電話でアポイントを取るときの基本|テレアポのコツと流れ

テレアポ(電話でアポイントを取ること)の基本は、電話の目的を「会う約束をもらうこと」だけに絞り、最初に会社名と名前、用件を短く伝えることです。そのうえで相手の都合を確かめ、日時の候補を示し、決まった内容を復唱して終えます。話のうまさと同じくらい大切なのが、かける前の準備と、切ったあとの記録です。この記事では、テレアポの全体像、準備、話す順番、法人と個人の違い、断られたときの対応とよくある失敗、チェックリストの順にまとめます。個人のお宅へかける場合は、特定商取引法の決まりにも気をつけます。

職場で電話をかける会社員と同僚

テレアポとは?何を目的にする電話ですか?

テレアポは「テレフォンアポイントメント」を略した言葉で、電話で面談や商談の約束を取ることを指します。会って話す約束のほか、オンラインでの打ち合わせや、資料を届けに行く約束を取る場合も含めて使われます。

大切なのは、電話の中で商品を売り込まないことです。電話で伝えられる情報は限られていて、相手は仕事の途中で電話を受けています。電話の役割は「詳しく話を聞いてもよい」と思ってもらうところまでにとどめ、説明は面談の場で行います。目的をこう決めておくと、話す内容が短くなり、相手の負担も減ります。

テレアポの全体の流れ

  1. 目的と相手を決める:誰に、何のために会いたいのかを決め、かける先のリストを整えます。
  2. 台本と想定問答を作る:名乗り、用件、相手にとっての利点、日程の聞き方、断られたときの言葉を用意します。
  3. 電話をかける:受付の方に取り次いでもらい、担当の方に用件を伝え、日時を決めます。
  4. 確認の連絡を送る:決まった日時や場所を、メールなど形に残る方法で送ります。
  5. 記録して振り返る:結果と次の連絡の時期を残し、数字で振り返ります。

テレアポの振り返りで使う数字

テレアポの振り返りでは、次のような数字をよく使います。呼び方や計算の仕方は職場によって違うので、社内での定義をそろえてから使いましょう。

  • 架電数:電話をかけた件数です。
  • 接続数・接続率:担当の方と話せた件数と、架電数に対するその割合です。
  • アポ数・アポ率:約束が取れた件数と、その割合です。分母を架電数にするか接続数にするかで値が変わります。

数字の目標の決め方は店頭販売の目標と KPI の決め方、用語の意味は営業・販売の用語集でも紹介しています。

ヘッドセットと資料、文房具を置いた机

かける前に、何を準備すればよいですか?

電話は、相手の時間を急にもらう連絡の方法です。福島労働局のビジネスマナーの資料でも、電話はかける側が優位に立っている状態なので、受ける側の都合に配慮するよう説明しています。準備を整えるほど、電話を短く終えられます。

リストを整える

かける先の会社名、代表の電話番号、部署、担当の方の名前、これまでの連絡の記録をまとめます。同じ会社に別の人が続けてかけてしまうことを防ぐため、リストはチームで1つにまとめて使います。

担当の方の名前のように特定の人が分かる情報や、名前と結びついた直通の番号などは、個人情報にあたります。個人情報をパソコンなどで検索できるように整理すると、その中の情報は「個人データ」にあたり、漏えいや紛失を防ぐための安全管理の措置が求められます(個人情報保護法第23条)。個人データを第三者に渡すときは、原則としてあらかじめ本人の同意が要ります(同法第27条第1項)。外部から名簿を受け取るときは、どのように集めた名簿なのかを確かめ、社内の決まりに沿って扱いましょう。

相手のことを調べる

かける前に、相手の会社のホームページなどで事業の内容を確かめます。相手の仕事に合わせて用件を一言で言えるようにしておくと、「どのようなご用件ですか」と聞かれたときにも落ち着いて答えられます。

台本(トークスクリプト)を用意する

台本は、読み上げるための原稿ではなく、話す順番と言い回しの骨組みです。名乗り、用件、相手にとっての利点、日程の聞き方、断られたときの言葉を短く書き、よく聞かれる質問への答えも添えておきます。答えの作り方はお客様からよく聞かれる質問への答え方とFAQの作り方が参考になります。

日程の候補と所要時間を決めておく

面談の日時の候補をいくつか決め、1回の面談にかかる時間の目安も決めておきます。対面かオンラインかを選べるようにしておくと、相手が予定を合わせやすくなります。

かける時間帯を考える

福島労働局の資料では、忙しい時間帯として、始業時間から30分間、昼休みの前後、終業時間前の30分間を挙げ、心配なときは相手の都合を聞くよう勧めています。飲食店のように昼や夕方が忙しい業種もあるので、相手の仕事の流れに合わせて時間帯を選びます。

手元をそろえる

同じ資料では、電話をかける前に、相手の電話番号、所属、氏名を確かめること、用件を5W2Hの要領でまとめておくこと、話の中で使う資料を手元に用意することを挙げています。受話器は利き手と反対の手で持ち、利き手でメモを取れるようにしておくことも勧めています。

ノートパソコンの前で電話をかける人

電話は、どんな順番で話せばよいですか?

話す順番は、名乗り、相手の都合の確認、用件、相手にとっての利点、状況の確認、日程、復唱とお礼が基本です。鹿児島労働局のハローワークの資料でも、名乗るだけでなく「○○の件でお電話いたしました」と、まず用件の前置きをするよう勧めています。

段階 ねらい 言い方の例
受付の方への名乗り 誰からの電話か、どの部署につないでほしいかを伝える 「お世話になっております。私、○○株式会社の△△と申します。□□のご担当の方はいらっしゃいますでしょうか」
担当の方への名乗りと都合の確認 今話してよい時間かを先に確かめる 「○○株式会社の△△と申します。今、少しお時間をいただいてもよろしいでしょうか」
用件 何の電話かを結論から伝える 「□□の件で、一度ご説明のお時間をいただきたく、お電話いたしました」
相手にとっての利点 会う理由を1つに絞って伝える 「□□にかかる手間を減らす方法を、ご紹介しております」
状況の確認 短い質問で、話が相手に合うかを確かめる 「今は、どのような方法で□□をされていますか」
日程 候補を示して選んでもらう 「来週の火曜か木曜の午後で、お時間をいただける日はございますか」
復唱とお礼 決まったことを確かめ、感謝を伝えて終える 「それでは、○日の○時に御社へ伺います。お忙しいところ、ありがとうございました」

話すときに気をつけること

  • 名乗りはゆっくり:会社名と名前は、相手が聞き取れる速さで伝えます。緊張すると早口になりやすいところです。
  • 一度に話すのは1つ:用件と利点を短く伝えたら、相手の反応を待ちます。
  • 質問は答えやすい形で:鹿児島労働局の資料では、「はい・いいえ」で答えられる閉ざされた質問と、相手に考えてもらう開かれた質問を使い分けるよう勧めています。最初は答えやすい質問から始めると、会話が続きやすくなります。
  • 声の表情を明るく:電話は声だけが頼りです。福島労働局の資料も、明るい表情で話すと声の表情も明るくなり、相手に見られているつもりで話すことが電話応対のこつだとしています。

電話の終え方

日時、場所(オンラインの場合はつなぎ方)、参加する人、所要時間を復唱し、相手と自分の理解がそろっているかを確かめます。最後に「失礼いたします」と言い、ひと呼吸おいてから静かに受話器を置きます。鹿児島労働局の資料でも、受話器をガチャンと置くのは感じが悪いとしています。福島労働局の資料では、かけた側から先に切るのが原則としつつ、相手が目上の方のときは相手が切るのを待つとしています。

打ち合わせ中に電話で話す女性

法人にかける場合と個人にかける場合は、何が違いますか?

同じテレアポでも、会社やお店にかける場合と、個人のお宅にかける場合では、相手の立場もかかる決まりも違います。主な違いを表にまとめます。

項目 法人(会社・お店)にかける場合 個人(ご家庭)にかける場合
電話に出る人 受付の方が出て、担当の方に取り次ぐことが多い ご本人やご家族が出る
決める人 担当の方と、最終的に決める方が別のことがある ご本人が決めることが多い
かける時間 営業時間のうち、忙しい時間帯を避ける 食事や家事など、生活の時間に配慮する
特定商取引法 相手が営業のために結ぶ契約は、原則として適用の対象外 電話で勧誘して申込みを受けると「電話勧誘販売」として決まりがかかる
断られたとき 時期を改めて連絡してよいかを確かめて引く 契約しない意思を示した人に、勧誘を続けたり、改めて勧誘したりしない

個人にかけるときの決まり

消費者庁の特定商取引法ガイドによると、事業者が消費者に電話をかけて勧誘し、申込みを受けたり契約を結んだりする取引は「電話勧誘販売」にあたります。電話での勧誘によって申し込むと決めた場合は、いったん電話を切ったあとに、消費者が郵便や電話などで申し込むときも含まれます。電話勧誘販売では、勧誘の前に、事業者の名称、勧誘する人の名前、商品などの種類、契約の勧誘が目的であることを告げなければなりません(特定商取引法第16条)。契約しない意思を示した人への勧誘の継続や再勧誘は禁止されています(同法第17条)。法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、消費者はクーリング・オフができます(同法第24条)。

電話で訪問の約束を取り、お宅で契約を結ぶ場合は、「訪問販売」の決まりがかかることがあります。訪問販売でも、勧誘の前に事業者の名称や勧誘の目的などを告げること(同法第3条)、契約を結ばない意思を示した人に、その場で勧誘を続けたり、改めて勧誘したりしないこと(同法第3条の2)が定められています。

法人にかけるときも、相手の実態に気を配る

相手が営業のために結ぶ契約は、特定商取引法の適用の対象外とされています(同法第26条第1項第1号)。ただし、大阪府の事業者向けの講習会の資料では、事業者の名前での契約でも、主に家庭用や個人用に使われる場合は「営業のため」にあたらないとする通達の考え方が紹介されています。小さなお店や、個人で事業をしている方にかけるときは、個人にかける場合と同じ配慮をしておくと安心です。詳しくは所管の窓口や専門家にご確認ください。

窓辺で電話をかける女性

断られたとき、つながらないときはどうしますか?

断られたときの引き方

「今は必要ありません」と言われたら、まず時間をもらったお礼を伝えます。法人の場合は、「状況が変わったころに、改めてご案内してもよろしいでしょうか」と、次の連絡の可否だけを確かめて引きます。個人の場合は、前の章のとおり、勧誘を続けないことが決まりです。断られた理由を聞けたときは記録に残し、リストの見直しや台本の改善に使います。

担当の方が不在のとき

戻りの時間を受付の方に聞き、その時間に自分からかけ直します。折り返しを頼むと相手に手間をかけるので、こちらからかけ直すのが基本です。伝言を頼むときは、会社名、名前、用件を短く伝えます。

話し中のとき

福島労働局の資料では、相手が話し中のときは4〜5分待ってからかけ直すと、すぐにかけ直すよりもつながりやすいとしています。

よくある失敗

失敗 起きること 直し方
名乗りが早口で、会社名が伝わらない 何の電話か分からず、取り次いでもらえない 会社名と名前を区切って、ゆっくり伝える
用件を後回しにして、世間話から入る 何の電話か分からず、相手が身構える 名乗りのすぐあとに、用件を一言で伝える
台本を読み上げる 相手の反応に合わない話し方になる 骨組みだけを覚え、相手の言葉を受けてから次へ進む
電話で商品の説明を全部してしまう 電話の中で判断され、会う理由がなくなる 説明は面談で行い、電話では会う理由を1つだけ伝える
相手の都合を聞かずに話し始める 忙しいときに話が長くなり、印象が悪くなる 名乗りのあとに、今話してよいかを確かめる
結果を記録しない 同じ会社に何度もかけ、迷惑をかける 切ったらすぐに、結果と次の連絡の時期を残す

言葉づかいで気をつけること

丁寧にしようとして、敬語を重ねすぎることがあります。文化庁の「敬語の指針」では、「お読みになられる」のように同じ種類の敬語を二重に使う「二重敬語」は、一般に適切ではないとしています。「おっしゃられる」も同じで、「おっしゃる」だけで尊敬語になります。社外の人に自社の人のことを話すときの言い方は、法人を訪問する営業のマナーで紹介しています。

ヘッドセットをつけて作業する2人

テレアポのチェックリスト

かける前

  • 電話の目的を「会う約束」に絞っている
  • リストに、会社名、番号、部署、担当の方、これまでの連絡の記録がある
  • 名簿の集め方を確かめ、社内の決まりに沿って扱っている
  • 相手の事業の内容を確かめた
  • 名乗り、用件、利点、日程の聞き方、断られたときの言葉を台本にした
  • 日時の候補と所要時間、対面かオンラインかを決めた
  • 忙しい時間帯を避けている
  • メモと資料を手元に置いた

話している間

  • 会社名と名前をゆっくり名乗った
  • 今話してよいかを確かめた
  • 用件を結論から伝えた
  • 相手の話をさえぎらずに聞いた
  • 日時、場所、参加する人、所要時間を復唱した
  • 個人のお宅では、事業者名と勧誘の目的を最初に告げ、断られたら引いた

切ったあと

  • 確認のメールを送った
  • 予定表に登録した
  • 結果、断られた理由、次の連絡の時期を記録した
  • 約束の日まで間があくときは、前日か当日に確認の連絡を入れる予定を立てた

前日か当日の確認は、鹿児島労働局のハローワークの資料でも、アポイントから訪問まで期間があいた場合に勧められています。記録の残し方は顧客管理の基本、面談の当日の流れは法人を訪問する営業のマナー、面談での話し方は営業トークの組み立て方で紹介しています。

よくある質問

1日に何件かければよいですか?

決まった件数はありません。商材や相手の業種、リストの中身によって、つながりやすさも約束の取りやすさも変わります。件数だけを追うよりも、接続率やアポ率を見て、リスト、時間帯、台本のどこを直せばよいかを考える方が、改善につながります。

受付で「どのようなご用件ですか」と聞かれたら、どう答えますか?

用件を正直に、一言で答えます。用件をぼかしたり、知り合いのふりをしたりすると、信頼を失います。「□□のご案内で、ご担当の方に一度お時間をいただきたく、お電話いたしました」のように、何の電話かがすぐに分かる言い方にしましょう。

電話とメールは、どちらで連絡するのがよいですか?

電話は、その場で相手の答えが聞けることが利点です。一方で、話した内容は記録に残りません。初めての相手には電話で約束を取り、決まったことはメールで送って形に残す、という使い分けをすると、行き違いを防げます。

断られた会社に、またかけてもよいですか?

法人の場合は、断られたときに次の連絡の可否を聞いておき、その答えに従います。「今後の連絡は不要」と言われた相手には、かけないように記録しておきます。個人のお宅で契約しない意思を示された場合は、特定商取引法により勧誘の継続や再勧誘が禁止されています。

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