格安SIMとは?大手の携帯会社との違いと選ぶ前の確認点

格安SIMとは、自社で通信設備を持つ大手の携帯会社から設備を借りて、携帯電話のサービスを提供する会社(MVNO)の通信サービスのことです。総務省は、格安SIMの電波のつながる範囲は、大手の携帯会社と同じだとしています。大きな違いは、昼休みや通勤の時間帯など混み合う時間の通信の速さ、店頭でのサポートの多さ、メールなど付いてくるサービスの範囲です。料金だけで選ばずに、データ量、通話、サポート、端末、支払い方法を確かめると、乗り換えたあとの「思っていたのと違う」を減らせます。この記事では、総務省と業界団体の資料をもとに、違いと選ぶ前の確認点をまとめます。

SIMカードとSIMピン

格安SIMとは何ですか?

携帯電話の会社は、通信設備を自社で持っているかどうかで、大きく2つに分けられます。

  • MNO:自社で基地局などの通信設備を整備する携帯会社です。いわゆる大手の携帯会社がこれにあたります。
  • MVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者):MNOから通信設備を借りて、サービスを提供する携帯会社です。総務省は、格安スマホや格安SIMは、このMVNOのサービスを指すのが一般的だとしています。

総務省は、MVNOを、大手から設備を借りて、低い価格や多様なサービスを実現する事業者と説明しています。資料では、少ないデータ量のプランが多いことのほか、通話料を抑えるプラン、SNSや動画など決まったサービスの通信量を数えないプラン、通信の速さを抑えたプランなどが例に挙げられています。

SIMとeSIMとは?

SIMは、スマホを携帯会社の回線につなぐために使うものです。小さなカードを端末に差し込む「SIMカード」と、本体に組み込まれた「eSIM」があります。Appleは、eSIMを、iPhoneに組み込まれた業界標準のデジタルのSIMと説明しています。格安SIMでも、SIMカードとeSIMのどちらを選べるかは会社や端末によって違います。

大手のオンライン専用プランとはどう違いますか?

大手の携帯会社は、サポートや料金の水準が違う複数のブランドやプランを用意しています。総務省の資料では、手厚いサポートを含むブランドは料金が高めで、オンライン専用のプランは中くらいから低めの価格で提供されていると整理されています。

オンライン専用のプランは、大手の会社が自社の設備で提供するサービスです。設備を借りて提供する格安SIM(MVNO)とは別のものです。ただし、サポートの窓口がメインのブランドとは別だったり、ブランドどうしでは家族の間の通話の無料が当てはまらなかったりする点に、総務省は注意を促しています。

店のカウンターでスマートフォンを持つ客

大手の携帯会社と格安SIMは、何が違いますか?

総務省と、業界団体であるテレコムサービス協会の資料をもとに、主な違いを表にまとめました。会社やプランによって違うため、契約の前に各社の案内で確かめましょう(2026年11月時点)。

項目 大手の携帯会社(MNO) 格安SIM(MVNO)
通信設備 自社で整備する 大手の携帯会社から借りる
電波のつながる範囲 自社の設備の範囲 設備を借りている会社と同じ
混み合う時間の速さ 会社や場所によって違う 設備の一部を借りているため、昼休みや通勤の時間帯、夜などに遅くなる場合がある
料金プラン 手厚いサポートのブランドは高めで、オンライン専用は中くらいから低めの傾向 1GB、3GB、6GBなど、少ないデータ量のプランが多い
サポート 店頭で相談できるブランドがある。オンライン専用のプランは窓口が別 店舗が少なく、オンラインが中心。店舗で申し込めるブランドもある
携帯会社のメール 提供がある 一般に、大手のような携帯会社のメールの提供はない。無料のメールなどを使う
支払い方法 各社の案内で確かめる クレジットカードが一般的。口座振替などに対応する会社は一部
18歳未満のフィルタリング 各社の案内で確かめる 18歳未満が使う場合は、事業者に申し出て使う。料金や設定の方法は各社の案内で確かめる

総務省は、格安SIMの電話の品質は大手と同じくらいだとしています。違いが出やすいのは、データ通信の速さとサポートの形です。

混む時間に遅くなるのはなぜですか?

格安SIMの会社は、大手の携帯会社の設備の一部を借りて通信をしています。借りている設備の容量には限りがあるため、使う人が一度に増える時間帯は、速さが落ちることがあります。テレコムサービス協会は、MVNOの通信は「ベストエフォート」で、時間帯によっては動画が見づらくなったり、ウェブのページの表示が遅くなったりすることがあると説明しています。ベストエフォートとは、決まった速さを約束するのではなく、その時にできる範囲で速さを出すという意味です。

カウンターで店員に相談する客

格安SIMを選ぶ前に、何を確かめればよいですか?

次の順番で確かめると、自分に合うかどうかを判断しやすくなります。

1. 毎月のデータ量と通話の使い方

まず、今の携帯会社のマイページなどで、毎月どのくらいデータを使っているかを数か月分確かめます。通話をよくする人は、かけ放題のオプションや、通話料が安くなる仕組みがあるかも見ます。確かめ方はスマホの料金を見直すときのポイントでまとめています。

2. サポートの受け方

店頭で相談したいのか、オンラインやチャットで足りるのかを決めます。総務省は、電話のサポートがある場合、通話料が無料のフリーダイヤルか、通話料がかかるナビダイヤルかも確かめるよう案内しています。

3. 今の端末が使えるか

手持ちのスマホを使う場合は、移る先の会社の「動作確認済みの端末」の一覧で確かめます。テレコムサービス協会は、SIMロックの解除が要る場合や、周波数帯や通信方式の違いでうまく動かない場合があると注意しています。総務省によると、大手の携帯会社で2021年9月30日以前に発売された機種を使う場合は、SIMロックの解除が必要です。

4. SIMカードかeSIMか

SIMカードは、端末によって大きさが違います。eSIMは本体に組み込まれているため、別の端末で使うときは、プロファイルと呼ばれる設定のデータを入れ直す必要があります。総務省は、eSIMの特徴として、乗り換えの手続きをオンラインで終えられることを挙げています。

5. 通話の仕組み

格安SIMでは、決められた通話アプリを使うことが、通話料の割引の条件になっている場合があります。テレコムサービス協会は、ほかのアプリで電話をかけると割引が当てはまらず、請求が高くなることがあると注意しています。また、通話アプリによっては、緊急の番号や、0120、0570で始まる番号にかけられない場合や、相手に自分の番号が表示されない場合もあるとしています。

6. 支払い方法と家族の利用

テレコムサービス協会によると、支払いはクレジットカードが一般的で、口座振替などに対応する会社は一部です。18歳未満の子どもが使う場合は、そのことを事業者に申し出て、有害なサイトを見られないようにするフィルタリングのサービスを使いましょう。料金や設定の方法は会社によって違うため、契約の前に確かめます。子どもに持たせるときの決めごとは、子どもに初めてスマホを持たせるときに決めておくことでまとめています。

向きやすい人と、向きにくい人

向きやすい人 向きにくい人
毎月のデータ量が少なく、少ないプランで足りる 昼休みなど混む時間に、動画や大きなデータをよく使う
申し込みや設定を、オンラインで自分で進められる 店頭で対面のサポートを受けたい
家や職場など、Wi-Fiを使える場所が多い 携帯会社のメールアドレスを、多くのサービスの登録に使っている
クレジットカードで支払える 口座振替で払いたい

向きにくい項目があっても、店舗のあるブランドや、口座振替に対応する会社もあります。当てはまる項目ごとに、各社の案内を確かめましょう。

台紙についたSIMカード

格安SIMへの乗り換えは、どう進めますか?

  1. 今の契約を確かめる:解約の条件、最低利用期間、端末代の分割の残り、家族の割引など。
  2. 移る先と使う端末を決める:動作確認の一覧と、SIMの種類を確かめる。
  3. 電話番号を持ち運ぶ手続きをする:移る先と今の会社の両方が「MNPワンストップ方式」に対応していれば、移る先のサイトから申し込めて、予約番号は要りません。対応していない場合は、今の会社でMNP予約番号を発行してもらいます。
  4. SIMを受け取り、端末の設定をする:Androidでは自分でAPN(接続先)の設定をする場合があり、iPhoneでは構成プロファイルを入れる場合があります。
  5. データを移す:電話帳やアプリの移行は、自分で行います。

テレコムサービス協会によると、MNP予約番号の有効期限は発行から15日間で、移る先によっては、申し込みのときに10日以上残っていることを求められる場合があります(2026年11月時点)。総務省は、有効期限のうちに移る先の契約が終わらなかった場合は、今の会社との契約が続くと案内しています。

機種も替える場合の準備はスマホの機種変更の前にやっておくこと、データの移し方はスマホのデータ移行の方法で説明しています。

店内でスマートフォンを確かめる客

契約の前に、どんな点に気をつければよいですか?

テレコムサービス協会は、MVNOのサービスを考えている人に向けて、次のような点を確かめるよう呼びかけています。

  • 月の料金だけでなく、解約の条件や最低利用期間を確かめる。解約した月の基本料が日割りにならない場合が多いとされています。
  • 大手の携帯会社では無料だったメールなどのサービスが、有料だったり、提供がなかったりする場合がある。
  • 短い期間に多くのデータを使うと、速さが制限されるプランがある。
  • 今の会社の割引やポイントは、乗り換えると引き継げない場合がある。
  • 海外で使う場合、電話を受けただけでも国際通話の料金がかかる。

携帯会社のメールアドレスは、有料の持ち運びの仕組みを使えば、乗り換えたあとも使える場合があります。総務省によると、格安SIMを含め、基本的にすべての携帯会社のプランへ持ち運べます。申し込める期間は、解約と同時の場合や、解約から31日以内の場合など、会社によって違います。

契約してから「合わない」と感じたら

携帯電話の契約には、初期契約解除の仕組みがあります。総務省によると、契約書面を受け取ってから8日以内なら、利用者の都合で一方的に契約を解除できます。ただし、解除までの利用料や、事務手数料、格安SIMの場合はSIMカードの発行手数料などを払う必要があり、端末の購入はキャンセルできない場合が多くあります。困ったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどの窓口を案内してもらえます。詳しくは所管の窓口や専門家にご確認ください。

スマートフォンで支払う手元

よくある失敗と、選ぶ前のチェックリスト

よくある失敗

  • 今の端末が移る先の周波数帯に合わず、つながりにくい。
  • SIMロックの解除を忘れて、届いたSIMが使えない。
  • 昼休みに速さが落ちることを知らず、仕事の連絡で困る。
  • 携帯会社のメールアドレスをいろいろなサービスの登録に使っていて、乗り換えたあとにメールを受け取れなくなる。
  • 決められた通話アプリを使わずに電話をかけ、通話料が思ったより高くなる。
  • MNP予約番号の有効期限が切れて、手続きをやり直す。
  • 子どもの端末で、フィルタリングの設定をしていなかった。

チェックリスト

  • 毎月のデータ量と通話の使い方を、数か月分確かめた
  • 店頭とオンラインのどちらのサポートが必要かを決めた
  • 使う端末が動作確認の一覧にあり、SIMロックと周波数帯を確かめた
  • SIMカードの大きさ、またはeSIMへの対応を確かめた
  • 通話アプリの条件と、かけられない番号を確かめた
  • 支払い方法を確かめた
  • 解約の条件、最低利用期間、データの制限を確かめた
  • メールアドレス、割引、ポイントの扱いを確かめた
  • 18歳未満が使う場合のフィルタリングを確かめた

よくある質問

格安SIMにすると、電波はつながりにくくなりますか?

総務省は、格安SIMの電波のつながる範囲は、設備を借りている大手の携帯会社と同じだとしています。電話の品質も、大手と同じくらいとしています。違いが出やすいのは、混み合う時間帯のデータ通信の速さです。昼休みや夜によく使う人は、その時間帯の速さについての各社の案内も確かめましょう。

今のスマホのまま、格安SIMに替えられますか?

替えられる場合があります。総務省によると、2021年10月以降に発売されたスマホは、原則としてSIMロックがかかっていません。それより前に大手の携帯会社で発売された機種は、SIMロックの解除が必要です。解除の手数料は、ウェブなら無料で、電話や店頭では3,300円かかる場合があります(2026年11月時点)。解除しても周波数帯の違いでつながりにくい場合があるため、動作確認の一覧で確かめましょう。

電話番号は変わりますか?

MNPを使えば、今の電話番号をそのまま使えます。移る先と今の会社の両方がワンストップ方式に対応していれば、移る先のサイトから申し込むだけで、予約番号を取らずに手続きできます。対応していない場合は、MNP予約番号の有効期限に気をつけて手続きを進めましょう。

格安SIMでも、店で相談できますか?

格安SIMはオンラインでの手続きが中心ですが、店舗で申し込めるブランドもあります。総務省の資料でも、対面のサポートがあるMVNOのブランドがあると紹介されています。店舗の場所や、店舗でできる手続きの範囲は会社によって違うため、申し込む前に確かめましょう。

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