンドは、新生活の特集にします」
平台 商品を平らに積んだり並べたりして見せる、低い台です。 「平台に見本を置いて、手に取りやすくする」
什器 棚、台、ハンガーラックなど、商品を並べるための備品です。 「催事で使う什器は、会場で借りられるものを先に確かめる」
ノベルティ 販売促進のために配る、社名や商品名の入った記念品です。購入や契約、来店などに合わせて配る場合は、景品表示法の決まりがあります。 「アンケートに答えてくれた方に、ノベルティのペンをお渡しする」
POS Point Of Sale の略で、販売時点情報管理システムのことです。レジで商品のバーコードを読み取ると、登録しておいた商品名や価格を呼び出して精算します。 「売り出しの前に、新商品がPOSに登録されているか確かめる」
JANコード 商品のバーコードが表す番号で、「どの事業者の、どの商品か」を表します。国際的な商品識別コード(GTIN)の日本での呼び方です。ふつうは13桁で、小さな商品向けに8桁のものもあります。 「入荷した商品のJANコードと、伝票の番号が合っているか確かめる」

陳列の工夫や在庫の数え方は「小さな店の売場づくりの基本」と「店の在庫管理の基本」で、販促物の選び方は「のぼり旗・POP・ノベルティの選び方と置き方」で紹介しています。

並んだ古い本

言葉の由来にまつわる豆知識は?

用語の由来には諸説あるものも多いため、ここでは、公的な資料や業界団体の公式サイトに書かれているものを紹介します。

「歩留まり」は、もとは製造の言葉

歩留まりは、もとは製造の現場で使う言葉です。原料の量に対して、できあがった製品がどれだけの割合かを表します。税関の手続きの通達でも、歩留りを「原料品の数量に対する製品などの数量の割合」という意味で定めています。営業で使う歩留まりも、入口の数に対して次の段階へどれだけ残ったかを見る点で、同じ考え方です。

POPの業界団体は、米国の協会の日本支部から始まった

POPは、Point of Purchase の頭文字をとった言葉です。POP広告などの販売促進に関わる業界団体、一般社団法人日本プロモーショナル・マーケティング協会は、1969年に米国POP広告協会の日本支部として設立されました。2000年に米国の協会から独立し、そのときの英語名は Japan Point of Purchase Promotion Institute でした。今の名称になったのは2009年です(2026年11月時点の協会の公式サイトによる)。

KPIは、行政の計画でも使われる

KPIは会社だけの言葉ではありません。内閣府の資料では、KPIを「重要業績評価指標」とし、目標を達成するための取り組みの進み具合を数字で測る指標と説明しています。地域の計画づくりでも、取り組みの進み具合を確かめる指標として使われています。

VMDの技能は、国の技能検定の職種にもなっている

国の技能検定には「商品装飾展示」という職種があります。厚生労働省の技能振興のサイトでは、VMDの考え方をもとに、店舗の品ぞろえの考え方をお客様に目で見て伝える、商品の見せ方の技能と紹介されています。厚生労働省の職業能力評価基準(スーパーマーケット業)では、「フェース取り」「棚割表」「平台・エンド」「顧客動線」といった言葉も使われています。

JANコードの数字に、値段は入っていない

JANは Japanese Article Number の略です。GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)によると、JANコードは商品の情報を呼び出すための番号で、数字そのものに商品名や価格は入っていません。店がPOSシステムに番号と商品名、価格を結びつけて登録しておくことで、レジに値段が出ます。ただし、本や雑誌に付ける専用のコードには、値段を表す数字を含むものもあります。日本は1978年に国際EAN協会に加わり、日本の国コードとして「49」が決まりました。1995年には「45」が加わっています。

説明会に参加する人たち

新しく仕事に就いた人は、どこから覚えればよいですか?

まずは、毎日の会話や報告で出てくる語から覚えます。次の順番で進めると、無理なく身につきます。

  1. 自分の売場で使う語:POP、フェイス、エンド、動線など。売場を歩きながら、実物と結びつけて覚えます。
  2. 接客の流れの語:アプローチ、ヒアリング、クロージングなど。ロープレの中で使うと、意味と使いどころが一緒に覚えられます。
  3. 数字の語:客単価、成約率、KPIなど。日報や週報で自分の数字を計算してみると、意味がつかめます。

知らない語が出てきたら、その場でメモをとり、あとで先輩に意味と使い方を聞きましょう。聞いた内容を自分用の用語集にまとめておくと、次に入ってくる人に教えるときにも役立ちます。日報での数字の書き方は、コラム「販売の日報と報告書の書き方」で紹介します。

ノートとペン、ノートパソコンを置いた机

似ている用語は、どう見分けますか?

意味が近く、取り違えやすい用語をまとめました。違いを一言で言えるようにしておくと、報告で迷いにくくなります。

用語 見分けるところ
アップセルとクロスセル アップセルは、同じ商品の上位の品やプランを勧めます。クロスセルは、一緒に使う別の商品を勧めます。
成約率と歩留まり 成約率は、契約や購入まで進んだ割合です。歩留まりは、アポから商談へなど、段階ごとに次へ進んだ割合にも使います。
粗利と営業利益 粗利は、売上高から売上原価だけを引いた利益です。営業利益は、そこからさらに人件費などの経費を引いた利益です。
CRMとSFA CRMは、お客様との関係を中心に記録します。SFAは、商談の進み具合を中心に記録します。

よくある質問

KPIとKGIは、どう使い分けますか?

KGIは「最後に何を達成したいか」、KPIは「そこへ向かう途中で、何がどれだけ進んでいるか」を表します。たとえばKGIを売上の目標額に置いたら、KPIには声かけの数、体験してもらった数、成約率など、毎日の行動で動かせる数字を選びます。

成約率とCVRは、同じ意味ですか?

どちらも「目的の行動まで進んだ割合」ですが、使う場面が少し違います。成約率は、商談や接客のうち契約や購入に至った割合で、営業や店頭でよく使います。CVRは、ウェブサイトや広告の分野で使われることが多く、目的の行動には購入のほか、申込みや問い合わせも含めます。職場でどう定義しているかを確かめてから使いましょう。

用語の意味が、前の職場と違うときはどうすればよいですか?

同じ語でも、会社や業界によって意味や計算の仕方が違うことがあります。迷ったときは、今の職場の定義に合わせます。数字の用語は、分母と集計の期間を確かめておくと、報告の食い違いを防げます。

お客様との会話でも、これらの用語を使ってよいですか?

この記事の用語の多くは、社内で使う言葉です。お客様には、ふつうの言葉に言い換えて伝えます。たとえば「クロスセル」は使わず、「一緒にお使いいただける商品もございます」のように話すと、相手に伝わりやすくなります。

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