営業代行の料金の決まり方|固定報酬・成果報酬の違いと選び方

営業代行の料金は、大きく分けて「固定報酬型」「成果報酬型」と、その2つを組み合わせた「複合型」の3つの形で決まります。固定報酬型は営業の活動そのものに、成果報酬型はアポイントや成約などの決めた成果に対して支払います。どの形が合うかは、成果の数え方をはっきり決められるか、結果が出るまでにどのくらいかかるか、毎月の費用を一定にしたいかで変わります。この記事では、営業を外部に任せることを考えている方に向けて、料金の形ごとの特徴と選び方、法律での報酬の考え方、見積もりで確かめたい点、よくある失敗をまとめます。具体的な金額は任せる業務や会社によって違うため、ここでは仕組みの説明に絞ります。

書類の数字を指さして確かめる2人の手元

営業代行の料金には、どんな形がありますか?

営業代行の料金は、「何に対してお金を払うか」で形が分かれます。営業の時間や人数に払うのか、出た結果に払うのか、その両方なのかの違いです。

固定報酬型

決めた期間に、決めた業務を行うことに対して、一定の額を支払う形です。月ごとの定額のほか、人数と日数や、時間あたりの単価で計算することもあります。成果の数にかかわらず、支払う額は基本的に変わりません。

成果報酬型

アポイントの獲得や成約など、あらかじめ決めた成果が出たときに、その件数や売上に応じて支払う形です。「成功報酬」と呼ぶこともあります。1件ごとの単価で決める方法と、売上や利益の一定の割合で決める方法があります。成果が出なければ、報酬は発生しないのが基本です。

複合型

固定の報酬と、成果に応じた報酬を組み合わせる形です。毎月の活動には一定の額を払い、成果が出た分を上乗せします。固定の部分を低めにして成果の部分を厚くするなど、配分は話し合いで決めます。

料金の額は、何で変わりますか?

どの形でも、料金の額は次のような要素で変わります。見積もりを受け取ったら、どの要素がどう見込まれているかを確かめましょう。

  • 任せる業務の範囲:営業先のリストづくり、電話でのアポイント取り、訪問や商談、店頭での販売、契約の手続き、契約後のフォローのうち、どこまでを任せるか
  • 人数と稼働の時間:何人が、週に何日、1日何時間ほど動くか
  • 期間:短い期間のキャンペーンか、数か月以上続けるか
  • 商材の説明の難しさ:仕組みや料金の説明に知識が要るか、研修にどのくらいの時間がかかるか
  • 成果の地点:アポイント、商談、成約、入金のどこを成果として数えるか
  • 準備の量:トークの台本、説明の資料、販促物を誰がつくるか
会議の席で書類に署名する人たち

法律では、報酬の決め方はどう扱われていますか?

営業代行の契約は、一般に「業務委託契約」と呼ばれます。業務委託は民法の用語ではなく、内容によって民法の「請負」や「準委任」などにあたります。どちらにあたるかで、報酬を請求できる時期や、途中で終わったときの扱いが変わります。

契約の種類 民法での考え方 営業代行での例
請負 仕事を完成させることを約束し、その結果に対して報酬を払う契約です(民法第632条)。目的物の引渡しが要るときは、報酬は引渡しと同時に払うのが原則です(第633条)。 決めた条件の営業先リストを仕上げて納める など
準委任 法律行為でない事務を任せる契約で、委任の決まりが準用されます(第656条)。報酬を払うと決めた場合、原則として事務を終えたあとに請求します。期間で報酬を決めたときは、その期間が過ぎたあとに請求できます(第648条第2項)。 月ごとに決めた時間、電話での案内や訪問を行う など
成果に報酬を払う準委任 事務の結果として得られる成果に報酬を払うと決めた場合の決まりです。成果の引渡しが要るときは、報酬は引渡しと同時に払います(第648条の2第1項)。 決めた成果1件ごとに報酬を払う など

途中で契約が終わったときの扱いにも、民法の決まりがあります。準委任では、任せた側の責任ではない理由で続けられなくなったときや、途中で終わったときに、すでに行った割合に応じて報酬を請求できます(第648条第3項)。成果に報酬を払う形でも、すでに出た結果のうち分けられる部分で任せた側が利益を受けるときは、その利益の割合に応じて報酬を請求できます(第648条の2第2項で準用する第634条)。

これらは、契約で別に決めていないときの原則です。実際の扱いは、契約書の書き方と仕事の実態で決まります。契約の形に迷うときは、弁護士などの専門家にご確認ください。

グラフの資料を囲んで話し合う人たち

どの料金の形を選べばよいですか?

料金の形は、任せる業務の性質と、自社が何を重視するかで選びます。次の場面ごとの考え方を目安にしてください。

固定報酬型が合う場面

  • 新しい商材や地域で、まず反応を確かめたいとき(成果がどのくらい出るか、まだ読めないとき)
  • 店頭や催事など、決まった時間に売場に立つ人が要るとき
  • 成約までの期間が長く、途中の活動にも価値があるとき
  • 毎月の費用を一定にして、予算を立てやすくしたいとき

成果報酬型が合う場面

  • 成果の数を、双方が同じ記録で確かめられるとき
  • すでに売れた実績のある商材で、成約までの流れが決まっているとき
  • 始めの費用をおさえ、結果に応じて支払いたいとき

複合型が合う場面

  • 活動の量と結果の両方を大事にしたいとき
  • 固定報酬型で始めて、成果の傾向が見えてきたら成果の部分を増やしたいとき
  • 代行する側に結果への意欲を持ってもらいながら、件数を急ぐ無理な勧誘は避けたいとき

料金の形を決める手順

  1. 目的を決める:売上を伸ばしたいのか、新しいお客様の反応を知りたいのか、社内の人手を補いたいのかを書き出します。
  2. 任せる範囲を決める:営業の流れのうち、どの段階を任せ、どこを自社に残すかを決めます。
  3. 成果の地点を決める:成果報酬を入れる場合は、何を1件と数えるかを決めます。
  4. 記録の方法を決める:成果や活動を、どの記録で、誰が確かめるかを決めます。
  5. 見積もりを受け取る:同じ条件を伝えて、料金の内訳を出してもらいます。
  6. 試す期間を設ける:できれば短い期間で始め、結果を見て料金の形や配分を見直します。

3つの料金の形を比べると?

比べる点 固定報酬型 成果報酬型 複合型
何に払うか 決めた期間の活動 決めた成果 活動と成果の両方
費用の見通し 立てやすい 成果の数で変わる 固定の部分は立てやすい
成果が出なかったとき 報酬はかかる 報酬は基本的に発生しない 固定の部分はかかる
1件あたりの費用 成果の数で変わる 単価として決まる 配分で変わる
代行する側の動き方の傾向 決めた活動を進める 成果が出やすい相手を優先しやすい 活動と成果の両方を意識する
特に確かめたい点 活動の量と中身の報告 成果の定義と取り消しの扱い 固定と成果の配分
向く業務の例 店頭や催事での販売、反応を見る試行 アポイント取り、成約までの流れが決まった販売 数か月以上続ける営業

成果をどこで数えるかで、何が変わりますか?

成果報酬の「成果」は、営業の流れのどこに置くかで性質が変わります。前の段階ほど数えやすく、後ろの段階ほど売上に近くなります。

成果の地点 数えやすさ 決めておきたいこと
アポイントの獲得 数えやすい 会う約束だけで終わるものも混じりやすいため、どんな相手との、どんな約束を1件と数えるか
商談の実施 比較的数えやすい 相手の役職や関心の度合いなど、商談と認める条件
成約・申込み 記録があれば確かめやすい あとで取り消されたときの扱い
入金・利用開始 確定までに時間がかかる 代行する側の手を離れた理由で止まったときの扱いと、確定の期限
電卓と報告書、ペンが置かれた机

見積もりで気をつけたいことは?

報酬のほかに、かかる費用はありますか?

料金の形が同じでも、報酬とは別に費用がかかることがあります。見積もりでは、次の費用が報酬に含まれるのか、別にかかるのかを確かめます。

  • 始める前の準備の費用(研修、トークの台本や資料づくり)
  • 営業先のリストを用意する費用
  • 交通費、宿泊費、電話などの通信費
  • 販促物や見本、売場の備品の費用
  • 管理や報告書づくりの費用
  • 消費税(表示が税込みか税抜きか)

支払いの時期は、どう決めますか?

支払いの時期も、料金の形によって決め方が変わります。固定報酬型では、月末で締めて翌月に払うなど、期間ごとに払う形があります。成果報酬型では、成果が確定した時点で締め、取り消しが起こりうる期間を待ってから確定させることもあります。前払いの部分があるか、成果が確定する前に一部を払うかも、見積もりの段階で確かめておきましょう。交通費などの実費は、上限や事前に承認する決まりを設けておくと、費用の見通しが立てやすくなります。

成果が取り消されたときは、どう扱いますか?

成約のあとに解約や返品があった場合、その成果を報酬の対象から外すのか、すでに払った報酬を戻してもらうのかを決めておきます。お客様があとから契約を解除できる制度がある商材では、その期間が過ぎるまで成果を確定させない決め方もあります。たとえば訪問販売や電話勧誘販売では、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内なら、お客様は原則として、書面か電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除(クーリング・オフ)ができます。

個人に任せるときに気をつけることは?

従業員を使わない個人や、代表者のほかに役員も従業員もいない会社に業務を委託するときは、フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)が関わります。委託する側は、業務の内容、報酬の額、支払期日などを、書面かメールなどの電磁的方法で明示する必要があります(第3条)。従業員や複数の役員がいる会社が委託するときは、業務の提供を受けた日から60日以内のできるだけ短い期間で支払期日を決め、その日までに支払う必要があります(第4条)。詳しくは所管の窓口や専門家にご確認ください。

相手の登録番号も確かめましょう

消費税のインボイス制度では、取引の相手が適格請求書発行事業者に登録しているかどうかで、経理の扱いが変わります。登録番号は「T」と13桁の数字で、国税庁の公表サイトで確かめられます。扱いの詳細は、経理の担当や税理士にご確認ください。

書類の数字を一緒に確かめる同僚たち

料金の決め方で、よくある失敗は?

  • 1件あたりの単価だけで比べる:成果の定義や別にかかる費用が違えば、同じ単価でも支払う総額は変わります。
  • 成果の定義があいまいなまま始める:「アポイント」が電話で話せただけなのか、日時の決まった面談なのかで、数がずれます。あとで数え方をめぐって話がこじれる原因になります。
  • 成果報酬にしたのに、勧誘の仕方を決めていない:件数を急ぐあまり強い勧誘や事実と違う説明が起きると、お客様の苦情や解約につながり、売り手の会社の信用にも関わります。
  • 固定報酬にしたのに、報告の中身を決めていない:何をどれだけ行ったかが分からず、続けるかどうかを判断できません。
  • 短すぎる期間で判断する:成約までに時間がかかる商材で、始めてすぐの数字だけで打ち切ると、準備にかけた費用が生かせません。
  • 見直しの時期を決めずに続ける:始めに決めた料金の形が合わなくなっても、話し合う場がないまま続いてしまいます。数か月ごとなど、振り返る時期を決めておきます。

活動の報告をどうまとめてもらうかは、販売の日報と報告書の書き方も参考になります。

グラフの資料にペンで印をつける手元

料金を決める前のチェックリスト

  • 任せる目的と範囲を書き出し、相手と共有したか
  • 料金の形(固定報酬・成果報酬・複合)と、その理由を決めたか
  • 成果の定義(何を1件と数えるか、対象から外すもの)を決めたか
  • 成果を確かめる記録と、成果が確定する時期を決めたか
  • 取り消しや解約が出たときの扱いを決めたか
  • 報酬に含まれる費用と、別にかかる費用を確かめたか
  • 税込みか税抜きか、締め日と支払日を確かめたか
  • 活動の報告の頻度と項目を決めたか
  • 途中で終えるときの報酬の扱いを決めたか
  • 料金の形を見直す時期を決めたか

契約書でほかに確かめたい項目は販売代行の契約の確認項目に、会社の選び方は営業代行の選び方にまとめています。

よくある質問

成果報酬型なら、費用の面で損をしませんか?

成果が出なければ報酬はかからないのが基本ですが、損をしないとは言い切れません。代行する側が成果の出ないときの負担を負う分、1件あたりの単価が高めに決まることがあります。また、準備や交通費が別にかかる場合もあります。成果が多く出たときの総額と、成果の質の両方で考えましょう。

固定報酬と成果報酬の割合は、どう決めればよいですか?

決まった割合はありません。成果の見通しが立たない始めの時期は固定の部分を厚くし、成果の傾向が見えてきたら成果の部分を厚くする考え方があります。いつ見直すかを、契約のときに決めておくと進めやすくなります。

「成功報酬」と「成果報酬」は違うものですか?

同じ意味で使われることが多い言葉です。どちらの言葉でも、何を成果と数えるかは契約ごとに違います。言葉ではなく、契約書の定義で確かめましょう。

途中で契約をやめたら、報酬はどうなりますか?

契約で決めた扱いが先になります。決めていないときは、準委任では、すでに行った割合に応じて報酬を請求できるのが民法の原則です(第648条第3項)。また、委任はどちらからでもいつでも解除できますが、相手に不利な時期に解除したときなどは、やむを得ない理由がなければ相手の損害を賠償する必要があります(第651条)。始める前に、途中で終えるときの報酬の扱いと予告の期間を決めておきましょう。

見積もりは、何社から取ればよいですか?

決まった数はありません。大事なのは、どの会社にも同じ目的、範囲、期間、成果の定義を伝えることです。条件がそろっていれば、料金の形が違っても比べやすくなります。営業代行と自社の営業のどちらが合うかを先に考えたいときは、営業代行と自社営業の違いも参考にしてください。

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