名刺交換のマナーの基本|渡し方・受け取り方とその後の扱い

名刺交換の基本は、訪ねた側や目下の側から先に、名乗りながら名刺を差し出し、相手の名刺は両手で受け取って名前を確かめることです。座ったあとは、受け取った名刺を名刺入れの上に置いてテーブルに出しておき、話が終わってからしまいます。持ち帰った名刺は、会社の決まりに沿って個人情報として扱います。この記事では、名刺交換の意味と流れ、渡し方と受け取り方、場面ごとの違い、気をつけたいことと受け取ったあとの管理、よくある失敗、要点のまとめの順に紹介します。

名刺を交換する2人の会社員

名刺交換とは?なぜ作法が大切なのですか?

名刺は、会社名、部署、役職、名前、連絡先を書いたカードです。初めて会う相手に、自分が誰で、どこに連絡すればよいかを伝える役目があります。名刺交換は、仕事の場で最初に交わす、あいさつの一部です。

鹿児島労働局のハローワークの資料では、名刺を「来客の分身」とし、両手で受け取り丁寧に扱うよう説明しています。名刺の扱い方は、相手そのものの扱い方として受け取られます。手順を覚えることも大切ですが、それ以上に、相手を大切にする気持ちが伝わるかどうかを意識しましょう。

名刺交換の流れ

  1. 名刺入れに名刺を用意しておく
  2. 相手と向き合い、立ってあいさつする
  3. 名乗りながら名刺を差し出す
  4. 相手の名刺を両手で受け取る
  5. 名前の読み方を確かめる
  6. 座ったら、名刺入れの上に置いてテーブルに出しておく
  7. 話が終わったら丁寧にしまう
  8. 持ち帰った名刺を、会社の決まりに沿って管理する

鹿児島労働局の資料でも、相手が来たら、まず立ち上がってあいさつし、名刺交換を行うとしています。

名刺に書かれていることと、受け取ったときに見るところ

名刺に書かれている主な項目と、受け取ったときに確かめたい点をまとめます。自分の名刺を作るときや、記載が古くなっていないかを見直すときにも使えます。

  • 会社名と部署名:どの会社の、どの部署の方かを確かめます。部署が分かると、話の相手が決める立場か、窓口の立場かの見当がつきます。
  • 役職:上位の方から順に交換するときや、席の順を考えるときの手がかりになります。
  • 名前と読み方:読み方が添えられていない名前は、その場で確かめます。
  • 連絡先:電話番号、メールアドレス、所在地です。あとで連絡するときに、どれを使ってよいかも話の中で確かめておくと安心です。
名刺を両手で差し出す人

名刺は、どう渡し、どう受け取りますか?

準備

名刺は名刺入れに入れ、すぐに取り出せる場所に持っておきます。鹿児島労働局の資料では、汚れた名刺を出すことや、ズボンのポケットから出すことを避けるべきこととして挙げています。折れや汚れのない名刺を、多めに入れておきましょう。

渡す順番

福島労働局のビジネスマナーの資料では、名刺は訪問した側から先に差し出し、訪問した側も相手側も複数のときは、上位の人から順に交換すると説明しています。東京都の外国人材採用ナビセンターのページでも、名刺は基本的に目下の人から差し出し、お客様に会うときは自分から先に差し出すとしています。

渡し方

  • 相手が読める向きにして差し出します(鹿児島労働局の資料)。
  • 「はじめまして。私、○○株式会社の△△と申します」と、会社名と名前を名乗りながら差し出します(福島労働局の資料)。
  • 相手が差し出す名刺よりも、少し下の位置に差し出します(同)。

受け取り方

  • 相手が名刺を差し出したら、両手で受け取ります(東京都のページ)。
  • 名前などが手で隠れないように持ちます(同)。鹿児島労働局の資料も、文字に指をかけないよう注意を促しています。
  • 受け取ったら、会社名、部署名、役職、名前を見て確かめます(福島労働局の資料)。
  • 相手の名前を「○○様ですね」と声に出して確かめます。鹿児島労働局の資料でも、受け取ったら相手の名前を確認するよう挙げています。読めない名前があったら、「恐れ入りますが、お名前はどのようにお読みするのでしょうか」と尋ねます(福島労働局の資料)。

交換のときのひと言とお辞儀

受け取るときは「頂戴いたします」「ありがとうございます」などとひと言添えると、受け取った気持ちが伝わります。名刺を差し出すときや受け取るときは、軽く頭を下げます。背すじを伸ばしたまま上体を腰から倒し、首だけを曲げないように気をつけます(福島労働局の資料)。お辞儀の種類と角度の目安は法人を訪問する営業のマナーで紹介しています。

同時に差し出したとき

お互いが同時に名刺を差し出したときは、右手で自分の名刺を差し出し、左手で相手の名刺を受け取ります。受け取ったら、すぐに右手を添えます(福島労働局の資料)。

座ったあと

全員の名刺交換が終わり、相手から「どうぞおかけください」と言われてから座ります。受け取った名刺は名刺入れの上に乗せ、テーブルの上に置きます。相手が複数のときは、座っている順に名刺を並べておくと、名前を間違えることがありません(福島労働局の資料)。鹿児島労働局の資料も、受け取ってすぐにしまうのではなく、名前を覚えてから名刺入れへしまうよう勧めています。

商談の間の名刺の使い方

テーブルに並べた名刺は、話の途中で相手の名前を確かめるために使います。名前で呼びかけると、相手の話を聞いていることが伝わります。資料を広げるときは、名刺の上に資料を重ねないように置き場所を分けます。話が終わったら、名刺入れにしまってから席を立ちます。

黒い名刺を受け渡す手元

場面によって、名刺交換はどう変わりますか?

基本の流れは同じでも、場面によって気をつける点が変わります。主な場面を表で比べます。

場面 基本の動き 気をつけること
相手の会社を訪ねたとき 訪ねた側から先に差し出す 相手が部屋に入ってきたら立ち上がり、あいさつしてから交換する
お客様を自社に迎えたとき 迎える側から先に差し出す お客様に会うときは自分から差し出すのが基本。お客様を待たせないよう、名刺入れを手元に用意しておく
双方が複数のとき 上位の人から順に交換する 受け取った名刺は、相手が座る順に並べて置く
同時に差し出したとき 右手で差し出し、左手で受け取る 受け取ったら、すぐに右手を添える
名刺を切らしていたとき おわびして、会社名と名前を名乗る 相手の名刺は受け取り、あとでメールや郵送で自分の連絡先を伝える
オンラインで面談するとき 画面越しには紙の名刺を渡せない 冒頭で会社名と名前を名乗り、面談の前後にメールで連絡先を送る

訪ねる側と迎える側で、順番が逆にならないか

「訪ねた側から先に」と「お客様に会うときは自分から先に」は、どちらも「相手を立てる側から先に差し出す」という考え方にもとづいています。相手の会社を訪ねたときは自分が先に、お客様を迎えたときも自分が先に差し出すと覚えておくと、迷いにくくなります。

上司と一緒に訪ねたとき

上司と一緒に訪ねたときも、上位の人から順に交換するのが基本です。自分の上司と相手の上位の方の交換が終わるのを待ってから、自分の番に進みます。上司より先に、相手の上位の方と交換しないようにします。自分の番を待つ間は、名刺入れを手に持って準備しておくと、流れを止めずにすみます。

机の上で名刺を持つ手元

名刺交換で気をつけたいことは?受け取ったあとは、どう扱いますか?

その場で気をつけたいこと

  • ぞんざいに扱わない:鹿児島労働局の資料では、受け取った名刺を机の上へぞんざいに置くことや、もてあそぶことを失礼な行為として挙げています。
  • 相手の前で書き込まない:会った日や話の中身を残したいときは、相手のいない場所で、社内の記録に残します。
  • 置き忘れない:テーブルに出した名刺は、席を立つ前にしまいます。資料と一緒に置き忘れることがあります。
  • 名乗りの言葉を整える:文化庁の「敬語の指針」では、「申す」を、自分の側の行為を話の相手に対して丁重に述べる「謙譲語Ⅱ(丁重語)」の一つとしています。「○○と申します」は、初対面の名乗りにふさわしい言い方です。

相手の名前を覚える工夫

相手が多いと、誰がどの名刺の方だったか分からなくなりがちです。次の工夫をすると、覚えやすくなります。

  • 商談の間は、座る順に並べた名刺と顔を見比べながら話す
  • 帰ったらすぐに、会った日、場所、話した中身を社内の記録に残す
  • 次に会う前に、記録と名刺の情報を見返しておく

名刺は個人情報にあたります

名刺には、相手の名前や連絡先が書かれています。こうした、特定の個人が分かる情報は個人情報にあたります。政府がまとめた「サイバーセキュリティ関係法令Q&Aハンドブック」では、名刺が束のまま整理されずに保管されている場合、名刺の情報は個人情報にはあたるものの「個人データ」にはあたらないと説明しています。一方、名刺の情報が管理ソフトなどで入力・整理されている場合は、特定の個人情報を検索できるよう体系的に構成されているとして、個人データにあたるとしています。紙のままでも、一定の決まりで並べて見出しや索引を付け、ほかの人も簡単に探せる状態にしていれば、同じように扱われます。

個人データにあたると、漏えいや紛失などを防ぐための安全管理の措置が求められます(個人情報保護法第23条)。個人データを第三者に渡すときは、原則としてあらかじめ本人の同意が要ります(同法第27条第1項)。詳しくは所管の窓口や専門家にご確認ください。

受け取った名刺の管理の工夫

  • 名刺の情報を、どこに、誰が入力し、誰が見られるようにするかを会社として決める
  • 紙の名刺を、机の上や車の中に置いたままにしない
  • 名刺の情報は、社内で決めた使い方の範囲で使う
  • 使わなくなった名刺は、読めない状態にしてから捨てる
  • 担当が替わるときは、名刺の情報を個人の手元に残さず、会社の記録として引き継ぐ

相手の情報を記録して活かす方法は、顧客管理の基本でも紹介しています。

片手で名刺を差し出す手元

名刺交換のよくある失敗は?

名刺交換の失敗は、多くが準備不足や、受け取ったあとの扱いから起きます。よくある例と直し方をまとめます。

失敗 起きること 直し方
名刺入れが見つからず、かばんの中を探す 相手を待たせ、準備が足りない印象を与える 名刺入れの置き場所を決め、会う前に手元に移しておく
名刺が足りなくなる 一部の人と交換できない 相手の人数より多めに入れておく
受け取った名刺をすぐにしまう 名前を覚えられず、話の途中で呼び間違える テーブルに出しておき、話が終わってからしまう
名前の読み方を確かめない あとで呼び間違えたり、メールで表記を間違えたりする その場で読み方を尋ねる
受け取った名刺を手でいじる 相手を軽く扱っている印象を与える テーブルの名刺入れの上に置いたままにする
受け取った名刺を置いて帰る 相手の情報を、ほかの人の目にふれる場所に残してしまう 席を立つ前に、テーブルの上を確かめる
名刺を手に持って見せる人

名刺交換の要点のまとめ

  • 名刺は汚れや折れのないものを、名刺入れに多めに入れておく
  • 立って向き合い、訪ねた側、目下の側から先に差し出す
  • 双方が複数のときは、上位の人から順に交換する
  • 相手が読める向きにして、名乗りながら差し出す
  • 相手の名刺は両手で受け取り、名前に指をかけない
  • 名前の読み方を確かめ、読めないときはその場で尋ねる
  • 同時のときは右手で渡して左手で受け、すぐに右手を添える
  • 座ったら名刺入れの上に置き、相手が複数なら座る順に並べる
  • 話が終わってからしまい、置き忘れない
  • 持ち帰った名刺は、会社の決まりに沿って個人情報として扱う

訪問の前後のふるまいは法人を訪問する営業のマナー、約束の取り方は電話でアポイントを取るときの基本にまとめています。

よくある質問

名刺を切らしてしまったときは、どうすればよいですか?

「申し訳ございません。ただいま名刺を切らしております」とおわびし、会社名と名前をはっきり名乗ります。相手の名刺は通常どおり受け取り、あとでメールや郵送で自分の連絡先を伝えるとよいでしょう。名刺入れの残りの枚数は、人と会う前に確かめておきます。

相手の名前の読み方が分からないときは、どうしますか?

その場で尋ねるのが、失礼のない方法です。福島労働局の資料では、「恐れ入りますが、お名前はどのようにお読みするのでしょうか」という尋ね方を紹介しています。あとで間違えるより、その場で確かめる方が、相手への配慮になります。

受け取った名刺に、メモを書いてもよいですか?

相手の前で書き込むのは避けます。会った日や話の中身は、帰ってから社内の記録に残すと、ほかの人とも共有できます。紙の名刺に書き込む場合も、会社の決まりに沿って扱いましょう。

名刺は個人情報にあたりますか?

名刺に書かれた名前や連絡先は、個人情報にあたります。束のまま整理せずに保管しているだけなら、「個人データ」にはあたらないとされています。管理ソフトに入力したり、紙のままでも見出しを付けて探せるように整理したりすると個人データになり、安全管理などの決まりがかかります。

オンラインの面談では、名刺交換をどうしますか?

画面越しには紙の名刺を渡せないので、面談の冒頭で会社名と名前を口頭で名乗り、面談の前後にメールで連絡先を送るとよいでしょう。会社によっては、電子の名刺を使って連絡先をやり取りすることもあります。

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