EMSのトレーニング機器とは?仕組みと使う前の注意点

EMSのトレーニング機器は、電気の刺激で筋肉を縮める仕組みを使い、体に当てた電極のまわりの筋肉を動かす機器です。おなかや脚などに巻いたり貼ったりして使い、座ったままでも使えるものがあります。一方で、体に電気を流すため、医療用の電子機器を使っている人、妊娠中の人、持病のある人などは、使う前に取扱説明書を読み、医師に相談する必要があります。感じ方や結果には個人差があるため、効果を期待しすぎず、使う前に取扱説明書で「使ってはいけない人」「使う部位」「使う時間と回数」を確かめることが大切です。この記事では、EMSの仕組み、ふつうの筋力トレーニングとの違いを比べる表、使ってはいけない人、安全に使う手順、選ぶときと体験するときの注意点、よくある失敗とチェックリストをまとめます。

運動着姿でおなかに手を当てる人

EMSとは?どんな仕組みで動く?

EMSは「Electrical Muscle Stimulation」の略で、日本語では「筋電気刺激」と呼ばれます。国民生活センターは、EMS機器を「電気刺激により筋肉の収縮運動を行うもの」と説明しています。機器は、肌に当てた電極から電気を流し、その刺激で筋肉を縮めます。

刺激が届くのは、電極を当てた部分とそのまわりです。そのため、おなか用、脚用、腕用など、使う部位ごとに形が分かれています。

主な形

  • ベルト型:おなかや腰、脚などに巻いて使う
  • パッド型:電極の付いたパッドを肌に直接貼って使う
  • 足をのせる型:座ったまま、足の裏をのせて使う
  • ウェア型:電極の付いた服を着て使う

機器によっては、電極と肌のあいだにジェルのシートやパッドをはさみ、電気が肌にむらなく伝わるようにします。ジェルのシートは使ううちにくっつきにくくなるため、消耗品として交換しながら使います。電池で動くものと、充電して使うものがあります。

医療機器のものと、そうでないものがある

電気で体を刺激する機器には、医療機器として扱われるもの(低周波治療器など)と、医療機器ではない健康器具として売られているものがあります。愛知県の案内では、医療機器を「病気の診断、治療、予防に使うことを目的とするもの」や「体の構造や機能に影響を与えることを目的とするもの」と説明しています。

同じ案内では、医療機器でない健康器具や美容器具に、病気の予防や治療に効果があるといった医療機器のような効能を表示することは、医薬品医療機器等法で禁止されているとしています。たとえば、筋肉の運動を助ける器具について「首や肩に着けてコリをほぐす」「ふくらはぎに巻いて運動後の足の疲れをとる」とうたう広告は、不適切な例として挙げられています。トレーニング用として売られている機器は、筋肉を動かすための道具として考えましょう。

自宅で腹筋ローラーを使う人

ふつうの筋力トレーニングとは、何が違う?

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人と高齢者に、筋力トレーニングを週2〜3日行うことを勧めています。ここでいう筋力トレーニングには、マシンなどを使うものだけでなく、腕立て伏せやスクワットのように自分の体重を使う運動も含まれます。ガイドでは、特定の部位だけを鍛えるのではなく、胸、背中、腕、おなか、おしり、脚などの大きな筋肉をまんべんなく鍛えること、しっかり休む日をとること、歩くなどの有酸素性の運動と組み合わせることも勧めています。

EMSの機器は、電極を当てた部分の筋肉に刺激を与える道具です。体を動かす運動のかわりになるとは考えず、ふだんの運動に足す道具として位置づけると、使い方を決めやすくなります。それぞれの違いを比べます。

方法 やり方 動かす範囲 向く場面 気をつけたい点
EMSの機器 電極を肌に当て、電気の刺激で筋肉を縮める 電極を当てた部分とそのまわり 座っているときなど、体を大きく動かしにくい時間 使ってはいけない人の条件、使う時間と回数、肌の状態
自分の体重を使う筋トレ 腕立て伏せやスクワットなど 動かし方しだいで全身 道具を使わず、家で行いたいとき 無理のない回数から始め、息を止めない
ウエイトトレーニング マシンやダンベルなどで負荷をかける 器具しだいで全身 負荷を細かく変えたいとき 重さの選び方、正しい姿勢
有酸素性の運動 歩く、走る、自転車をこぐなど 全身 体を続けて動かしたいとき 体調に合わせた強さと時間

厚生労働省のガイドは、筋力トレーニングで息をこらえないよう注意すること、無理をせずできるところまで行うことにもふれています。どの方法でも、体調に合わせて少しずつ始めることが基本です。

マットの上で運動する女性

使う前に確かめたい「使ってはいけない人」は?

EMSの機器は体に電気を流すため、体の状態によっては使えないことがあります。どんな人が使ってはいけないか、どんな人が医師に相談してから使うとよいかは、製品ごとに取扱説明書の「安全上の注意」などに書かれています。書かれている内容は製品によって違うため、ほかの製品の説明や、人から聞いた話だけで判断しないようにしましょう。

使う前に、医師に相談してほしい人

医療用の電子機器を使っている人、妊娠中の人、持病のある人などは、使う前に取扱説明書を読み、医師に相談してください。たとえば、次のような人が当てはまります。

  • ペースメーカーなど、医療用の電子機器を使っている人
  • 妊娠中の人
  • 心臓の病気など、持病のある人
  • 医療機関で治療を受けている人や、医師から運動を止められている人

取扱説明書に「使わないでください」と書かれている条件に当てはまる場合は、使わないでください。当てはまるかどうか分からないときや、体調に不安があるときも、自分で判断せずに医師に相談しましょう。

その日の体調や肌の状態も確かめる

使ってよい人でも、その日の体調や肌の状態によっては、使わないほうがよい場合があります。熱があるとき、お酒を飲んだあと、電極を当てる部分に傷や肌荒れ、かぶれがあるときなどは使わず、体調が戻ってからにしましょう。使っている途中で気分が悪くなったり、肌に痛みやかゆみが出たりしたときは、すぐにやめます。

家族で使うとき

家族で使い回す場合は、使う人それぞれが取扱説明書の注意を読み、自分が当てはまらないかを確かめます。医療用の電子機器を使っている家族がいる場合は、機器を使っている人のそばにいるときや体に触れるときに気をつけることがないかも、取扱説明書で確かめ、分からなければ医師に相談しておきましょう。小さな子どもが自分で使ったり、いたずらで触ったりしないよう、しまう場所も決めておくと安心です。

マットで腹筋運動をする女性

安全に使うための手順は?

  1. 取扱説明書を読む:使ってはいけない人、使ってよい部位、1回の時間と1日の回数を確かめます。
  2. 体調と肌を確かめる:熱やけが、肌荒れがないかを見ます。
  3. 本体と電極を点検する:傷やはがれがないか、ジェルのシートがしっかりくっつくかを確かめます。くっつきが弱くなったシートは交換します。
  4. 決められた部位に、正しく着ける:電極が肌から浮かないよう、説明書のとおりに着けます。
  5. 弱い強さから始める:慣れないうちは低いレベルで使い、痛みや不快な感じがあれば下げます。
  6. 決められた時間と回数を守る:同じ部位に何度も続けて使わないようにします。
  7. 異常があればすぐにやめる:体や肌に異常を感じたら使うのをやめ、医師に相談します。
  8. 使い終わったら手入れをする:説明書の方法で汗や汚れをふき取り、ジェルのシートは決められた方法で保管します。

1回に使う時間、1日に使ってよい回数、同じ部位に続けて使ってよいかは、製品ごとに決まっています。強く長く使えばよいというものではないため、決められた範囲を守りましょう。筋肉痛や疲れが残っているときの使い方や、ふき取りに使ってよいもの(アルコールを含むものを使えるかなど)も製品によって違うため、手元の説明書に従ってください。

傷のある機器は使わない

国民生活センターは2017年、EMS機器を使ったあと、おなかに水ぶくれができたという相談についてのテスト結果を公表しました。電極側の温度はほとんど上がっていませんでしたが、本体の制御部のまわりに小さな傷があり、電気を通す部分が出ていました。そこに肌が触れると、電流が一部に集まって流れ、ふだんより強い刺激が加わり、痛みや傷の原因になる可能性があるとされています。使う前に、本体や電極に傷やはがれがないかを確かめましょう。

使う場面にも気をつける

使いながら歩いたり体を動かしたりしてよいか、どんな運動の最中には使ってはいけないかは、製品によって違います。説明書で、使ってよい場面を確かめてから使いましょう。また、操作する部分が防水になっていない製品もあります。汗をかく場面や水にぬれる場所で使えるかどうかは、説明書で確かめましょう。家族で使い回す場合は、肌に触れる部分のお手入れの方法と、消耗品を人ごとに分けるかどうかも決めておくと安心です。

腹筋ローラーの器具

選ぶときと体験するときに、気をつけたいことは?

広告の言葉をうのみにしない

「使うだけで体形が変わる」のように結果を言い切る広告や、医療機器でないのに痛みやコリが治るとうたう広告には注意が必要です。結果の出方には個人差があり、使い方や生活習慣によっても変わります。広告の言葉より、取扱説明書に書かれた使い方と注意を確かめて選びましょう。

選ぶときに確かめたいこと

  • 使いたい部位に合った形か
  • 体の大きさに合うか(ベルトの長さやサイズ)
  • 刺激の強さを細かく変えられるか
  • ジェルのシートなど、消耗品の交換の目安と費用
  • 電池式か充電式か、充電のしかた
  • 取扱説明書に、使ってはいけない人や使い方がはっきり書かれているか
  • 医療機器かどうか、問い合わせ先がはっきりしているか

費用は、本体の代金だけでなく、ジェルのシートなどの消耗品を交換し続ける費用も含めて考えます。交換の目安がどのくらいか、消耗品を定期的に届ける申し込みが必要かどうかも、買う前に確かめておきましょう。

お店で体験するとき

お店の体験コーナーなどで試すときも、自分が「使ってはいけない人」に当てはまらないかを先に確かめます。分からないときは、係の人に注意の内容を見せてもらいましょう。医療用の電子機器を使っている人、妊娠中の人、持病のある人などは、体験する前に医師に相談しておきます。強さは自分の感覚に合わせ、痛みを感じたらすぐに係の人に伝えます。

よくある失敗

  • いきなり強くする:強いほど効くと思い、最初から高いレベルで使う。
  • 使いすぎる:決められた時間や回数を超えて、同じ部位に何度も使う。
  • 消耗品を替えない:くっつきの弱くなったジェルのシートを使い続ける。
  • 肌の変化を見逃す:赤みやかゆみが出ても使い続ける。
  • 説明なしで家族に貸す:使ってはいけない人の条件を伝えずに貸してしまう。
  • 運動を減らす:機器があるからと、体を動かす習慣を減らしてしまう。
床で腹筋運動をする女性

使う前のチェックリスト

  • 取扱説明書の「使ってはいけない人」に当てはまらない
  • 医療用の電子機器を使っている、妊娠中、持病があるなどの場合は、使う前に医師に相談した
  • 家族で使う場合は、使う人それぞれが取扱説明書の注意を読んだ
  • 熱がなく、お酒を飲んでいない
  • 電極を当てる部分に、傷や肌荒れがない
  • 本体と電極に、傷やはがれがない
  • ジェルのシートがしっかりくっつく
  • 使ってよい部位、1回の時間、1日の回数を確かめた
  • 弱い強さから始める
  • 異常を感じたらすぐにやめ、医師に相談する

よくある質問

毎日使ってもよいですか?

毎日使ってよいか、1日に何回まで使えるかは、製品ごとに決まっています。手元の取扱説明書に書かれた時間と回数を守り、同じ部位に続けて使いすぎないようにしましょう。筋肉痛や疲れが残っているときや、体調がすぐれないときは、無理に使わないことが大切です。

EMSだけで、運動のかわりになりますか?

EMSの機器は、電極を当てた部分の筋肉に刺激を与える道具で、結果の出方には個人差があります。厚生労働省のガイドでは、全身の大きな筋肉を使う筋力トレーニングを週2〜3日行い、歩くなどの運動と組み合わせることを勧めています。EMSを使う場合も、ふだんの運動に足す道具として考えるとよいでしょう。

妊娠中や、持病があるときに使ってもよいですか?

妊娠中の人、持病のある人、医療用の電子機器を使っている人などは、使う前に取扱説明書を読み、医師に相談してください。取扱説明書に使わないよう書かれている場合は、使わないでください。生理中や出産後まもない時期など、体調が変わりやすいときの扱いも製品によって違うため、取扱説明書を確かめ、不安があれば医師に相談しましょう。

高齢の家族が使っても大丈夫ですか?

年齢だけで決まるものではありません。ただ、持病がある人や、医療用の電子機器を使っている人、通院して治療を受けている人もいるため、使う前に取扱説明書の注意を一緒に読みましょう。当てはまる条件がある場合や、体調に不安がある場合は、使う前に医師に相談してください。使い始めは弱い強さにして、使っている様子を家族が見守ると安心です。

肌が赤くなったときは、どうすればよいですか?

使うのをやめて様子を見ます。赤みやかゆみ、水ぶくれなどが続くときは、医療機関を受診しましょう。ジェルのシートの劣化や電極の着け方、機器の傷が原因になることもあるため、もう一度使う前に機器を点検し、販売元にも相談してください。

スカイウォークスの店舗運営のページでは、メガドンキホーテ金沢ラパーク店にあるスカイモバイルが、EMSによるトレーニング機器の体験ブースをご案内していることを紹介しています。当社へのお問い合わせは、お問い合わせフォームから受け付けています。

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